明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1697)政治をみんなで変えるときが来た!そんな選挙を大いに楽しもう(倉林さんインタビュー2)

2019年06月08日 23時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190608 23:00)

前回に続いて倉林さんインタビュー記事をお届けします。今回は参議院での論戦をよりリアルに知っていただくために、精神保健福祉法「改正」をめぐる攻防をお伝えします。

倉林明子さん(HPより)

人権を守るために大奮闘

倉林
そういえば少し前に「精神保健福祉法」の改正法案というのがあって大揺れしたんですよ。(守田注:正式名称は「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」)
法案を審議するときには、普通、その主旨が説明されるわけですよ。「こういう目的で改正案を作りました」というのがあるわけ。それをね、審議中のあるとき官僚が書き換えて議員会館に持ってきた。
立法目的が途中で変わったんです。ちょっとにわかに信じがたいでしょう?

守田
審議している途中で目的が変わる?

倉林
そうそうそう。その信じがたいことが起こったのがこの事件だったのですよ。朝早く議員たちが来る前に部屋に投函してまわった。私は朝が早いから気が付いたのだけれどね。
でもどうするつもりだったんだと思うね。立法趣旨が途中で変わるなんてひどすぎる。「出し直せ」と言うことじゃないですか。

守田
途中で話が変わるということだものね。それが「これじゃあ通らないぞ」ということで。

倉林
審議の中で気が付いたのでしょう。「津久井やまゆり園」の事件があったでしょう?あれが立法の根拠だったのですよ。

守田
すごく大きな話ですね。

倉林
そう。しかも安倍さんの一言で。

守田
実質的にはどういうことだったの?

倉林
いまの精神保健福祉法で強制的に入院させることができるわけね。「措置入院」というわけだけれど、津久井やまゆり園の事件の犯人の植松氏は措置入院をしていた経験があったのですよ。その後に退院して事件を起こした。
そこに注目して「措置入院を一旦したものには警察が関わって監視ができるようにする」というものでね。

守田
わあ。考え方が最悪だね。障害者抹殺につながっていきかねない。

倉林
そうなんですよ。ぞーっとするでしょう。恐ろしい法律ですよ。

守田
ナチスがちらっと見える。  


くらし・営業・福祉を守った国会レポート 2017年7月(HPより)

倉林
そうそう。ざっくりいうと「措置入院患者に警察が関与して悪いことをしないように退院しても監視できる法律を作れ」と言うことだったわけ。あの事件をきっかけに「精神保健福祉法」を見直せと言う指示がなされて出されてきたのですよ。

守田
なるほど。じゃあ障害者団体の方たちなどが注目していたわけだ。

倉林
それはもうすごく。これは大変なことになると。

守田
こんなことがまかり通れば障害者の人権が大きく切り縮められてしまう。

倉林
そうなの。そうなの。ただでさえ、精神科の入院施設の人権侵害が問題になっているわけじゃないですか。

守田
日本の医療の闇だものね。

倉林
それなのにさらによ。措置入院患者については退院後も監視の対象にすると。「犯罪をするかもしれない」ということで監視せよということなのね。

守田
そうなると退院してきた人たちはみんな犯罪者予備軍にされてしまう。

倉林
そうなの。これはもう二重三重に精神障害者の人権侵害にあたるわけで絶対に許してはあかんと思ったわけですよ。それで議論の中で「立法事実もおかしい」とやっていたら「いやいや」といって立法目的を差し替えて放り込んできたものだから。もうね、頭から火が出るかってぐらい怒ってね。
(守田注:「立法事実」とは、立法的判断の基礎となっている事実のこと。「法律を制定する場合の基礎を形成し、かつその合理性を支える一般的事実、すなわち社会的、経済的、政治的もしくは科学的事実」(芦部信喜、判例時報932号12頁))

守田
そりゃそうやねえ!

倉林
そりゃそうよ!本当にえげつない話やったんですよ。

守田
それはぜひ紹介しないと。その攻防って人権を守るためのリアルな攻防だものね。

倉林
そうでしょ。だから切れたのよ。頭が。

守田
わっはっは。

安倍政権の人権軽視は極めて危険

倉林
精神保健福祉法はたまたま先議になったんですよ。参議院で先に議論をしたわけ。

守田
それはなぜ?

