明日に向けて

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明日に向けて(1174)レバノン民衆も懸命に難民を受け入れている!・・・今こそ平和の声を-2

2015年11月01日 22時30分00秒 | 明日に向けて(1101~1200)

守田です。(20151101 22:30)

今回も前回の続きですが、先に誤りを訂正したいと思います。僕はトルコ政府と軍事的衝突関係に入っているクルディスタン労働者党をKKPと書いてしまいましたが、正しくはPKKでした。
クルド語の表記で、正確には”Partiya Karkeren Kurdistan”です。訂正しお詫びします。なおブログとHPではすでに訂正してあります。

さて昨日より、この間世界で、とにくシリアやイラクで起こっていることのフォローを始めましたが、これに対して、友人で、アラブ文学研究者であり、パレスチナ問題をはじめ中東の苦しみに心を寄せ続けている岡真理さんがコメントをくれました。
ポイントは、難民に対して国境を閉ざしたハンガリーなどに対しトルコの人々が200万人もの難民の流入を受け止め、必死にケアしていることに前回触れたわけですが、より必死で難民を受け入れているのがレバノンの人々であるという点です。
レバノンが受け入れている難民の数は9月末でおよそ100万7千人。トルコの半分の数ですが、トルコは面積が日本の2倍、総人口7千万。一方レバノンはなんと岐阜県程度で人口500万人。それで100万人を受け入れているというのです。

僕はこのことを知らなかったことをなんだか恥ずかしく思えました。シリアやイラクを観るとどうしても戦乱の方にばかり目が行ってしまいますが、しかしトルコで、さらにはレバノンで、多くの人々がシリアの人々の苦しみを受け止めているのです。
日本に住まう私たちは余りに狭い情報にしか触れていない。世界でこんなにも多くの人々が困窮していることをなかなかつかめないし、レバノンでこれだけ寛容なケアがなされていることもマスコミにもほとんど載っていません。
こうしたことをもっと正確につかみ、世界の人々が実践してる平和への試みと連携していく必要を強く感じます。世界各地にかっこたる平和力がある!

同時に人口2400万人のシリアという国から、国内外も人口の半分近くの1000万人を越す難民が発生しているという前代未聞の事態がありながら、それがあまりに正確に伝わっていないこの国の状態を反省的に捉え返していく必要があります。
こうした中で「積極的平和主義」を掲げる安倍政権が、この数百万人のうち日本への難民として認めたのはたったの3人です。岐阜県ぐらいの大きさの国が人口の2割にも相当する100万人を受け入れているにも関わらずです。
国連の常任理事国入りを切望するような国が、数百万人の難民のうち3人しか引き受けないなんてあり得ないほどに恥ずかしく愚かな話です。

今回は難民を懸命に支えている各国の人々のことに学ぶために、岡さんのコメントをそのままみなさんに紹介したいと思います。
ご本人の承諾を得ましたが、僕の配信に対して、必要な点を即座に、大づかみで教えてくれたものであることにご留意ください。

*****

おかです。
守田さん、重要な視点ですね、論考、どうもありがとうございます。

シリア難民問題は、2011年からまる4年、ずっと存在していました。
報道もなかったわけではありませんが、それは、あくまでも、中東の難民問題であり、世界に数多ある問題のひとつ、だった。
それが、ここにきて、ヨーロッパ、とくにドイツに、難民が大量に流入するようになり、シリアの難民問題が、「ヨーロッパの難民問題」になったとたん、日本でもぐっと報道量が増え(夏は連日、報道していました)、そして、報道のスタンスも、にわかに、他人事から我が事に変わったように思います。
報道の量が増えるのも、報道のスタンスが、我が事としてとらえるのに変わるのも、歓迎すべきことではありますが、中東で、シリア人(その大半はムスリム)が難民になったり、地中海で溺れ死んだり、殺されているあいだは、他人ごとで、ヨーロッパの問題となったとたんに我が事になる、そのところに孕まれている問題についても、自覚的でありたいと思います。

ほかにもいろいろ書きたいことがありますが、いまは、さしあたって、以下のことだけ。
守田さんの今回の論考のなかに、

>さて難民は国境を接しているトルコに入り込み、ヨーロッパ各地を目指していますが、見ておくべきことは難民に対してもっとも寛容な態度を示しているのはトルコの人々だということです。
>すでに200万を越える人々が流入しています。これに対して他国にありがちな移民排斥などは起こっていません。トルコの人々は戦乱に苦しんでいるシリアの人々に手を差し延べているのです。それでなければとても200万人なんて受け入れられない。

というくだりがあります。
それに対して、異論反論というのではなく、以下のことを補足したいと思います。

シリアのお隣のレバノンもまた、この4年間、シリア難民を受入れ続けています。
今年9月末の段階で、その数は、100万7千。
トルコのちょうど半分です。

トルコは国土面積が日本の2倍、総人口は7千万。
それに対し、レバノンは、岐阜県程度の大きさ、人口は500万です。
(縦に細長い国ですが、北の国境から南の国境まで、車で2時間ちょいです。)

人口500万の岐阜県程度の大きさの国が、100万の難民を受け入れているのです。
日本の人口比に換算すると、2500万人の難民を受け入れている勘定になります。
トルコは、日本の人口比に換算すると、400万弱です。
また、レバノンのGDPは443億ドル(2013年)、トルコは8221億ドル、約20倍の開きがあります。
(ちなみに、レバノンは国内産業がほとんどないので、海外からの送金が大きな比重を占めています。)

しかも、レバノンの500万の人口の10分の1(50万)が、パレスチナ難民であり、そのうちの半分以上が、難民キャンプ生活です。
レバノンは、イスラーム(スンニ派、シーア派)、キリスト教(マロン派)、ドルーズ、その他、いろいろなセクトがモザイクのようにあって、そのため、1975年から1990年まで16年にわたり内戦をしていました。
いまでも、内戦が再発しないよう、危ういバランスの上で、どうにか、国家の体を保っているという状況です。
そこに、人口の5分の1にあたる難民たちが流入しています。
シリアの難民たちも、レバノン人(とくに下層の人たち)、そして、パレスチナ難民たち・・・みな、想像もつかない困難な状況に置かれています。

レバノンが、ISの侵入を許していないのは、これが来たら、再び内戦の悪夢がよみがえることをみな、分かっているからです。
とにかく、レバノンが国家として持ちこたえていることが、奇跡としか、いいようがありません。
トルコは、IS問題に政治的に絡んでくるので、メディアから注目されますが、レバノンの場合、そうではありません。
内戦当事国であるシリアはもちろんのこと、トルコだけでなく、レバノンも、いま、ものすごく大変な状況にあることを(下手をすると内戦になる)、そのなかで、必死に闘っている人たちがいることを、ぜひ、知っていただけたら、うれしいです。

続く

コメント (1)
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