判決、ふたつの希望
を観ました。
レバノンの首都ベイルート。その一角で住宅の補修作業を行っていたパレスチナ人の現場監督ヤーセルと、キリスト教徒のレバノン人男性トニーが、アパートのバルコニーからの水漏れをめぐって諍いを起こす。
このときヤーセルがふと漏らした悪態はトニーの猛烈な怒りを買い、ヤーセルもまたトニーのタブーに触れる “ある一言”に尊厳を深く傷つけられ、ふたりの対立は法廷へ持ち込まれる。
やがて両者の弁護士が激烈な論戦を繰り広げるなか、この裁判に飛びついたメディアが両陣営の衝突を大々的に報じたことから裁判は巨大な政治問題を引き起こす。
かくして、水漏れをめぐる“ささいな口論”から始まった小さな事件は、レバノン全土を震撼させる騒乱へと発展していくのだった……。
ジアド・ドゥエイリ監督作品です。
初めて見る監督ですが、レバノン内戦状況下で育った人らしいです。
納得の内容とクオリティでした。
予告編で何となく内容がわかる感じですが、その通りの映画だったのですが。
想像のはるか上を行く名画でした。
演出のクオリティもセリフのクオリティもほぼ完璧でした。
本当に些細な出来事が雪だるま式に膨らんでやがて国家問題にまで発展してあわや民族紛争です。
その膨らんでいく様はめちゃくちゃ見事でした。
主人公の一人、レバノン人の短気さと人の話聞かなさっぷりが非常にストレスな序盤で。
どう考えてもこの人が先に仕掛けてるし悪い。
こいつさえ聞く耳を持てば全然そんなに揉めなくていいのに、ややこしい人だなぁ、な気持ちで見ていました。
工事した作業を速攻で壊して、相手の些細な暴言に激怒して。
第三者がなんとか怒りを収めようとしてるのに直接の謝罪しか受け入れないと頑固だから直接謝罪に来たら来たで信じられない暴言を言っちゃうし。
耐えきれず相手が殴ったら法定沙汰。
妻でさえ見放す有様で。
ただ終盤には頑なにパレスチナ難民を避難する気持ちに同情すらしてしまいました。
何かと絡まれたパレスチナ難民の現場監督は優秀だし寡黙だし、ただちょっとキレる側面もあり。
不法労働のようで生きるのに必死なのでなかなか相手を批判も出来ない。
おそらく日本人が子の作品を観てこっち側を批判する人は居なそうです。
ただ両者とも大筋では間違ったことは言わない、正義を絶対的に信じる者同士のイデオロギー闘争。
勧善懲悪では済まない非常に難しい物語です。
お互いが正義を主張するので当人同士、弁護士、検事が話すたびに観てる自分の感情も揺れ動きました。
その点で非常に見事な法定モノだと思います。
法定モノには数々の名画がありますが、その最高峰と言っていいでしょう。
さりげないシーンで中国製の批判をしているシーンが2つくらいありました。
「中国製の偽物を使ってるからすぐ壊れるのだ、新品の中国製より中古の純正品を買え!」など。
自分が海外放浪している時も、中国製って粗悪品の別名みたいに世界中で使われていましたが、
レバノンでもその認識で通じるのですね、勉強になりました。
キャストは全員所見ですが素晴らしい演技力でした。
主演の一人アデル・カラムは非常に素晴らしい演技でした。
もう熱量が凄くて迫真で、なんかしら大きな賞を与えたいくらいですね。
ライバルのカメル・エル=バジャも同様に素晴らしかったです。
有罪になってまでも寡黙を貫くほどの深い痛み。
無罪を勝ち取れるとしても言いたくない言葉があるのですが、それを無言で表現するその佇まいは感動的でした。
他のキャストも非常に真摯にこの作品に向かい合っているのがひしひしと伝わって。
ハリウッドとかが企画で映画化するタイプではなく現地のクリエイターが作っているだけの熱量とリアリティがちゃんとありました。
ちょっと後出し的な盛り上げエンターテイメント要素がありましたがそれ以上に感動はしました。
リアリティ70%エンタメ20%アート性30%、、、みたいに諸々の要素を足すと100%越えてしまうような映画でした。
地球人なら誰もが「自分だったら・・・」って置き換えられる内容だと思います。
日本人だって他人事じゃないと思います。
仮に優秀なアジアの他国の出身者が日本人経営者を罵ったら、、、等考えてしまいました。
絶望的にも思える二人の当事者はちゃんと最善の選択をしたと思うし、この内容なのにタイトル通り希望がありました。
地球人みんなに観てもらいたいし、観て学んでもらいたいです。
自分だけが、自分たちの民族だけが傷を持っている!という主張をそろそろなんとか無くすことでしょう。
本当に勉強になる素晴らしい映画でした。
