明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1105)週末は町に出て「戦争法案反対!」「原発再稼働反対!」と叫ぼう!

2015年07月10日 22時00分00秒 | 明日に向けて(1101~1200)

守田です。(20150710 22:00)

安倍政権が「安保法制」を来週にも強行採決しようとしています。同時に川内原発も再稼働に向けて燃料が装填されました。
これに対して、全国で本当にたくさんの人々が起ちあがり、デモ・パレードをはじめさまざまな行動に取り組んでいます。
この土日もたくさんの取組があります。互いの地域の頑張りを知るためにと街頭行動をまとめてみたところ、余りの多さに驚きました。
おそらくこれでもたくさんの行動が網羅できていないと思います。(講演会・学習会・映画上映会などなどフォローできていません)

みなさん。この週末は町に出て「戦争法案反対!」「原発再稼働反対!」の声を上げましょう。いやその先も声を上げ続けて、戦争と原発の地獄に進む安倍政権を止めましょう!
ぜひお近くの行動にご参加下さい。

なお、全国の街頭行動情報は以下のソースから入手させていただきました。11,12日以外にもたくさんの行動があります。ぜひ参考にしてください。

 日本全国デモ情報
 http://www.magazine9.jp/demoinfo/

 デモ・抗議開催情報まとめ(TPP・改憲関連)
 http://www57.atwiki.jp/demoinfo/pages/1.html

 しんぶん赤旗
 全国の戦争法案反対 今月の行動 (上)
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-08/2015070805_01_0.html
 全国の戦争法案反対 今月の行動 (下)
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-10/2015071005_01_0.html


【7月11日】
北海道札幌市
「わたしたちは戦わない!大集会&パレードin 北海道!」
午後2時スピーチスタート 午後3時からパレード
中島公園自由広場
主催 北海道弁護士連合会 旭川弁護士会 釧路弁護士会 札幌弁護士会 函館弁護士会
共催 日本弁護士連合会
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=597204487048931

北海道旭川市
強行採決ぜったいさせるな!レッドアクション
旭川1条通買物公園
11時半から
https://twitter.com/nishi9jou/status/618804113069834240

埼玉県所沢市
女性のレッドアクション
午前11時から西武線所沢駅東口で赤いものを身につけて宣伝・アピール行動。
主催=実行委

東京都大田区
戦争法案に反対する緊急アクション
午後2時より
大田区JR蒲田駅(東口)
怒れる女子会@大田区
https://www.facebook.com/dojoshiota/photos/a.789390154484400.1073741827.786288614794554/893173670772714/?type=1&theater

東京都新宿区
【NO MORE BASE FES】
7/11(土)15:00新宿柏木公園集合
15:30デモ出発
★若手弁護士の呼びかけ
★辺野古基地建設NO!沖縄の声を日本中の声に!
https://www.facebook.com/pages/NO-MORE-BASE-FES/1144594262224711

東京都三鷹市
さよなら原発!三鷹アクション・パレード~その10「夕涼みパレード」
17時00分:集合
17時30分:パレード出発
18:15頃:終了 武蔵野公会堂前/流れ解散
集合場所:武蔵野市中央高架下公園 武蔵野市御殿山1丁目 中央高架下公園リンク
http://mitaka2011nonukes.blog.fc2.com/blog-entry-134.html

東京都八王子市
「バイバイ原発パレード」vol.5
15:00~16:30
場所:船森公園(京王八王子駅西口スグ)
〒192-0046 東京都八王子市明神町4-9
主催 原発ゼロへ八王子の会
お問い合せ 八王子・たま健康友の会気付 原発ゼロへ八王子の会
電話番号:042-631-6466/042-639-7634
http://nonukes802.blog.fc2.com/blog-entry-69.html

東京都小金井市
こがねいピースパレード
16:00集合
中町三丁目暫定広場(ジャノメ跡地
16:00ミニイベント 16:45パレード出発予定
主催 こがねいピースアクション2015
https://twitter.com/heiwa_koganei/status/617208340993552384

東京都小金井市
守りぬこう憲法9条 市民総がかりパレード
市役所前広場
10時半集合 11時出発
主催 総がかり行動実行委員会
https://twitter.com/nowarTama/status/619317085215199232
神奈川県鎌倉市
安保関連法案に反対する ピースパレードinかまくら
10:30 鎌倉駅西口 市役所前集合
11:00 出発〜
コース 鎌倉駅西口〜御成商店街〜若宮大路〜鶴岡八幡宮〜小町通り〜鎌倉駅東口〜カトリック雪ノ下教会前解散
https://www.facebook.com/events/844994248922500/

神奈川県横浜市
戸塚で戦争法案阻止!街頭宣伝
戸塚駅西口ペデストリアンデッキで街頭宣伝をします。
15:00~16:00
主催:安保法制に反対する戸塚区有志

新潟県新潟市
安保法制に反対する、ふつうの庶民の週末夕方ピースウォーク
16:00出発(17:45到着予定)
集合場所:石宮公園(新潟駅万代口)
到着地:のぞみ公園(新潟駅南口)ミニ集会
主催:海老ケ瀬ピースウォーク
https://twitter.com/seiten_ndc/status/611850605447872512

新潟県新潟市
ストップ!戦争法案 江南区の集いとパレード
午後1時半から亀田市民会館 一点での共同行動
主催 亀田地区9条の会

新潟県新潟市
止めよう!戦争法案 西区シンポジウムとデモ
午前10時から西新潟市民会館
主催 日本共産党西区委員会・後援会

富山県富山市
許すな!戦争立法怒りの県民アクション
午後2時から富山城址公園芝生広場
主催 「戦争する国」づくり反対共同行動実行委

愛知県名古屋市
◆Stop it Abe NAGOYA@愛知◆
14:00~白川公園 14:30~デモ出発
名古屋でも「戦争反対」の意思表示を始めよう!若者、もちろん先輩たちも大歓迎。あらゆる世代で「戦争法案」なくそう。
主催 Stop it Abe NAGOYA Action
http://wakamonokenpou.wix.com/wakaken2015#!event-aichi/c1mdl

愛知県名古屋市
「みんなで止めよう!安倍政権の戦争法案」街頭情宣
栄 メルサ前
11時から

愛知県名古屋市
「戦争法案反対」「原発ゼロ」のパレード
上小田井駅前南口
午後5時から
https://www.facebook.com/takeshi.iwata.589/posts/482972198545078

京都府京都市
沖縄・辺野古への新基地建設に反対し、普天間基地の撤去を求める京都行動街頭アピール
三条河原町商店街アーケード前スペース
17:00~18:30
http://kyoto-action.jugem.jp/

京都府京都市
戦争展プレ企画・講演と楽器演奏
午後1時45分から京都教育文化センター
主催 実行委

大阪府大阪市
平和と憲法を学ぶ「連続学習講座」・「戦争立法」ストップ、憲法9条守れ!
午後7時から住吉区民センター
主催 住吉革新懇

大阪府大阪市
辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動
JR大阪駅南バスターミナル
15:30~
https://twitter.com/Osakakodo/status/618616118706507776

大阪府守口市
平和のつどい
午後1時半から守口教育文化会館
主催 守口9条の会、新婦人守口支部

大阪府泉南市
「戦争立法」廃案へピースパレード
午後5時に泉南市役所玄関前集合
主催 実行委

岡山県岡山市
怒りの市民大行進
午前11時半に石山公園(岡山市民会館北側)集合
大平喜信衆議院議員の国会情勢報告の後デモ行進
主催=STOP戦争法岡山の会
http://cumagokoro.net/wp-content/uploads/2015/07/20150709141130.pdf

徳島県徳島市
戦争法案反対・女の平和行動
JR徳島駅前
16:30~
https://twitter.com/himitsu_control/status/618788830322122752

福岡県福岡市
天神情宣と天神一周デモ
17:00〜17:30 天神コア前で情宣/18:00 警固公園に集合&デモ開始
(国体道路→渡辺通り→パルコ前左折→西鉄グランドホテル前左折→西通り→きらめき通り左折→岩田屋前右折→警固公園。約40分)
【問合せ】090-3011-9375(自治体はこどもを戦場に送るな 戦争法をつくらせない会・脇)
https://twitter.com/jumintohyo

福岡県北九州市
7.11戦争法案を許さない!北九州集会
13:00~小倉北区の北九州市役所前・勝山公園/14:00~デモ行進/
主催:7.11戦争法案を許さない!北九州集会実行委員会
http://blog-imgs-79-origin.fc2.com/s/i/m/siminnokai/1_20150709204450faa.jpg

福岡県福岡市
命を守る医療者は「戦争立法」を許さない集会
音羽公園にて(博多駅筑紫口 ヨドバシカメラ横)
15:30~16:00 集会 16:00~17:00 パレード(サウンドデモ)音羽公園~キャナルシティ
主催:福岡県民主医療機関連合会
http://f-min-news.blogspot.jp/2015/07/blog-post.html

八法亭みややっこの憲法噺 in ナガサキ
13:30〜15:30(開場は13:00)
長崎大学医学部良順会館2Fにて。入場料1,000円。終了後、平和公園までパレード。
主催 長崎県九条の会 
Tel/Fax 095-820-6401
https://twitter.com/Zenroren_Ngs/status/614091349403406336

沖縄県名護市
座り込み365日 7.11辺野古アクション
@キャンプシュワブゲート前
http://freeokinawa.ti-da.net/e7731585.html


【7月12日】
北海道旭川市
いらんしょ!戦争法案街頭アピール
12、26日午後1時
買物公園(西武B館前)
主催 いらんしょ!実行委員会
http://www.asahikawa-nishi9.org/wp-content/uploads/e97147a70ffcf464f70b7279c6a40f70.jpg