倉林
参議院は衆議院が終わらないと法案がまわってこないじゃないですか。だから隙間ができるときに、じゃあこっちは先に参議院でやってくださいという話が成立したら参議院からやることもたまにあるんです。

守田
じゃあこの場合は参議院で話して世論が喚起されて・・・

倉林
それから衆議院にいくはずだったわけですよ。ところがもう審議中から世論がうわっとなって。それで結局、衆議院で審議に入れなくなってしまって最後は廃案になりました。


参院本会議で精神保健福祉法「改正」断固反対を訴える倉林さん 2017年5月17日(HPより)

守田
なるほど!そうかあ。審議に入れなくしてしまったんだ!
ちなみにさっきナチスがちらっと見えると言ったけど、少し前にBSの海外ドキュメンタリーで『それはホロコーストのリハーサルだった』という番組があってね。ナチスが使ったガス室は実はドイツの精神医学会が開発したことが明らかにされていて。

倉林
そこ、すごくくっついているのよね。精神医学と障害者の人権侵害と。

守田
ドイツの精神医学会が精神障害者をガス室で抹殺することを始めて、ナチスはそれを取り入れて対象をユダヤ人などに拡大したのね。
だからナチスという「極端な思想集団」が始めたことではなくて、近代の医学の考え方の中に、人間を「生産性」で測り、「劣ったものを社会的に養っていくのはマイナスだ」とかいうひどい考えがあったわけなんだよね。

倉林
いまそういう考えが本当に強められようとしていてね。安倍政権はナチスに通ずるところが見えていてすごく危険性を感じるのね。

守田
それこそ杉田水脈議員の「LGBTには生産性がない」なんて発言なんて典型だよね。LGBTの人々への侮辱でもあるけれども同時に人間を生産性で測るところが恐ろしい。

倉林
そうそうそう。そういう意味でね、あの事件をきっかけとして、安倍さんの命令一下でこんな危険な法律案が出されたことに危険性をリアルに実感したよね。こんなことをしようとするのかと。
立法事実は国民の中にないわけよ。精神障害者にももちろんない。安倍さんの考え方でしかないものだった。それに対して厚労大臣が命令一下のもとに短期間に作り上げたものだったわけ。

守田
でもだからこそ人権の観点からまっこうから突っ込まれたら耐えられないものだった。

倉林
だって辻褄が合わないですよ。「精神保健福祉」として積み上げてきたものがあるわけだから。

守田
なるほど。もともともっと人権に配慮した法だったわけだ。

倉林
精神保健福祉だからね。そこで議論と改正を積み上げてきているわけですよ。やはり入院ではなくて地域で暮らしていけるように包括的な福祉に進んでいかなくてはならないと。

守田
犯罪者のように扱ってはならないと。

倉林
それよ!いまは精神病院に入ったら何十年も拘束したりしている。そうなったら出てきても受け皿もないし。結局、障害者の監獄が、自宅軟禁から精神病院に移ったという構図でね。
本当にこの国の精神医療は遅れている。そのことに対する問題意識を私は持っていたから。

守田
さらに酷さを促進すると。

倉林
だって犯罪者扱いでしょう?もう逆行以外のなにものでもないわけですよ。

立法主旨の書き換えのその日に委員会で追究

守田
その立法主旨を差し替えたものがたまたま朝配られたわけだ。

倉林
そう。本質は障害者に対する差別と偏見を助長するような人権侵害法律を安倍さんの主導で作ろうとしたということだったわけです。

守田
それですぐに追及をして、その意味では倉林さんも食い止めたわけね。すごいじゃん。すごく大きいことだな。

倉林
と言っても参議院ではいったんは通ってしまったんですよ。でもあまりにも問題が紛糾したので、衆議院では審議に入れなくなってしまって。
それでそのときの193国会から法案として次の国会、その次と継続審議扱いになっていたのだけれど、結局できないままに衆議院が解散したので廃案になったわけ。

守田
これは分かりやすい攻防だね

倉林
安倍さんの本質が出ているでしょう。おんなじようなことその後もやっていて。

守田
杉田水脈議員の暴言はある意味で安倍さんを代弁するものであったわけだけれど、この法案は安倍さん自身が指令を出したわけだし。

倉林
(その時の資料を見せながら)これこれ。これをもって来られて頭に来てそのまま質問に立って追究したんですよ。原稿もなしにその日のうちに。ひどすぎると思って。  

赤字で示されていたもともとの立方主旨が消されてしまった(倉林さん提供)

守田
へええ。それで阻止した!