そんなわけで9点。
を観ました。
レバノンの首都ベイルート。その一角で住宅の補修作業を行っていたパレスチナ人の現場監督ヤーセルと、キリスト教徒のレバノン人男性トニーが、アパートのバルコニーからの水漏れをめぐって諍いを起こす。
このときヤーセルがふと漏らした悪態はトニーの猛烈な怒りを買い、ヤーセルもまたトニーのタブーに触れる “ある一言”に尊厳を深く傷つけられ、ふたりの対立は法廷へ持ち込まれる。
やがて両者の弁護士が激烈な論戦を繰り広げるなか、この裁判に飛びついたメディアが両陣営の衝突を大々的に報じたことから裁判は巨大な政治問題を引き起こす。
かくして、水漏れをめぐる“ささいな口論”から始まった小さな事件は、レバノン全土を震撼させる騒乱へと発展していくのだった……。
ジアド・ドゥエイリ監督作品です。
初めて見る監督ですが、レバノン内戦状況下で育った人らしいです。
納得の内容とクオリティでした。
予告編で何となく内容がわかる感じですが、その通りの映画だったのですが。
想像のはるか上を行く名画でした。
演出のクオリティもセリフのクオリティもほぼ完璧でした。
本当に些細な出来事が雪だるま式に膨らんでやがて国家問題にまで発展してあわや民族紛争です。
その膨らんでいく様はめちゃくちゃ見事でした。
主人公の一人、レバノン人の短気さと人の話聞かなさっぷりが非常にストレスな序盤で。
どう考えてもこの人が先に仕掛けてるし悪い。
こいつさえ聞く耳を持てば全然そんなに揉めなくていいのに、ややこしい人だなぁ、な気持ちで見ていました。
工事した作業を速攻で壊して、相手の些細な暴言に激怒して。
第三者がなんとか怒りを収めようとしてるのに直接の謝罪しか受け入れないと頑固だから直接謝罪に来たら来たで信じられない暴言を言っちゃうし。
耐えきれず相手が殴ったら法定沙汰。
妻でさえ見放す有様で。
ただ終盤には頑なにパレスチナ難民を避難する気持ちに同情すらしてしまいました。
何かと絡まれたパレスチナ難民の現場監督は優秀だし寡黙だし、ただちょっとキレる側面もあり。
不法労働のようで生きるのに必死なのでなかなか相手を批判も出来ない。
おそらく日本人が子の作品を観てこっち側を批判する人は居なそうです。
ただ両者とも大筋では間違ったことは言わない、正義を絶対的に信じる者同士のイデオロギー闘争。
勧善懲悪では済まない非常に難しい物語です。
お互いが正義を主張するので当人同士、弁護士、検事が話すたびに観てる自分の感情も揺れ動きました。
その点で非常に見事な法定モノだと思います。
法定モノには数々の名画がありますが、その最高峰と言っていいでしょう。
さりげないシーンで中国製の批判をしているシーンが2つくらいありました。
「中国製の偽物を使ってるからすぐ壊れるのだ、新品の中国製より中古の純正品を買え!」など。
自分が海外放浪している時も、中国製って粗悪品の別名みたいに世界中で使われていましたが、
レバノンでもその認識で通じるのですね、勉強になりました。
キャストは全員所見ですが素晴らしい演技力でした。
主演の一人アデル・カラムは非常に素晴らしい演技でした。
もう熱量が凄くて迫真で、なんかしら大きな賞を与えたいくらいですね。
ライバルのカメル・エル=バジャも同様に素晴らしかったです。
有罪になってまでも寡黙を貫くほどの深い痛み。
無罪を勝ち取れるとしても言いたくない言葉があるのですが、それを無言で表現するその佇まいは感動的でした。
他のキャストも非常に真摯にこの作品に向かい合っているのがひしひしと伝わって。
ハリウッドとかが企画で映画化するタイプではなく現地のクリエイターが作っているだけの熱量とリアリティがちゃんとありました。
ちょっと後出し的な盛り上げエンターテイメント要素がありましたがそれ以上に感動はしました。
リアリティ70%エンタメ20%アート性30%、、、みたいに諸々の要素を足すと100%越えてしまうような映画でした。
地球人なら誰もが「自分だったら・・・」って置き換えられる内容だと思います。
日本人だって他人事じゃないと思います。
仮に優秀なアジアの他国の出身者が日本人経営者を罵ったら、、、等考えてしまいました。
絶望的にも思える二人の当事者はちゃんと最善の選択をしたと思うし、この内容なのにタイトル通り希望がありました。
地球人みんなに観てもらいたいし、観て学んでもらいたいです。
自分だけが、自分たちの民族だけが傷を持っている!という主張をそろそろなんとか無くすことでしょう。
本当に勉強になる素晴らしい映画でした。
そんなわけで9点。