青森県三沢市
戦争法反対!グローバルホーク配備撤回三沢集会(集会後デモ)
三沢市中央公園広場
午前10時半集合 11時デモ出発
主催 戦争法反対!グローバルホーク配備撤回三沢集会実行委員会
https://twitter.com/tos_ichikawa/status/616211981989625856

埼玉県蓮田市
「戦争はいやだ。憲法9条を守ろう」市民のつどい&パレード!
16:30~@蓮田市・根ケ谷戸公園→蓮田駅東口を練り歩きます。
主催 実行委
https://www.facebook.com/saitamanowar/photos/a.1664476040442197.1073741829.1664424410447360/1664475917108876/?type=1&theater

埼玉県秩父市
戦争法案反対、秩父地域集会
午前10時からクラブハウス21で集会・パレード
主催 実行委

埼玉県和光市
デモでもやろう青年DEMO
午後5時半から
せせらぎ公園で集会
主催 実行委

千葉県船橋市
戦争法案反対!習志野自衛隊員を戦地に送るな!平和を求める船橋市民集会
午後2時から 3時半パレード出発
薬園台公園ステージ広場
https://twitter.com/coco_peace/status/613120954424692736

東京都品川区
ストップ戦争法案!品川パレード
午後4時
しながわ中央公園(区役所前)
主催 憲法改悪に反対する品川共同センター(連絡先は地区労03-3491-9242)
https://twitter.com/kouzai2007/status/617571610623520768

東京都中野区
戦争やだね! 7・12中野パレード
14時、杉山公園に集合 中野四季の森公園までパレード

東京都杉並区
中央線沿線一斉抗議行動実施します
憲法違反の安保法案にNOの声を!
高円寺駅南口 16 時~18 時
阿佐ヶ谷駅南口 16 時~18 時
荻窪駅北口 16 時~18 時
西荻窪駅北口 16 時~18 時
主催 NO WAR杉並
https://twitter.com/NowarSuginami/status/616105799702609920

東京都杉並区
戦争法案に反対する杉並デモ!!!
14時15分集合、14時半スタート
杉並区役所前~高円寺中央公園
https://twitter.com/sensouhouanno/status/616877967407345666

東京都練馬区
戦争法案さよなら!光が丘パレード
午後1時から
光が丘区民センター前集合
主催 光が丘9条の会 連絡先:根本 03-3979-1664
https://twitter.com/shimataku_suppo/status/616587977599270912

東京都練馬区
アベ暴走ストップ!練馬デモ
10:45~12:00
練馬春日町駅ウェルパーク前

東京都板橋区
戦争させないピースアクション
水久保公園(常盤台3丁目)
13時半集合 14時デモ出発
呼びかけ かみいた九条の会 桜川九条の会 大谷口九条の会 なかいた・ときわ九条の会 連絡先 稲井 03-3972-0743
https://twitter.com/minoyukapapa/status/616275654116388864

東京都荒川区
『安保法案』は違憲 廃案に!!
オールあらかわアクション
13:00〜荒川公園(区役所前公園)13:30〜パレード(町屋駅方面へ)パレード解散後、14:30〜(町屋駅で共同の宣伝行動)
主催:アクション実行委員会 
連絡先:森本孝子(03-3819-0467)

東京都世田谷区
烏山ピースウオーク
午後6時から
りんれい広場集合
呼びかけ 憲法9条を愛する烏山地域の会

東京都首相官邸前
辺野古新基地反対抗議
14時
主催 基地問題を考える愛国者連絡会
https://twitter.com/recapture_01/status/613532805423697924

東京都くにたち市
第1回「戦争法案」反対くにたち市民集会とパレード
谷保第4公園(市役所西側)
午後1時より
https://twitter.com/nowarTama/status/617310929231855616

東京都東久留米市
戦争はいや!市民パレード
16:00-17:30(小雨決行) 東久留米市役所前広場で集会
16:45~(東久留米駅)西口公園までパレード 
呼びかけ:戦争はいや!声を上げよう実行委員会 042-473-4238(倉本)

長野県飯田市
若者を戦場に送らないために!「はだしのゲン」を語る会
午後1時半から飯田市上久堅公民館
主催 上久堅9条の会

滋賀県草津市
戦争法案反対駅前大行動@Kusatsu
草津駅西口
15:00~16:30
https://www.facebook.com/events/798793083552718/
https://www.facebook.com/events/394913214033505/

滋賀県東近江市
集会&パレード
午後1時半から八日市アピア4階研修室
主催 東近江九条の会など

滋賀県大津市
憲法・平和だいすきのつどい
午後2時から唐崎市民センター
主催 唐崎9条の会

京都府京都市
縁側シンポジウム
午前10時から西陣の町屋・古武
主催 平和の鐘をつく会

京都府舞鶴市
戦争法案NO!舞鶴アクション
市役所前交差点
午後4時半~5時半
主催 戦争法案反対舞鶴アクション実行委員会
連絡先 憲法・平和舞鶴ネット(76-8304地労協内)
https://twitter.com/kyamauchi2/status/616812482401714176

大阪府大阪市
UNITE ALL SMALL AXES vol.06 今すぐ廃案「戦争法案」緊急アピール
17:30〜
なんば高島屋前
https://twitter.com/SADL_OSAKA/status/617165268716949504

奈良県奈良市
大門みきしさんが語る「戦争する国づくりと私たちの暮らし―日本経済の現在・未来―」
午後1時半から奈良県中小企業会館大会議室
主催 奈良革新懇

和歌山県和歌山市
憲法違反の「安保法制」に反対する7・12和歌山大集会&パレード
午後3時から和歌山城西の丸広場
主催 和歌山弁護士会

和歌山県湯浅町
学習会「戦争法案STOP!」
午後1時半から町地域福祉センター
主催 憲法9条を守る有田共同センター

和歌山県新宮市
ケンポー違反「戦争法案」まいしょ~れ!くまの平和の風コンサート
午後2時から市福祉センター
主催 平和の風コンサートの会

兵庫県尼崎市
戦争法案反対 街頭宣伝行動
阪神尼崎駅前
12時
https://www.facebook.com/permalink.php?id=100002472381465&story_fbid=847523005340104

兵庫県神戸市
戦争法案反対ロングラン宣伝
10時からエコールリラ
15時からコープデイズ
主催 秘密保護法と集団的自衛権行使容認に反対する北区の会
https://twitter.com/masarumatsuura/status/618743045211557892

岡山県岡山市
小さな声をあげよう 〜 安保法案の強行裁決に反対する緊急アクション
天満屋前
午後2時~3時
https://twitter.com/yanetsukigarage/status/618590211828776960

鳥取県鳥取市
戦争法案反対デモ@鳥取駅前
鳥取駅前 14時start
主催:戦争法案反対デモ実行委員会
https://www.facebook.com/tottori.democracy/timeline

島根県奥出雲町
牧場(まきば)から育てる健康な食と環境
午後1時から
主催 奥出雲牧場
https://www.facebook.com/events/1598451993769869/

広島県広島市
ストップ!戦争法 7・12ヒロシマ集会&デモ
中央公園東側広場
午後2時~集会。集会後デモ出発
主催 ストップ!戦争法7・12ヒロシマ集会実行委員会
https://www.facebook.com/pages/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97%E6%88%A6%E4%BA%89%E6%B3%95-712%E3%83%92%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%83%9E%E9%9B%86%E4%BC%9A%E3%83%87%E3%83%A2/937027649672050

徳島県徳島市
戦争法案反対!若者緊急集会&デモ
午後3時からJR徳島駅前エスカレーター下集合
主催 若者有志の会

福岡県福岡市
戦争立法に反対する市民デモ
福岡天神警固公園
13:30集合 14:00デモ出発
https://twitter.com/crac9shu/status/611633387044909057

佐賀県佐賀市
7.12戦争法案反対の集い in 佐賀
13:30〜 佐賀市教育会館にて集会後、市内デモ

鹿児島県鹿児島市
ストップ戦争法!かごしま大集会
14:00~15:00集会 その後デモ行進
鹿児島中央公園
http://syamin.chesuto.jp/e1292992.html

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明日に向けて(1104)奥出雲に牛たちに会いに行きます!牧場で原発と放射能のお話もします(12日)

2015年07月10日 00時05分00秒 | 明日に向けて(1101~1200)

守田です。(20150711 0:30)

Facebookの自分のページなどで宣伝しつつ、「明日に向けて」での紹介がすっかり遅くなってしまったのですが、7月11日、12日の日程で奥出雲の成瀬さんの牧場に向かいます。理想的な放牧を行っている牧場です。
この牧場とのつながりについて昨年10月15日書いた記事から抜粋します。ある日の京都での「食」をめぐる学習会での一コマです。

***

ある時、成瀬さんがこう言いました。「放牧されている牛は頭がいいです。牛舎の牛とぜんぜん違います」。それで「どうやって分かるのですか?」と聞いたら「そりゃ、後姿が違いますもん」と笑いながら言う。「一目見れば分かります」とも。

それでもうどうしても成瀬さんの牧場に行きたくなってしまった!善は急げで急きょ、学習会の場を提供して下さっていたキッチンハリーナで参加者を集い、ワンボックスカーに分乗して奥出雲に向かいました。2013年12月のことでした。
中国自動車道を一路、西に走り、途中で北に折れて成瀬さんの牧場に到着。さっそく牛たちにご対面しました。
そうしたら遠くからみるだけで確かに風格が違うのが分かる。近寄って見ると毛並みがとても美しい。足がしっかりがっしりしている。そして何よりも、なんとも言えない落ち着き払った雰囲気がある。

牛たちはすぐには近寄ってきません。「あいつら僕がいるんで必ずそのうち寄ってきます。でもすぐに近づくと馬鹿にされると思って、様子をうかがっているんです」と成瀬さん。
確かに悠々と草を食みつづけながら、時々僕らをちらちらとみている。
そのうち近寄ってきたのはその群れの「格下」の牛でした。そののちにその場のボス牛がのっそりと近寄ってきました。