倉林
阻止した!ホームページに動画があるんだけど「がーっ」って怒ってやってる(笑)  

守田
見たい!ぜひ見なくちゃ。(笑)

倉林
当時は「ヒスだ」とかいろいろネットで書きこまれたのね。でもそれも含めてけっこう見られていたんだと思う。




当日、厚生労働委員会ですぐに質問に立った倉林さん。塩崎大臣を追及 2017年4月13日( HPより)

守田
これすごく重要なことだものね。植松氏という一個人が犯した罪を同じような病を持っている人がみんな犯しうるかのようなことを言っている。
でも実際には精神障害者よりも「健常者」の方が圧倒的にたくさんの深刻な犯罪を起こしているんだよね。

倉林
そう。精神障害者は犯罪率はずっと低いのよ。それなのに。

守田
そういうことだったのか。なるほど。このケースはまさに倉林さんが人権を守った具体的例だよね。1人の参議院議員が怒ることでこうして悪法が世に出ることを止めることもできる。だから倉林さんの議席が重要。

倉林 そうなんですよ!

守田注:以下は当日の委員会(2017年4月13日)での質疑と、参議院本会議(2017年5月17日)での反対表明。問題点については後者がまとまっている。必見!

精神保健福祉法改定案の趣旨説明「相模原事件」を厚労省削除 「立法事実に関わる」倉林氏 2017年4月13日 厚生労働委員会 倉林明子ホームページより
http://kurabayashi-akiko.jp/report/20170413kourou/

共産党倉林明子さん精神保健福祉法改正に断固反対 参議院本会議 2017年5月17日 https://www.youtube.com/watch?v=kPAg_uWoOAY

続く

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明日に向けて(1696)政治をみんなで変えるときが来た! そんな選挙を大いに楽しもう(倉林さんインタビュー1)

2019年06月08日 11時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190608 11:00)

参議院選挙が迫っています。今回の選挙、僕はようやく政策合意のもと、32の一人区で候補者一本化を決めた市民と野党の共闘を心から応援しています。
同時にこの共闘のために並々ならぬ尽力をしてきた日本共産党を応援し、とくに僕が住んでいる京都で現職参議院議員の倉林明子さんをもう一度国会に送りこみたいと思っています。
もともと倉林さんに共感していてファンだからでもありますが、要請を受けて日本共産党・倉林明子選挙事務所の事務次長にも加わることにしました。(おそらく選挙事務所への党員以外での初めての参加です)

それで早速、東京の参議院会館を訪れて倉林さんにインタビューしてきました。聞きたいことは山ほどありました。例えば倉林さん、僕が一番重視している原発問題で50回を越える質疑を行われています。
しかし今回はあえて「参議院のお仕事」と「野党共闘の意義」にフォーカスしました。選挙をみんなで能動的に担うために参議院という場がどういうところなのか、どんな攻防があるのかをもっと深く知る必要があると思ったからです。
また成立した野党共闘の意義をみんなで何度でも確認したかったからです。

この点ではこのインタビューには、野党共闘のすべての候補の応援にもつながる内容がこもっていると自負しています。というか倉林さんは非常におおらかにその点を語ってくださっています。
だからこのインタビュー、倉林さん以外の民衆の側に立つ候補予定者を応援するすべての方に読んでいただきたいです。


参議院会館の倉林さんの部屋にて 2019年5月25日

しかし一方でここでは倉林さんの魅力のすべてを網羅できていません。その点をもっと知りたい方はぜひ彼女のホームページに掲載されている、生い立ちや看護師から政治家に転身した経緯などを一緒に読んで下さい。
「webまんが アッコ物語」がとくにお勧めです。また国会での原発での質問や今回も触れた消費税をめぐる論戦などを扱った素晴らしい出来栄えのプロモーションビデオもあるのでそちらもご覧になって欲しいです。