圧巻でした。本当に「一目見れば分かる」世界でした。とにかく存在感が凄い。うーんと唸り声をあげさせらてしまう。
そこに成瀬さんが他の牛舎から買い入れたばかりの牛を連れてきました。確かに顔つきがまったく違う。それよりも態度が違うのです。それを見ていて「ああそうか」と合点するものがあった。
牛舎にいる牛は人間に全面的に依存して生きています。ただ給餌されるのを待っている。だから人間を見るとおどおどしながら何かをしてくれるのではないかと思って近づいてくるのです。

ところが放牧されている牛たちは自分の判断で野山を駆け巡り、美味しい草を選んで食べている。常に頭を使い続けているのです。
牛舎の牛はふだん考える機会を奪われているから、野に放たれても最初は草を食べることすらできないのだそうです。先輩の牛たちに教えられて草を食べることができるようになる。そうして少しずつ能動性を取り戻していくのです。
放牧されている牛は自分の意志で生きている。さまざまな判断を繰り返しているのです。だから頭がよくなって当然なのです。「なるほど!」と非常によく分かる気がしました。

堂々と尊厳に満ちて生きている牛たちの姿は、いろいろなことを私たちに教えてくれます。牛舎が自然の中にはまったくない人工物であり、牛舎の牛たちのあり方は自然からかけ離れたものであると言う当たり前のことがすごくリアルに迫ってきます。
その意味で成瀬さんの牧場は、ただその場にいくだけで、自然とは何か、食べ物とは何か、牛と人間との関係とは何かを考えさせてくれる素敵な場でした。ぜひまたみんなで行きたいと思っています。
そうしたら成瀬さん。「あいつらは凄く頭が良いのでみなさんのことをすっかり覚えていてすでに格付けしています。今度いったら牛がみなさんをどうみなしたかが分かります!」なんて言う。どきどきしながら再会することになりそうです。

 明日に向けて(952)奥出雲の放牧牛を分け合って食べる!
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/ee058e87f72ca981660502a8d6241fd0

***

自分で読み返していても、あの時の牛たちの威風堂々とした姿が蘇ってきますが、この時に、私たちを圧倒したボス牛、なんと臨月で今回の訪問中にも出産するかもしれないとのこと。もしかしたら今回はそんな場にも立ち会えるかも知れません
なお今回の訪問は成瀬さんからの講演依頼によるもの。みんなで牧場を見学させていただいたあとに、僕とフードポリシーの研究家の平賀緑さんがお話をすることなりました。
以下、企画のFacebookページをご紹介します。

 牧場(まきば)から育てる健康な食と環境
 https://www.facebook.com/events/1598451993769869/

奥出雲方面の方、島根県の方、また山陰、山陽地方の方、今からでも参加ですので、良ければぜひご参加下さい!
尊厳をもって堂々と生きている牛たちとの出会いは本当に圧巻です!

以下、案内と細かいスケジュールを記しておきます。
なお奥出雲牧場は「道の駅 おろちループ」の目の前です。来られるときにはこの道の駅をランドマークにしてください。

*****

牧場(まきば)から育てる健康な食と環境
〜牧場交流会と講演会〜

健康な生命は、健全な土から。
自然な環境の中で元気な生草を食べた牛から初めて健康な牛乳が恵まれ、私たちの身体と心を豊かに育ててくれる。
そんな当たり前のことが、今ではとても難しい。
地元で採れたものより、地球の裏側から輸入した作物の方が安く、自然に育てた新鮮野菜より、化学物質たっぷりに育て、加工し包装した食品の方が安い。
牛乳もそう。自然の中で牛たちが自分で選んだ草を食べて牛本来の生活をしている元気な牛たちのお乳を飲みたいのに、それがなぜこんなに難しく高価になってしまったのか。
放射能汚染の時代に、内部被ばくと健康被害が広まっている今こそ、元気な食べものが必要なのに。
企業任せの食生活では、病院任せの人生になってしまう。原発のことも政府に任せていたら危険は増すばかり。
牧場の土から育てる健康な食と環境について、自然と牛たちに実際に触れながら、一緒に考えてみませんか?

日時:2015年7月12日(日曜日)
場所:奥出雲牧場(詳細は裏面)
〜牧場見学会だけ・講演会だけ・全部参加など、自由に組み合わせてご参加ください〜

①朝の牧場交流会
早朝(5時ころ)〜牛追いから搾乳
早朝6時ころ〜牧場の売店オープン(飲み物・軽食)

②成瀬さんと牧場見学会
朝10時〜 参加費500円
牛と会話できる牛飼いさんの説明を聞きながら、自然の本能に従って生きることを許された牛たちが、自分たちで健康を選んで生きている姿を五感で体験してください。ちなみにあなたも牛に観察されます!

③牧場のお昼ご飯〜各自ご自由に
牧場売店でアイスクリーム、ロールパン、ピタパンサンドチーズケーキなど、道の駅おろちループで軽食コーナーなどもあります。もちろん、持参したお弁当を牧場で食べるのも最高です!

④明日に向けて考える環境と食の講演会
 午後1時〜 (参加費1,000円)

守田 敏也さん
原発や放射能汚染は東日本だけの話? 原発は再稼働していいの? 福島原発はどうなっているの? 
放射能と内部被ばくや環境問題に加えて、ますます雲行き怪しい世の中で、正しい情報を得て、元気に楽しく生き延びるための具体的な方法についてお話します。

平賀 緑さん
「健康」を売りにしている食品がたくさん出回っているのに、どうしてまともな食生活がこんなに難しくなってしまったのか?「西欧化」だけじゃない、私たちの食生活を崩し、身体と心を不健康にしてきた背景には何があったのか?
本当に元気な健全な食生活を手放さないために、ラベルの裏側に広がるフードシステムの仕組みを紹介します。

成瀬 悟さん
なぜ奥出雲に牧場の場所を選んだのか? 良い牛乳を提供するために、どうやって牧場と牛を育てているか? 元気な牛の違い、元気な牛乳の違いについて、自分が最良だと思える牧場地と牛の管理方法を紹介します。

主催 奥出雲牧場
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明日に向けて(1103)政府と九電は火山学会の科学的提言に従い川内原発再稼働を断念すべきだ!

2015年07月09日 07時00分00秒 | 明日に向けて(1101~1200)

守田です。(20150709 07:00)

今回も川内原発再稼働問題を扱いたいと思います。

これまで原子力規制庁の新規制基準が、技術的にみて大きなあやまりを含んだ危険極まりないものであることを後藤政志さんの提言に学びつつみてきました。
これに付け加えるべきは火山学会が繰り返し「噴火の予知などできない」と大きな声を上げている点です。
なぜこれが重要なのかと言うと、一つに川内原発が日本の中でも有数の火山地帯に立地しているからです。二つにそれでも九電が安全だ主張するのは「噴火の予知がなされたら燃料棒を降ろす」としているからです。

しかし運転中の核燃料は膨大な放射能を持っており、放射能が放射線を発して違う物質に変わっていく「崩壊」の過程で出る熱量も凄いので、運転を止めてすぐに降ろすことは不可能です。
何年もの間、原子炉のすぐ横の燃料プールで冷やしてからやっと次の処理に移れるのが実情です。
そのためかなり前から噴火の予知ができないと運転中の燃料棒を安全に降ろすことなどできないわけですが、火山学会の方たちはとてもではないがそんな予知などできないと繰り返し明言しているのです。

にも関わらず、九州電力はこうした火山学会に集う科学者たちの提言を一切無視した主張を川内原発差止仮処分裁判で主張しました。
担当の裁判所である鹿児島地裁も本年4月22日に、九電の科学的裏付けなど一切ない主張をまったく無責任にも鵜呑みにし、仮処分申請の却下決定を下してしまったのでした。
しかもこの決定の中で鹿児島地裁は「可能性が十分に小さいとは言えないと考える火山学者が火山学会の多数を占めるものとまでは認められない」とまで断じています。

これに対して判決直後に、火山学会重鎮の火山噴火予知連絡会会長で東京大学の藤井敏嗣名誉教授がこの決定を全面否定する以下のようなコメントを出しています。
 「カルデラ火山の破局的な噴火については、いつ発生するかは分からないものの、火山学者の多くは、間違いなく発生すると考えており、『可能性が十分に小さいとは言えないと考える火山学者が火山学会の多数を占めるものとまでは認められない』とする決定の内容は実態とは逆で、決定では破局的噴火の可能性が十分低いと認定する基準も提示されていない。
 火山による影響については、今回の判断は、九州電力側の主張をそのまま受け止めた内容で、しっかりとした検討がされていないのではないか。」

なお鹿児島地裁の仮処分申請却下決定のあやまりについては以下の記事をご覧下さい。

 明日に向けて(1076)川内原発再稼働容認判決は火山学会の噴火の予知などできないという常識を無視している!
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/9703bfd33037c139a626e3fb5aa37eb0

火山学会は裁判以前から「噴火の予知ができない」という主張を繰り返し行っています。
御嶽山の噴火で大きな被害が出たときも、それこそ必死になって、噴火が現代科学では的確に予想ができないが故の危険性を訴えていました。
この点については以下の記事をご覧下さい。
 
 明日に向けて(972)原子力規制委の噴火評価はデタラメ!火山学会の誠実な提言を受け入れるべきだ!
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/9f924552b380fc1efc744322658a6fad


今回、さらに取り上げたいのは岩波書店の『科学』6月号に掲載された「火山学者緊急アンケートー川内原発差止仮処分決定の記載に関連して」の内容です。
電子版ページで特別無料公開してくださっています。岩波書店のこの取組と無料公開に感謝しつつご紹介したいと思います。なおweb上のページは以下の通りです。
 http://www.iwanami.co.jp/kagaku/index.html

アンケート項目は5つありますが、ここでは
 「(1)「モニタリングを行うことで,少なくとも数十年以上前に(破局的噴火の)兆候を検知できると考えている」(決定主文75 ページの九州電力の主張)に対する所感をお願いします。
  (5)決定主文に対してお感じのことをお願いします。」
という2つの項目への回答からの抜粋を行ってみたいと思います。まず(1)への回答から抜粋します。(原文では1~5への回答をそれぞれの方が述べていますが、ここでは1と5への回答抜粋を列挙します)

 小山真人氏(静岡大学防災総合センター)
 「もしそれほど長い猶予時間をもってカルデラ火山の巨大噴火予知が実現できるのなら,それは噴火予知の革命です。九州電力には,ぜひ国際学会で発表し,査読ジャーナルに論文を書いて頂きたいと思います。審査を通るかどうかは知りませんが。」
 「綿密な機器観測網の下で大規模なマグマ上昇があった場合に限って,数日~数十日前に噴火を予知できる場合もあるというのが,火山学の偽らざる現状です。機器観測によって数十年以上前に噴火を予測できた例は皆無です。」
 「こうした現状を考えれば,「少なくとも数十年以上前に(破局的噴火の)兆候を検知できる」という九州電力の主張は荒唐無稽であり,学問への冒瀆と感じます。」

 藤井敏嗣氏(山梨県富士山科学研究所所長,火山噴火予知連絡会会長)
 「多くの場合,モニタリングによって火山活動の異常を捉えることは可能であるが,その異常が破局噴火につながるのか,通常の噴火なのか,それとも噴火未遂に終わるのかなどを判定することは困難である。
  いずれにせよ,モニタリングによって把握された異常から,数十年先に起こる事象を正しく予測することは不可能である。」

 匿名
 「現代の監視,観測体制で,破局噴火を経験,観測したことがないので,どのような推移(特に時間推移)で噴火に至るのか,破局噴火をどこまで一般化して考えることができるのか,実用的な“検知”が可能な段階に現在あるとは言えないと思います。
  九州電力の主張は単なる期待ないし希望であり,これを了とした決定主文の判断は理解できません。」
 「予測できないことを一般に列挙するのは,科学者としては少々残念ですが,これが現実です。」

 匿名
 「数十年以上前に兆候を検知して,巨大噴火を予知することはできません。
  地球物理学的観測(地震,地殻変動,電磁気等)や火山ガスの分析により,「火山活動の異常」は検知可能です。
  しかし,現段階では,そのシグナルをもとにして噴火発生の確率や噴火規模・様式を科学的には予測できません。」

つづいて項目(5)への回答です。

 小山真人氏(静岡大学防災総合センター)
 「決定主文には,全体として九州電力の主張がほぼ丸ごと受け入れられた上,火山学者の主張を恣意的に取捨選択したり,都合よく解釈を加えたとみられる箇所が多数見られます。」
 「上記の火山学会提言(2014 年11 月2 日)について決定主文は「新規制基準及び火山ガイドの内容を否定する趣旨までは含んでいないとみる」(178 ページ)と書き,同提言の根幹部分である「噴火警報を有効に機能させるためには,噴火予測の可能性,限界,曖昧さの理解が不可欠である。火山影響評価ガイド等の規格・基準類においては,このような噴火予測の特性を十分に考慮し,慎重に検討すべきである」を取り上げていません。
  そもそも火山学会が異例の提言に踏み切ったのは,火山影響評価ガイドや,それにもとづく適合性審査会合の内容があまりにも火山学の現状を無視した杜撰なものであるからですが,そのことを全く理解していません。」

 藤井敏嗣氏(山梨県富士山科学研究所所長,火山噴火予知連絡会会長)
 「九州電力の主張をほとんど無批判に受け入れているようにみえ,裁判所が証拠書類を独自に吟味したとは思えない。
  また,決定主文には,委員会等で九州電力の提案や規制委員会による火山ガイドなどについて説明し,それに関して具体的に意見聴取を行わないまま,批判的意見がなかったから火山専門家が承認したものとみなせるといった文言が随所に認められるが,これは一方的で,恣意的判定である。
  異論を表明しない限り同意したとみなすという裁判所の判断は異常であるが,さらに当事者たちが説明を受けただけで意見を挟む余地がなかったなどとマスコミ等を通じて表明していることからすると,裁判所の判断は間違っていると言わざるを得ない。」

 匿名
 「火山関連部分で“多数の学識者による議論を尽くした上で策定された新規制基準”(p. 75)とは知りませんでした。
  火山影響評価ガイドの立地不適の条件には,「設計対応が不可能な火山現象が原発に到達する可能性が十分小さいと評価」されることが挙げられています。
  阿蘇,小林,加久藤,姶良,阿多,鬼界カルデラが川内原発から160 km 以内にあって,第四紀後期に複数回当該原発に到達した実績があるのであるから,「立地不適」と判断するのが評価ガイドの趣旨に沿うと私は考えます。」

 匿名
 「司法が判断したことなので,コメント無し。」


以上で抜粋を終えます。

全7ページからの抜粋ですのでそれぞれの方の主張の部分しか取り上げていませんので、ぜひ、全文をお読みいただきたいのですが、それでもこの部分を読むだけでも火山学会に集う科学者の方たちの「学問への冒瀆」への怒りが伝わってくると思います。
火山学会の方たちは、噴火における災害から人々を守ろうと苦闘している方たちでもあります。だからこそ予知が的確にできないことに悔しさも感じつつ、しかしそのことを知ってもらうことこそ人々の安全につながると考えて提言を繰り返しているのです。
しかも日本には世界の火山の1割もがひしめいてるひもかかわらず、文科省による火山学への予算配分は驚くほど少なく、わずか数十名で研究を重ねているのが火山学会の実情でもあります。(諸外国では10倍以上の規模を誇る国もあります)
ここには自然災害の脅威を無視し、本当の意味での「国防」など何も考えていないこの国のあり方が如実に表れてもいますが、政府のそうした姿勢に対し、私たち民衆こそ、こうした誠意溢れる科学者たちの提言に耳を傾けなければなりません。

なお項目(3)に対する小山真人氏の回答の中でこれは紹介したいと思ったところがあったのでその点も掲載しておきます。
「こうした巨大噴火を起こすカルデラ火山は日本列島に10個程度あり,その半数が九州(阿蘇以南)とその近海に位置しています。このうち川内原発付近に実際に火砕流を到達させたカルデラ火山は,姶良,阿多,加久藤,小林の4火山です。」
なんと日本列島の中にある巨大噴火を起こす10の火山のうちの4つが川内原発付近にあるとのことです。重要なポイントだと思いました。

政府と九電は「噴火の数十年前からの予知などとてもできない」という火山学会の方たちの科学的提言に従い、川内原発再稼働をただちに断念すべきです。
新規制基準の技術的なあやまりとともにこの点も強く訴えていきましょう!

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明日に向けて(1102)「原発ゼロ」からでなく「平均停止年数」から日本の核産業の現状を捉えよう!

2015年07月08日 12時30分00秒 | 明日に向けて(1101~1200)

守田です。(20150708 12:30)

昨日7日に九州電力が川内原発1号機、再稼働に向けて原子炉への核燃料搬入を開始しました。
マスコミ各社は「「原発ゼロ」が続いた電力供給は大きな節目にさしかかっている」(朝日新聞)と報道しています。
「明日に向けて」前号で詳述したように、川内原発再稼働は事実上、安全性の確保など度外視したままに行われようとしている暴挙・愚挙であり、何としても止めたいと思います。
ただ一方で「原発ゼロ」にばかり注意を奪われていてはいけないということもここで述べておきたいと思います。

これは各地で脱原発集会に参加していても度々思うことです。「原発は650日以上動いてない」などの発言が聴かれるからです。ちなみに今日時点で661日原発ゼロが続いています。
確かに間違ってはいないし、民衆の力に誇りを抱いての発言なので共感もするのですが、しかしその計算は、あくまでも一度達成された原発ゼロ状態に対し、民主党政権が再稼働を強行した大飯原発3、4号機を起点にしてのこと。
実はその時点でも他の原発はすでにもう長い間動かすことができていなかったのです。

具体的に見ていきましょう。大飯3・4号機が停まったのが2013年9月15日であることを考慮して、今月7月15日でそれぞれの原発がどれだけ停まっているのかを見ていくと以下のようになります。

 大飯3・4号機       1年10カ月
 泊3号機          3年2カ月
 柏崎刈羽6号機       3年3ヶ月
 高浜3号機         3年4カ月
 島根2号機他1基      3年5カ月
 伊方2号機他3原発3基   3年6カ月
 玄海1号機他1基      3年7カ月
 敦賀2号機他4原発4基   3年10カ月
 高浜4号機他1基      3年11カ月
 川内1号機他3原発5基   4年2カ月
 福島第二1号機他3原発8基 4年4カ月
 東通1号機他2原発2基   4年5カ月
 高浜1号機         4年6カ月
 浜岡3号機他3原発3基   4年7カ月
 女川2号機         4年8か月
 柏崎刈羽3・4号機     7年11カ月
 柏崎刈羽2号機       8年 
 平均            4年2カ月

原発大国の日本で「原発ゼロ」が660日続いていることも凄いことですが、このように原発停止状況の全貌を見たほうがより日本の核産業の現状が見えてきます。
どうみたって大変な危機です。平均で4年2カ月も動かせていないからです。