倉林明子ホームページ プロフィール
http://kurabayashi-akiko.jp/profile/

日本共産党・倉林明子参院議員プロモーションビデオ
https://www.youtube.com/watch?v=cBvn1R-lafw

以下、インタビューに移ります。

*****

政治をみんなで変えるときが来た! そんな選挙を大いに楽しもう!
倉林明子さんインタビュー 
2019年5月25日 参議院会館の倉林さんの部屋にて

守田
こんにちは。国会で本当に忙しい中、時間をとってもらってありがとうございます。

倉林
いやあ本当にいまは繁忙期で。国会と地方議会と日程感がぜんぜん違うんですよ。

守田
そうなんだ。

倉林
本会議がなくなったり飛んだり。日程が一つの政治的駆け引きになったりもするし。なんていうところだ。地方議会では考えられへん。

守田
それでだいたいの質問はメッセージで書き送りましたけど。

倉林
なんか怖いわ(笑)

参議院と衆議院はどう違うのか

守田
今回、インタビューの前に考えたのだけれど、普段、人々は参院と衆院の違いをあまり考えてないと思うのね。一応、知ってはいてもそこでの仕事の仕方の違いとか、何が攻防になっているのかとかあまり知られていない。

倉林
そうやね。衆院と参院となんで二つあるのかとかね。

守田
「どうせ参院に来て衆院の決定をひっくり返してもまた衆院でもとに戻ってしまうのでしょう」とかも思われていて。

倉林
予算案とかはそうやけどね。(守田注:他に法案、条約承認、内閣総理大臣の指名)

守田
その辺のことがもう少し伝わった方がいいかなと。野党共闘は大事だけれど、みんな候補をどう統一するのかの方に意識があって、そもそも参議院の仕事はどういうものなのかをもっと知らないと。

倉林
確かに。そうやなあ。衆議院が入り口になるじゃないですか。法案はね。まず衆議院でバーンと審議をやると主な論点が出てくる。そうするとはっきりしたところ、とめられたところ、触れられていない隠れた論点は何なのかということになるわけ。
またそうやって衆議院で議論になると報道されるので世論の反応も出てくる。でも衆議院の時は審議に反応が間に合わない面がある。だから衆院の審議があってそれに世論が反映されて参議院に来るという感じが多いんですよ。

守田
なるほどね。

倉林
だから衆と参が何が違うかと言うと、衆は入り口で論点をはっきりさせ、世論が起こって参でもう一回審議して世論が反映される。ここが大きいかな。二院制のいいところは一回で終わりにならずに国民の声を含めた論議ができるところやね。

守田
でも衆議院の討論ってどこで終わって参議院にまわるんだろう。

倉林
衆議院では基本的には本会議で負託して、委員会で審議して委員会の採決をして本会議で採決した上で参議院に来ると言う流れですよ。

守田
採決まで論点を尽くすと言っても強行されてしまうことがよくあるわけでしょう?  

倉林
あるある。法案によって「これについては審議時間をこれぐらい確保しましょう」とか理事会で全会一致で確認した上で転がすというのが基本なのだけれど、日程がつまってきたリ、はやくあげたいとなると削ってくるわけよね。


倉林明子ホームページトップより

守田
1回の会期でだいたいどれぐらいの法律ができるの?

倉林
今回は5本かな。議員提案も入れると7本ぐらいかな。でも一括法案というのが増えていて一本に8つぐらい入っていてね。だから一括審議も含めて5本から8本ぐらい。
ただしこれ私のいる厚生労働委員会だけですよ。会期にも寄るんですけどね。通常国会の場合だと何十本とかかってきますね。

守田
それを全部、勉強しはる・・・

倉林
そうそうそう。ふふふ。それと法案と法案の間に、必ず一般質問というのを入れるんですよ。厚生労働委員会で。法案、一般、法案、一般というふうに。

守田
それはどういうもの?