ちなみに最長は柏崎刈羽原発2・3・4号機でもう8年にもなるわけですが、この原発が世界最大の出力を誇っていることをご存知でしょうか。世界で一番ウランを使ってくれる原発でもあった。
その原発が8年も動かず、他の原発も48基の平均で4年2カ月も動いてないわけです。このためウランの世界的消費量が著しく落ちてしまっています。
いやウランの消費という点だけで考えるならば、これに2011年3月時点では存在していた福島第一原発1号機から6号機が動けなくなったことが加わります。
すでに廃炉になっているので上の一覧からは除いていますが、これをも含めると合計54基もの原発がウランを平均4年以上消費できていない。このことで世界のウラン燃料会社など、核産業が大ダメージを受けています。

いや何より深刻なのは日本の電力会社各社です。平均で4年以上、運転してないのですから運転を含むあらゆる技術が継承できない。
またそもそもあらゆる機械は動かさないでいるとどんどん各部の固着が始まって動きにくくなるのが常識です。この面でも各原発はプラントとしてもダメになりつつあります。
例えば8年も動いてなければ自動車だってバイクだってそう簡単にエンジンは回りません。場合によってはオーバーホールが必要ですし、再稼働の時には思わぬトラブルも発生するものです。
原子炉とても同じこと。長く停まっていることで人材も機材もどんどん劣化してしまうのです。

私たちが見据えておかなくてはならないのは、だからこそ安倍政権や原子力産業は、原発輸出に必死になっているのでもあるということです。
原発輸出は容易に動かせない日本の原発に代えて、海外で建設・運転を行い、原発技術を生き延びさせるためにも行われようとしています。
このことには具体例があります。トルコの友人(アクティビストのプナールさん)が日本に招かれたとき、女川原発のPR館を訪問したそうです。
原発が動いてないのに職員がたくさんいることに驚いた彼女が、人員を減らさない理由を館員に尋ねると、即座に返ってきた答えが「原発輸出のためです」だったそうです。

事実は少し違う。輸出のために人材を確保しているのではなく、輸出によって、今だぶついている人材の仕事を確保し、技術を延命させようとしているのです。
その意味で原発輸出は、瀕死の状態にある日本の核産業の懸命の延命策であり、これができなくなると、核産業の「終わりの日」がぐっと近づくことも見えてきます。

しかしその輸出のためにも、日本で原発が1つも動いていないのはいかにも具合が悪い。
「日本の原発は安全だと言っても、あなたの国は一つも原発を動かしていないではないですか」と言われると答えに窮してしまうからです。
そのためにとにかく一つでも二つでも原発を動かして「原発ゼロ」状態を無くしたいというのが日本政府と核産業の本音でしょう。
しかし・・・安全のために一つの原発の再稼働も許すことはできないことは前提ですが・・・仮に一つ、二つ原発を再稼働したとて、この構造的な危機が解消できるわけではありません。

私たちはこの点にもっと着目し、内外に原発が平均で4年2カ月も動いてない事実を明らかにしていく必要があります。
このことは4月のトルコ訪問の時にも痛感したことでした。トルコの脱原発派の大学教授でさえ、日本の原発がゼロ状態を続けていることを知らなかったからです。
というかその教授は日本がこんなに長いこと原発が動いてないことに驚いて「それで経済は大丈夫なの?」と聞いてきました。
「何にも問題ないよ」と僕は即答しましたが、彼は「あー、騙されていた」という顔をしました。経済大国と言われる日本でさえ原発はまったく必要ないのだということを実感したからでしょう。

いやそもそも私たちにとってもっと興味を引くべき事実もあります。
日本の原発がほとんど動いてないこの3年の間にあったことはなんでしょうか。答えは株価の急上昇です。2012年7月に8,695.06円だった株価は2015年7月8日午前12時現在で20,067.59円となっています。
原発が動かないと経済が停滞するはずだったのではないでしょうか?

いやそもそも株価の話を持ってくると、経済成長とは何なのかという本質問題までもが浮上してきます。
今の株価はアベノミクスによるバブルであって、いつかそのうち必ずはじけるものにすぎません。では経済成長とは一体何なのでしょうか?
しかしこの本質問題を横においたまま、円安の中で多くの輸出企業が潤い、現状を「好景気」と捉えています。原発が動いていたときよりも動いていないこの3年でこそこの「好景気」は達成されたのです。原発など関係なしにです。

この問題は現代社会の経済が、物を製造して売ると言う実体経済から大きくそれてカジノ化している現実の中で起きていることです。
だからこそ私たちは「経済成長」などという言葉の幻想そのものを立ち切り、「成長」ではなく「分配の公平性」の側から経済を見直さないといけません。とくに現代の「成長」は格差拡大と直結しており、この点が正されなくてはいけない。

これらについては稿をあらためて論じなければなりませんが、いずれにせよ、私たちは「原発ゼロ」という捉え方よりも、日本の原発が総体としてすでに長期にわたって動いてないことにもっと着目すべきです。
この状態を作り出しているのは私たち日本に住む民衆の力です。ピープルズパワーこそが、原発大国日本で48基平均で4年2カ月も稼働できない状態を作り出しているのです。
各地で原発の稼働を食い止め続けている私たちのパワーに、強い誇りと自信を持ち、川内原発と高浜原発の再稼働の動きと対決していきましょう!

なお最後に昨日の朝日新聞の報道を貼り付けておきます。

*****

川内原発1号機、再稼働に向け原子炉へ核燃料搬入開始
朝日新聞 2015年7月7日20時29分
http://digital.asahi.com/articles/ASH774PWMH77TIPE01Q.html

九州電力は7日、川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉への核燃料の搬入を始めた。10日までの4日間で核燃料157体を運び込む。
8月中旬を目指す再稼働に向けた手続きは最終盤となり、「原発ゼロ」が続いた電力供給は大きな節目にさしかかっている。
川内1号機が再稼働すれば、東京電力福島第一原発の事故を受け、2013年7月に施行された新規制基準下で全国初となる。
震災後に関西電力の大飯原発3、4号機(福井県おおい町)が一時再稼働したが、13年9月に定期検査で停止しており、その後は「原発ゼロ」が続いてきた。

川内1号機での核燃料の搬入は、7日午後1時39分に開始。原子炉建屋に隣接する建屋内の貯蔵プールから、1体ずつクレーンなどで原子炉へ運び入れる。作業は24時間態勢で、放射線を遮るため水中で行う。
川内1号機では、規制委が再稼働前の設備検査を行っており、核燃料の搬入後も約1カ月にわたり検査は続けられる。順調にいけば、九電は8月中旬に原子炉を起動し、再稼働させる。
規制委の最終検査を経て、9月中旬に営業運転を始める計画だ。ただ、川内1号機は11年5月に定期検査に入ってから4年以上停止しており、想定外のトラブルなどで予定通りに進まない可能性がある。

九電は1号機に続き、2号機も10月中旬の再稼働を目指して準備を進める。
九電は新規制基準に対応するための耐震工事をしたほか、再稼働前に重大事故を想定した訓練を行うなどとしている。ただ、火山活動が活発化している九州では、巨大噴火による重大事故への懸念は根強い。原発周辺の住民の避難計画が不十分との指摘もある。
川内に続き、四国電力の伊方原発3号機(愛媛県伊方町)や関電の高浜原発3、4号機(福井県高浜町)などで再稼働の準備が進む。
しかし高浜3、4号機は福井地裁が再稼働を禁じる仮処分を出すなど、原発への視線はなお厳しい。川内をきっかけに再稼働が次々に続くかはまだ見通せない。(長崎潤一郎、東山正宜)

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明日に向けて(1101)あらためて川内原発再稼働計画の愚かさを問う!

2015年07月07日 22時30分00秒 | 明日に向けて(1101~1200)

守田です。(20150707 22:30)

本日7日、九州電力は川内原発1号機の再稼働に向けた燃料棒の装填を開始しました。
10日までの4日間で核燃料157体を運び込み、8月中旬の再稼働を目指すと言われています。
川内原発再稼働に向けた九州電力のこの動きは、私たちを再度の放射能被曝の危険にさらす暴挙であり、けして認めることはできません。
九州電力への抗議を表明するとともに、川内原発再稼働の試みがいかに愚かなことなのかを再度、捉え返しておきたいと思います。

そのために「明日に向けて」(1060)~(1065)で連載した内容(2015年3月24日~4月6日)を再度、ピックアップしたいと思います。ポイントを解説し、当該記事のアドレスを示しておきます。
なおこれらの連載は、福島原発事故以降、事故の進展や規制庁による新規制基準の提出などに即して、純技術的側面からもっとも適格な解説を行ってきてくださった元格納容器設計者・後藤政志さんの発言に学んで行ったものです。

まず第一に指摘すべきは、そもそもの九州電力が行った再稼働対策に向けた許認可申請があまりに杜撰に行われたことです。
この点、後藤さんは以下のように述べています。

「工事認可の内容は耐震が主になっている。従来のものはあまり変わってなくて、地震動を変えたからそこだけを修正するとなっている。あとは過酷事故関係となっている。
 私が一番言いたかったのは、入り口で見てびっくりしたことだ。膨大な、全部で万のページになるものだが、そのうちの数千ページをみた。
 プラントの配置関係を全部伏せて白抜きになっている。どこに何があるか分からない状態になっている。
 耐震強度を計算する時に耐震の解析モデルがあるが、それの高さ方向の値がすべて白抜きになっている。

 もっとすごいのは強度計算について、例えばあるものに力がかかって、それで計算をして発生する応力、計算上出てくる力に材料が耐えられるかなどをチェックする。
 ところがその途中部分も白抜きになっている。大量にそれがなっている。
 ひどいものになると何の計算書か分からない。その中で構造についても伏せているものもある。

 以前から工事認可で伏字はあったが、こんなにひどいものは初めてみた。論外だ。はっきりいって読む気がしなくなった。ばからしくて。」

この後藤さんの怒りに満ちた発言だけで十分だと思いますが、要するに川内原発再稼働に向けた許認可申請は、主要部分を公開せずに行われたのです。
事故対策は多くの人々に影響するものであり、当然にも広く明らかにしてなさなければならないのに、重要部分をみんな隠してしまったのです。規制委員会もこの隠蔽を認めました。ここには許認可申請のあまりの杜撰さが表れています。

 明日に向けて(1060)あまりに杜撰な川内原発工事認可申請(後藤政志さん談)
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/0870cd08844d3d12e17ae6345ae8b79b

第二に再稼働の是非を審査する、規制庁の新規制基準に大問題があります。
端的に新しい規制基準では重大事故が防げないことを前提にしているということです。
福島第一原発の教訓を踏まえて、重大事故を絶対に起こさないようにする・・・とは言ってないのです。
起こさないように努力するが、それでも重大事故は発生しうる前提に転換したのです。大事故がありうることが前提に再稼働を認めると言っているのです。

事実、規制委員会は繰り返し、「新規制基準に通ったからと言ってその原発が安全だとは言わない」と述べています。
重大事故は起こり得るので対策した。安全ではないが、精一杯の対応は考えたと言っているのです。
この最も重大な点があまりにハイライトされていません。マスコミも本当に不十分にしか伝えていません。だからこの重要なポイントを意図的にずらした「規制委員会が安全だと言った原発から動かす」などと言う政府の詭弁を批判しきれないのです。

そもそも福島原発事故まで、政府は設計上の想定を越える事故という意味での重大事故による放射能の原発敷地外への大量漏れは絶対に起こらないと公言してきたのでした。
言い換えればそれが原発を動かすにあたっての社会との約束事でした。だから原発敷地外での広範囲にわたる被曝防護の準備などもまったくなされていなかったのでした。
それどころかその場合の法律すら作られていませんでした。とくに原発の外に大量に飛び出した放射能をどうするのかの法的取り決めが一切なく、東電が「原発敷地外に出た放射能は自分たちのものではない」などと居直る根拠にもなってしまいました。

大事なことはこの大約束が壊れたことは、それまでの原発稼働にあたっての社会との約束が破られたことを意味するのですから、当然にも絶対に敷地外に放射能が漏れないようになるまでは原発再稼働は認められないということです。
ところが政府や規制庁は「これまでは重大事故を前提していなかったのが良くなかった。これからは重大事故を前提にする」と開き直ったのです。それが新規制基準の内容です。
何よりも私たちが許してはならないのはこの開き直りです。最低でも福島原発事故の前まで政府の立場を戻させないといけない。「絶対に大規模な放射能漏れはないから原発を運転させてくれ」と言ってきたのですから最低限これを守らせないといけません。
この点を繰り返し強調していきましょう

 明日に向けて(1062)原発再稼働に向けた新規制基準は大事故を前提にしている!
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/3d3e4b0cb07ae7a68734a3b52c9c693f

第三に規制委は「福島第一原発事故の教訓」を参考に新基準を作ったと言っているのですが、そもそも福島原発事故はその全容がまだ解明されていません。
それどころか1号機から3号機は放射線値が高すぎて内部がほとんどみれず、溶け落ちた核燃料の状態やありかさえつかみ切れていないのです。

そもそも事故は継続中なのです。汚染水の発生から明らかなように格納容器のどこかが壊れているのは確実ですが、肝心のどこかが分かっていない。事故がどのように進展してどこが壊れたのかも分からないのです。それでなぜ対策ができるのでしょうか。
原子力規制委員会が打ち出した新審査基準は、今、分かっている事象だけへの対策を考えることであり、事故の全体への対策になっていないのです。後藤さんはこれを「事故のつまみ食い」と指摘しています。

 明日に向けて(1063)福島の教訓に基づく重大事故対策などまだできるわけがない!
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/8718f402298f072498d32eb7f59478f8

第四に、規制委が新基準に盛り込んだ地震対策のあやまりです。ここにはそもそも地震の揺れの大きさは現代科学で十分に解析できるのかという問題が横たわっています。
この点で重要なのは8年近く止まっている柏崎・刈羽原発を襲った2007年中越沖地震の地震動です。この原発の設計基準地震動は450ガルでしたが、実際には1699ガルの地震動がここを襲ったのでした。4倍もの揺れでした。
その後、東電は地層の解析を行ってなぜ予想の4倍になったのかを説明したのですが、実は後になって4倍になった理屈など幾らでも作ることができます。

重要なのは450ガルと解析したものが1699ガルと4倍もずれていたということで、むしろそこでは現代科学ではまだ地震動の揺れを正確に捉えることができないことの方がクローズアップされたのだということです。
にもかかわらずこの重大問題に目を伏せたまま、規制委はあたかも地震のことを現代科学で把握できるかのような想定に基づいて地震対策の指針を出し、認可を与えています。これも大きなあやまりです。

 明日に向けて(1064)原子力規制庁・新規制基準の断層と地震動想定のあやまり(後藤政志さん談)
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/a3f0e8c33a857d8a36a56280845eedc1

第五に、新規制基準における重大事故対策の内容が、事故を収めるどころかむしろ拡大しかねないより危険な内容をも含んでいることです。
とくに重要なのは、川内原発や高浜原発で採用されている加圧型原子炉の格納容器には、東電のような沸騰水型原発と違って窒素が充填されておらず、水素爆発が起きやすいので、イグナイタ―をつけて水素が溜まる前に燃やしてしまおうとしていることです。
しかし福島原発事故で明らかになったように、重大事故ではそれまでの設計上の想定が突破されているのですから、こうした非常用の装置も期待通りに動くとは限りません。
事実、ベントにしても1号機と3号機は設計上、開閉を司ることになっていた電源を欠いていたために、圧縮空気を送り込んでようやく開けたのでした。2号機はそれも間に合わず格納容器が激しく損傷してしまいました。

同じようにイグナイタ―も期待した時に確実に着火できるとは限りません。非常事態下で焦りながら必死になって何度か着火を試みる。それでようやく火が着くようになったときに、すでに水素が危険な状態まで溜まっていたらどうなるのか。
水素を燃焼させて溜まるのを防ぐどころか、格納容器を破壊するにたる水素が溜まった段階で着火してしまうことになりかねないのです。重大事故対策どころか、格納容器の内側からの大爆発という福島原発事故をもはるかに越える惨劇が起こってしまいます。
その意味で、付け焼刃的に加えられた重大事故対策は、役に立たないばかりでなく、かえって非常に危険な装置に変わってしまう可能性すら大きくあるのです。

 明日に向けて(1065)新規制基準の重大事故対策はあまりに非現実的でむしろ危険だ!
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/d4c8272d4c01e698efd2e68600b4b4af

 明日に向けて(1075)川内原発再稼働も禁止すべきだ!~加圧水型原発過酷事故対策の誤りを後藤政志さんに学ぶ~
 http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/9605e1dc395c1d33815861dad65ac36a

以上、新規制基準はなんら原発の稼働の安全性を保障するものではなく、その点からも川内原発の再稼働は絶対に認められません。
これらの点をさまざまな機会を通じて社会に広く浸透させていきましょう。そのことで再稼働を食い止めること、仮に強行されたとしても一刻も早く再度、止めるためことを可能にする民衆の知恵を強化していきましょう。

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明日に向けて(1100)トルコ・シノップへの原発輸出を許してはならない!(下)

2015年07月03日 01時30分00秒 | 明日に向けて(1001~1100)

守田です。(20150703 01:30)

今宵は禁を犯して夜中の投稿を行っています。

7月4日に新大阪の「市民交流センターひがしよどがわ403号室」においてトルコ訪問の報告を行いますがお話することの要点を述べておこうと思います。先に企画案内を貼り付けておきます。
 
 日本はトルコに原発を輸出しないで! ― 4万人の市民の叫び ―
 https://www.facebook.com/events/370108883191877/

さて、この日のお話ではまず前振りとしてチェルノブイリ原発事故のことに少し触れたいと思います。
この事故では現在では独立国となったベラルーシ、ウクライナを中心にヨーロッパの多くの地域が激しく被曝しましたが、歴史を振り返るとそもそもこの地域はナチスドイツが行ったソ連邦侵攻作成(バルバロッサ作戦)の主戦場になったところでした。
かの地はナチスによって手酷く蹂躙されてからおよそ40年かけてつつましやかな暮らしを再建した時に、チェルノブイリ原発事故に襲われたのでした。

それだけにヨーロッパの国々の中でもっともかの地の人々の苦しみに胸を痛め、援助の手を差し伸べたのはドイツの人々でした。
現在でも両国に援助を行っているドイツの団体は軽く1000を越えると言われています。
僕はここにドイツがヨーロッパ各国の中で先んじて原発廃棄の方向に進んだ根拠があると思っています。

このことでヨーロッパは今、どんどん原発が減っている状態にあります。いや世界的にみても明らかに原子力産業は行き詰っています。
チェルノブイリ原発事故によって、核政策の持つ暴力性に多くの人々が目覚めたがゆえに、1990年以降、ほとんど原発が作れてこなかったことが最大の要因です。
原発輸出は、この行き詰まりを打開しようとする世界原子力村の必死の延命策としてあり、そのターゲットの一つとしてトルコが選ばれていることを私たちは見ておく必要があります。

そのトルコに3回訪れて、まず見えてきたのは、トルコ政府が非常に暴力的だということです。デモ隊に対してすぐに戦闘警察を差し向け、ガス銃を乱射します。
2013年にイスタンブールのゲジ公園という自由に使われていた場が政府によって強引に閉鎖されようとしたときのこと、たくさんの若者たちが広場を守ろうと集いました。
トルコ政府にさしむけられた警官隊は若者たちにガス銃を乱射。なんと12人が命を落としてしまいました。しかもそのうちの一人の少年はただ買い物に来ただけでした。(少年は意識不明のまま眠り続け、2014年3月11日に亡くなりました)