倉林
自由なテーマでできるんですよ。社会保障や労働行政に関する質疑ということで。そうでないと法案のことしかできなくなるじゃないですか。このため自由質問できる場を入れ込むわけ。厚生労働委員会は所管も多いので必ず入れようということで。
通常国会の一般質疑でいったら~質疑をまとめてファイリングした封筒がぎっしり詰まっている本棚の前に移動~ここからここまでがこの国会でやったやつで。これが一般でやったやつかな。これは国保、これは年金だ。
それから医師・看護師の働き方問題、これはどこでやったんだったかな?これは生活保護の物価偽装、これも一般質問でやって・・・。だから今期、ここから始まってここまでダーッと。

守田
うわあ~~~。


高浜原発再稼働断念を迫る質問のレポート(HPより)2015年8月

常に幾つかの法案に同時並行で対応

倉林
へへへ。この間、行政監視委員会というのもあって、そこで集落営農の問題を扱って。(守田注:集落営農とは、集落を単位として、農業生産過程の全部又は一部について共同で取り組む組織のこと 農林水産省HPより)。
中山間地のね。これは農業シンポジウムを京都の北部でやったときの宿題をやったの。

守田
なるほど!忙しいなあ。

倉林
わはははは。ハラスメントについては1回、2回。女活はもうちょっと審議せなあかんと思ったんやけど、1回、2回。それから参考人を呼んで。それでもやり切れてないのが多いんだけれどこんな感じで。

守田
すごいねえ。

倉林
これを「198国会でやったよ」と積んでいくわけ。この辺もいれると3年分。

守田
でもこれ一つ一つ勉強するの?知らないこともあるでしょう?その場合は一から?

倉林
そうだねえ~。一応ほら、厚労は3年目なのでだいたい大きい法律、というか年金などの大きい「改正」を通り越してきたので。

守田
その時に勉強してきたわけかな。

倉林
そう。そのときだね。それに25年の京都府議会、京都市議会、国会とすごしてきて経験の蓄積がそれなりにあるからまったく一からでもないのだけれど。
先週だったら月曜日が行政監視委員会ね、農業をやって、火曜日は統計不正の問題。それの集中審議をやって。それで水曜日は本会議。この時は出番はなかったけれど。

木曜日には女活法の参考人質疑をやって。「女活法」ってすごくいやらしい名前だけどねえ。そのあとに本会議があって私が出て質問せなあかんかったんやけど、最初に話したように急に延びて来週の水曜日になって。
それで質問の準備をどうするのかというと、金曜日に「こんな質問をするよ」と通告するわけですよ。来週分をね。

守田
すごい連続だ!

倉林
その通告のための準備をして、他と並行なのだけれど、ここのスタッフで質問内容の集団検討を前日朝にはやるのでそこまでに原稿をあげて。それでみんなで検討してもらって昼以降に通告を出すわけ。
それが連ちゃんになったりするじゃないですか。そうするとこの作業を幾つかいっぺんにやるわけですよ。今週だったら障害者雇用の法律のことも入ってきて最初の代表質問をすることになったので、農業についてやりながら障害者雇用のことをやって女活法も。

守田
わあ。ははは。もう笑えてしまう。とにかく並行してやらないと。

倉林
そう。並行してやるしかなくてね。ここで参考人質問が入ってとこんなことで順繰り、順繰りにね、やっていくという感じで。

守田
うーん。これ、ぶっちゃけさあ、他党含めてね、どれぐらいの議員さんがこれだけのことをちゃんとやれてるんやろう。めっちゃ大変やん。これ。

倉林
大変・・・。一人会派は維新と私と無所属の人で、ここはずっとやらなくちゃならないわけですよ。

守田
あとの大きいところはもっと分担しているわけか。

倉林
分担したり、与党は「もういいや」と言ってやめちゃったりもするし。自分の質問時間を吐き出して野党にやってもらったらいいと。
それも駆け引きの一つなんだけどね。審議時間を短くして早く上げたいとか。自分たちは提案までに関わってきているのでね。  


守田
これ、他の共産党の参院の人たちと一つ一つ協議することとかできないのでしょう?

倉林
できないですよ。テレビで流れる予算委員会とか代表質問は集団で検討してもらえるのだけれど、委員会の一本一本は個人責任です。

守田
それが共産党の見解になるわけでしょう?