こうしたことを背景に、「トルコ反原発同盟」は2014年初頭に日本の国会議員に対して「トルコは民主主義社会ではなく、現政府により独裁主義的支配が進んでいる。そんなトルコに原発を持ってこないで欲しい」と訴えました。
「2013年6月にゲジ公園近辺で行われたデモンストレーションに警察が介入した際は、3000人以上が逮捕、8000人以上が障害の残る重傷、そのうちの一人の10代の少年はいまだ意識不明、12人が視力を失い、11人が命を落としました」とも述べました。
この時期、国会でトルコと日本の間で結ばれた原子力協定が批准されようとしていたからでした。しかし国会はこの必死の訴えに耳を貸さずに協定を批准してしまいました。

2014年5月にソマで炭鉱事故が起こった時も、トルコ政府の酷いあり方が明らかになりました。
そもそもこの炭鉱は作業者の安全を守る設備が劣悪で、ILOから度々改善命令を受けていました。それがないままに事故がおこり公的には300人以上が亡くなったとされていますが、実際には900人以上が亡くなったと言われています。
しかも現場にかけつけたエルドアン大統領は「炭鉱は事故がおこるところだ」「トルコの炭鉱事故は他の国に比べればましだ」と言い放ちました。実は炭坑経営者一族とエルドアンは前々から癒着していたのでした。
この事故が起こった時、トルコの友人の一人は私に涙ながらにこう言いました。「炭坑すら満足に運営できないトルコに原発を持ってきたらすぐに原爆になってしまう」・・・。

そもそもトルコは日本と同じ地震国です。1999年8月17日にはトルコ北西部で「マルマラ大地震」が起こりました。トルコ政府の発表で17000人が亡くなったとされていますが、多くの情報筋が死者と行方不明者が実際には45000人に上ったと推定しています。
このような地震大国に大地震と津波で原発が壊れて大変な被害を受けている日本から原発を送ることは道義的にまったく許されないことです。
さらにトルコと日本の間で交わされた原子力協定の内容も、核兵器製造につながる技術の使用を黙認する内容も含まれており、問題が山積しています。

さらに2回、3回とトルコに通ってだんだんと見えてきたのは、実はトルコもまたチェルノブイリ原発事故によって手酷く被曝した国だということです。
そもそもトルコは黒海を隔ててウクライナと向かい合っています。ウクライナを通過した放射能の雲は、海では遮られるものがないために、濃度を保ったままトルコに流れ着いてしまったに違い有りません。
ところが事故当時、トルコは最悪の軍事政権時代で、自主的な政治活動をするものは右翼も左翼も逮捕され、拷問されるような状態にありました。
そのため被曝状況を調べることも、危険性を告発することもできませんでした。多くの人々が無防備なままに放射能被曝したさまざまなものを食べてしまったのでした。

2014年夏に訪れたシノップ県のエルフレック市で、応対してくれた市長さんが次のように語ってくれました。
「黒海沿岸の町で、家族の中にがん患者がいない家はありません。みんなチェルノブイリ原発事故の影響です。だから私は市民を守るために身体をはって原発建設を止めます」。
今年の春に訪問した時はウルダグ大学のカイハン・パラ教授と、シノップ、サムソン、イスタンブールへの講演旅行を共にしました。他にも数名のドクターたちと一緒の旅でしたが、カイハン教授は黒海沿岸のがんについて研究していました。
教授はいくつもの統計資料を出しながら、明らかに黒海沿岸の地域にトルコの平均を上回るガンの発生が見られること。またそれがチェルノブイリ事故と相関していることを示してくれました。

そのカイハン教授がシノップで発言したときのこと、劇的なことが起こりました。
教授の発言を熱心に聞いていた地元のおばあさんが起ちあがり、「あんたはがんの発生が何パーセントとか言っているが、この辺じゃあ私の周りは全部がんで死んでいる。これで私が死ねば100%になるんだよ」と語りだしました。
さらに「それなのに私たちが喫茶店でお茶を飲んでおしゃべりしているだけで何もしてこなかったからいけないんだ。私たちがもっと反対しなくちゃいけないんだ」と言うのです。これに会場が反応。すぐに大討論会が始まってしまいました。

このようにトルコの人々、とくに黒海沿岸の人々は放射能被曝の恐ろしさを身をもって味わってきています。だからこそ多くの人が原発に反対しているのです。
このトルコの方たちを前に僕が発言して一番、多くの拍手を得たのは「安倍首相は大嘘付なので騙されないで下さい」ということでした。
「原発はコントロールされている。汚染水はブロックされている。今も未来も健康被害はない。・・・という安倍首相の言葉は大嘘です」と僕は述べました。これは東京とイスタンブールがオリンピック招致で争っている場での発言でした。

この内容をより詳しく知っていただくために、福島原発の現状を話し、さらに被曝状況の深刻さを話しました。こういう話にはトルコの方たちが本当に真剣に聞き入ってくれます。最も求められている情報です。
僕はこれからも何度でもトルコにいってこうした話をしようと思いますが、今回、なかでもこれは重要だと思った点がありました。
「日本では今、原発が1つも動いてない」ことです。実はこの事実が思ったより伝わってないのです。大学教授のカイハンさんすら知りませんでした。というより驚いていました。「それで日本経済は大丈夫なの?」と。

「もちろん。何の問題もないよ。世の中はまったく普通どおりに動いているよ」。「えーそうだったのかあ」というカイハン教授のリアクションを耳にしながら「そうか。日本政府は一番これを知って欲しくないのだ」と思いました。
ちなみに日本政府自身が原発輸出を急ごうとするのは、まさに原発が1つも動いてないからです。今月7月15日現在で平均でなんと4年2月も動いてない。最も動いていない柏崎刈羽原発2号機の場合、もうまるまる8年も動いてない。
このままでは技術そのものが枯渇してしまいます。運転員の腕も錆びきってしまう。だからこそ技術を長らえるためにも原発を輸出しようとしている。

しかしそのためにも原発が本当は必要などないのだということ、日本ほどの経済大国が原発なしでまわっていて株価が落ちているわけでもない(これはこれで別の問題がありますが)ことがばれてしまうことが最もまずいのです。
原発輸出を進めて日本の核技術を生き延びさせるためにもなんとしてもここで一つでも二つでも原発を再稼働させ、原発ゼロ状態を脱して、輸出につなげていくことが必要だと言うわけなのでしょう。
反対にこうも言えます。原発輸出ができなければ、このまま日本の核技術は朽ちて行くのです。その意味で私たちが原発ゼロを招き寄せるためにも、輸出をストップすることが大事なのです。

僕はこれまで地震大国のトルコに日本から原発を輸出することは道義的に許せないと考えて輸出反対に関わってきました。トルコの方たちへの責務を感じてのことでした。それ自身はこれからも変わるわけではありません。
しかし今回、実はトルコの方たちの頑張りこそ、私たち日本の民衆自身が核の危険性、被曝の苦しみから脱していくための、最も大きな助力でもあることにも気が付きました。
その意味で、原発に反対の声を上げて起ちあがっているトルコの方たちは、最も頼もしい同盟者であり仲間なのです。「そうなのだ。一緒になって本当に豊かで平和な世の中を作るのだ」と温かい思いの中で決意を新たにすることができました。

そんな意を込めて、僕は講演の最後を次の言葉で締めくくりました。
Power to the People!

これからもトルコの方たちとともに日本からの原発輸出を止めるために頑張ります!

当日はこれらのことをたくさんの写真、動画をお見せしながらよりリアルにお話します。百聞は一見にしかず!お近くの方、ぜひご参加ください!!

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明日に向けて(1099)トルコ・シノップへの原発輸出を許してはならない!(上)

2015年07月02日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1001~1100)

守田です。(20150702 23:30)

トルコ・シノップへの原発輸出問題について、原発や放射能の問題全般を、いや安保法制や沖縄のことなど平和のことも含めて精力的な取材を続けている東京新聞が、僕の住まう京都まで取材に来てくださいました。
僕が語ったことを端的にまとめた記事が6月28日の「こちら特報部」の紙面に載りました。的確にまとめて下さいました。上田千秋記者の手によるものです。

Facebookに記事の写真とテキストがアップされ、すでにたくさんの方にシェアしていただいています。自分のページの載せたものを紹介します。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10205577355011540&set=a.3300903639751.2140616.1182740570&type=1&theater

以下の記事をお読み下さい。

******

◆問われる 日本の輸出政策
◆トルコ北部住民 原発NO
◆チェルノブイリ経験、リスク高い
三菱重工とアレバ(フランス)が開発した新型原子炉を使った原発の建設が計画されているトルコ北部シノップで、地元住民が反対の声を強めている。
トルコ政府は経済成長のために原発は不可欠と強調するものの、住民は事故を恐れる。福島事故を経験した日本の原発輸出の是非があらためて問われている。(上田千秋)

「町の至る所に、原発建設に反対するステッカーが張られていた。福島への関心もかなり高かった」。昨年8月から今年4月にかけ、3回にわたって現地を訪れたフリーライターの守田敏也氏はこう解説する。
黒海沿岸に位置するシノップ住民の原発への関心は以前から高かった。1986年4月に起きたチェルノブイリ原発事故で、当時、主要産業である漁業や観光が影響を受けた。
また、「食べ物によって内部被ばくが進み、黒海沿岸の家庭でがん患者のいない家はないと言われている」(守田氏)という。

そのシノップで原発の建設計画が浮上したのは2006年。すぐに反対の声が上がり、福島事故以降、その声は強まった。トルコの国会が今年4月、日本との間で13年に結んだ原子力協定に基づいて原発の建設を承認すると、反対の声はますます強くなった。
同月25日に聞かれたチェルノブイリ事故29年の追悼集会には、約4万人が参加した。原発建設反対を訴えて町中を練り歩き、市民らが次々に原発の危険性を唱えた。
トルコのエネルギー政策が研究テーマで、現場に立ち会った同志社大大学院の森山拓也さん(28)は「スピーチに力が込められ、かなりの熱気だった。私か話を聞いた住民は皆、原発建設には反対だった」と振り返る。