倉林
そうなの。法律での国会論戦は地方議会でも使われもするじゃないですか。もちろん法案についてどんな態度で臨むか、党の中で検討前に衆参の委員会単位で部会を作ってどうするか決めて臨むんですよ。
でもそのあとから出てくる論点とかを含めて私が対応していくことになるんです。


若者たちと談笑する倉林さん(HPより)

一番大事なのは現場の声に耳を傾けること

倉林
それを質問にしたてないといけないじゃないですか。いかに市民の声や生活、起こっている出来事なんかを含めて「だから反対」ともっていくか。
そこで聞いている側に共感を得られないといけないじゃない?独りよがりで言っているだけでは説得力を持たないしね。リアルな声をどうやって集めるのか。

守田
それによって違ってくるわけだ。

倉林
そう。それをどうやって拾って論戦に生かして議事録をきちっと残せるかがとても大事。それでレクをしてもらったり、当事者の声を聞いたり、そういう時間もいっぱい必要になってくるんです。
厚生労働省に聞くだけじゃなくて、各団体にも聴くし院内集会もたくさん開かれるし。  


守田
なるほどねえ。それでどんどん判断していくわけだね。でもそれって怖いよね。間違って判断してしまうこともありえるわけだし。

倉林
ああ、もう怖い怖い。責任重大!でも判断するときに自信を与えてくれるのはやはりそこに声があるということなんですよ。実体がある。
事実として出ているリアルな要求が法に照らしてどうなのか、憲法に照らしてどうなのかの物差しさえはっきりしていれば大きな間違いには絶対にならないと思っていて。

守田
それで現場の声を重要視しているわけやね。

倉林
そうそう。

守田
この予定表にあるのは、今度の日曜日の京都の集会だよね。いつ来ていつ戻るの?

倉林
土曜の夜行って、日曜の夜に戻らないと。火曜日に質問でその準備があるから。

守田
休みないじゃん!

倉林
そうなの!

守田
うーん、うーん、なるほどねえ。

倉林
強制労働委員会だ~なんて。

(爆笑)


舞鶴で紙智子参議院議員、原田完府議と共に漁業者と懇談 2018128日(HPより)

初めは本当に苦労した・・・いまも大変だけれど・・・。

守田
そっかあ。そういう活動を6年重ねてきて、どれぐらいで慣れたというか、ペースをつかんだのかな。

倉林
あー。そうやねえ。経済産業委員会のときは・・・

守田
最初はその委員会だったわけね。

倉林
そうなんだけど分野が経済でしょう。あと原発でしょう。本当に苦労した。法案も。

守田
どういうふうに苦労したの?

倉林
ようは、リアル感ということで言うとね。まあ原発はまだしもなのだけれど、経済の規制緩和に関する法律がバーンと出てくる。そういうものがどう暮らしや中小企業とか事業者のところに影響が出ていくのかを落とし込んでいくことがすごく大変で。
そもそも法を読むことが大変だしいま加わっている厚生労働委員会は暮らしに密着しているので分かりやすいのだけれど、経済産業委員会のときは・・・。例えば特許法とかさ!

守田
特許法ねえ。

倉林
ね?特許法とか、法律のたてつけがどうなっていているのか。いわゆる枠組みや骨子、まあルールよね。それがどうなっているのか、実際にそのルールが効いているのかとか。 多くは大企業が使いやすいように流し込んできているのだけれども、そこがどうなのか。

守田
つまりどこが悪いのか。

倉林
そうそう。この法律のどこに悪さがあるのかを明らかにしようとするのだけれど、法律そのものが複雑なのよ。それで経済産業のときは、法律そのものを勉強するためにとっても時間がかかったし。
うーん。それに対して質問に組み立てていかなくてはならないわけで、1年目のときは「これ6年なんてとってもやれそうにないな」と思ったくらい。本当に。泣きを入れたくなるくらいやった。ははは。

守田
お疲れさまでした!

倉林
本当に!

守田
今回、倉林さんをもう一度参院へというときの理由としてあげるべきことは一つはそこだな。6年間で培ったすごい経験を絶対に生かさないと。

倉林
そうよねえ。未だに慣れたと思ってないしドキドキハラハラ感でやっているんやけどね。

守田
でも積み上げてきたものがあるでしょう?慣れというのではなくて。

倉林
そうやね。経験は積んだね!ははは。私だってこの道のプロとしてこの仕事に入ってきたわけではないわけよね。国民の代表として送ってもらっているのでそういう点で一から勉強してきたものもあるな。

続く 


厚生労働分野での奮闘をレポート 2018年1月(HPより)

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