経済成長が続くトルコでは電力需要を賄うため、シノップなど3ヵ所で原発の建設計画が進んでいる、「電気は必要」「原発ができれば雇用が生まれる」として賛成する人も少なくないというが、森山さんは「シノップでは『チェルノブイリで被害を受けている

のに、なぜリスクの高い原発をつくらないといけないのか』と考える人が多かった」と説明する。

トルコは日本と同様、地震大国でもある。国際環境NGO「FOE Japan」の満田夏花理事は「過去のトルコの地震では、道路が寸断されるなどして救助に支障をきたした。
シノップの原発は、半島の先が建設予定地。プラントが揺れに耐えたとしても、復旧作業の要員が近づけず大惨事に発展する恐れがある」と話す。

シノップの原発は17年に着工し28年までに4基が順次、稼働する予定だ。守田氏は「現地では福島で事故が起きたことは皆知っていても、細かな部分まで伝わっていない。今からでも正確な情報を伝えることが、事故を起こした国の責任だろう」と訴える。
「いかに被害が広範囲に及んだか、原発が1基も稼働していなくても経済は動いているといったことが広く知られれば、計画が変わるきっかけになるかもしれない。
それに日本国内で原発の新増設が難しい今、原発輸出までストップとなれば、原子力産業は技術力を維持できなくなる。輸出を止めることは、日本国内での原発の在り方にもつながっていく」

*****

すでにお知らせしているように7月4日に新大阪の「市民交流センターひがしよどがわ403号室」においてトルコ訪問の報告を行います。詳しくは以下をご覧下さい。
 
 日本はトルコに原発を輸出しないで! ― 4万人の市民の叫び ―
 https://www.facebook.com/events/370108883191877/

次回の記事でこの日にお話することの要点をあらかじめ述べておこうと思います!

続く

 

 

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明日に向けて(1098)篠山市への「原子力災害対策計画にむけての提言」が公開されました!ぜひお読み下さい。

2015年07月01日 16時00分00秒 | 明日に向けて(1001~1100)

守田です。(20150701 16:00)

すでに先月17日に篠山市に原子力災害対策検討委員会から「原子力災害対策計画にむけての提言」が提出されましたが、その全文が篠山市のホームページに掲載されましたのでお知らせします。

原子力災害対策計画にむけての提言
http://www.city.sasayama.hyogo.jp/pc/group/bousai/assets/2015/06/teigensyo.pdf

A4で39ページ(本文36ページ)のものですが、篠山市民だけでなく多くのみなさんにもお読みいただきたいと思います。ぜひぜひご覧下さい。
全体として委員会でかなり考察を重ねたものになっています。

目次から各章の表題をご紹介します。

第1章 総論
第2章 事故時における情報伝達について
第3章 原子力災害時における避難の実行
第4章 被曝防護のための安定ヨウ素剤の服用
第5章 ヨウ素以外の放射能にはどう対応するのか

この「第1章総論」の中で提言全体を貫く考え方を述べています。
その核心部分だけご紹介すると次のようになります。

「この提言は、憲法13条および25条に規定された私たちの人格権を守る精神に則って書かれています。人格権は「生命や身体、自由や名誉など個人が生活を営むなかで、他者から保護されなければならない権利」と規定されます。」
「東京電力福島第一原発事故によって明らかになったことは、原子力災害はひとたび始まってしまえば事態を把握することはとても難しく、政府も電力会社も容易に止めることができないし、原子炉内部で進行していることすらなかなかつかめないことです」
「原子炉から放射能が漏れ出た直後が最もたくさんの放射線が飛び出してくる時期です。これらを踏まえて私たちは次のことを強調したいと思います。」
「原子力災害が起こった時の対処として一番大事なのは『とっとと逃げる』ことです。いったん安全地に逃れてから危険の度合いを判断し、安全が確認されれば戻ってくるという対応をすることが、早期の対応として最も合理的です。」
「ただしその場合も事故の規模、風向きによっては、理想的な退避行動をとったとしてもなお被曝をしてしまうこともあり得ます。すべての市民が被曝を確実に免れる計画を立てることはとてもできないのが原発事故なのです。」
「それゆえ私たちは次の点も強調したいと思います。」
「事故に遭遇した時に、理想的にすべての被害を防ぐことは困難であることを前提としつつ、少しでも被害を減らすこと、減災の観点に立って原子力災害対策の計画を練り上げることをこの提言は目的としています。」

篠山市原子力災害対策検討委員会が提出した提言は、この点で、原子力規制庁がひな形として出している「原子力災害対策指針」や、これに基づいて各地の行政が作っている「原子力災害対策」と一番違っています。
原子力規制庁は、重大事故発生時において、あたかも事故の進展が把握できて、人々が円滑に避難しうることが可能であるかのような想定のもとに避難計画のひな型を作っています。避難対策が実行可能なレベルに事故の想定を押しとどめているともいえます。
しかしこの建前が、計画がリアリティを著しく欠く要因となっているのです。

繰り返し述べてきましたが、安全性確保のためには原発を再稼働させないことが重要です。
しかし原発や核施設はプールの中に使用済み核燃料がある限り、いつ何時過酷事故を起こすとも限りません。全国のプールの中の核燃料が安全な状態に移されるまで、私たちはリアリティをもった原子力災害対策をとり続ける以外ないのです。
篠山市長と市民に対して発せられた「原子力災害対策計画にむけての提言」はそのために市民サイドから行った考察です。これをたたき台に、全国でより優れた原子力災害対策を積み上げていってくださればと思います。
そのためにもぜひご覧になっていただきたいです。全体として力を入れて書かれていますが「第4章 被曝防護のための安定ヨウ素剤の服用」では、これまでのどの関係書よりも、安定ヨウ素剤服用に関する端的な指摘を行い得ていると自負しています。

なお篠山市はこの提言を受け入れて、今秋より安定ヨウ素剤の事前配布に踏み切ります。
ぜひ篠山市を応援して下さい!

冒頭の「第1章 総論 第1節 提言の基本的な考え方」を全文ご紹介しておきます。

*****

第1章 総論 
第1節 提言の基本的な考え方
第1 提言の目的
この提言は、憲法13条および25条に規定された私たちの人格権を守る精神に則って書かれています。人格権は「生命や身体、自由や名誉など個人が生活を営むなかで、他者から保護されなければならない権利」と規定されます。
平成26(2014)年5月に福井地方裁判所が提出した大飯原発の稼働差し止めを命じる判決の際にもこの「人格権」が打ち出され、社会の耳目を集めました。
私たち原子力災害対策検討委員会も、この人格権の精神に則り、篠山市民の生命や身体、自由な名誉などを守ることを考察の中心軸としてきました。

同時に災害対策のための法律としては、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)及び原子力災害対策特別措置法(平成11年法律第156号、改正平成26年法律第114号、以下「原災法」という)を前提としています。
また私たちが重視したのは兵庫県が行った高浜、大飯両原発の事故時の放射性物質拡散シミュレーションです。
「兵庫県企画県民部防災企画局広域企画室」によって平成25年4月に行われ、平成26年4月に計算の緻密化がなされましたが、両原発の事故の場合、篠山市をはじめとする兵庫県の各市町に大量の放射性ヨウ素が飛来しうることが2度に亘って示されました。
篠山市の場合、両結果とも国際原子力機関(IAEA)が安定ヨウ素剤を事前に服用すべきと規定した甲状腺等価線量50mSvを2倍前後も上回る飛来が予測されています。
この国際基準は日本政府も採用しているものであり、篠山市においても放射性ヨウ素被曝を避けることが必須であると認識しました。

これらの認識の上に立ちつつ、福井県や他県にある原子力発電所から放射性物質が大量に敷地外に放出される事態を想定し、いかに市民を被曝から守るのかを中心に検討しました。
私たちは考察を行うにあたって、原子力発電所に対する是非を一度横に置いて話し合いを進めてきました。私たちの検討対象は原子力災害対策であり、これ自身は、原発に賛成でも反対でも行うべきことであるからです。
ですからこの提言も、原発に賛成の方も反対の方もお読みいただきたいと思います。

私たちが考察してきて導き出したポイントは以下の点です。すなわち東京電力福島第一原発(以下、福島原発と記載)事故によって明らかになったことは、原子力災害はひとたび始まってしまえば事態を把握することはとても難しく、
政府も電力会社も容易に止めることができないし、原子炉内部で進行していることすらなかなかつかめないことです。
このため事故が起こった時に篠山市で独自に災害のあり方を把握し、避難時期を決めることは大変難しいと言えます。

しかもひとたび原子炉から飛び出した放射能は、初期であるほどより多くの放射線を出します。
放射能には放射線を出す能力が半分になるまでの「半減期」がありますが、飛び出してくるさまざまな放射能の中には半減期が短く、短時間で膨大な量の放射線を出すものがあるためです。
このため原子炉から放射能が漏れ出た直後が最もたくさんの放射線が飛び出してくる時期です。これらを踏まえて私たちは次のことを強調したいと思います。

原子力災害が起こった時の対処として一番大事なのは「とっとと逃げる」ことです。いったん安全地に逃れてから危険の度合いを判断し、安全が確認されれば戻ってくるという対応をすることが、早期の対応として最も合理的です。
 
ただしその場合も事故の規模、風向きによっては、理想的な退避行動をとったとしてもなお被曝をしてしまうこともあり得ます。すべての市民が被曝を確実に免れる計画を立てることはとてもできないのが原発事故なのです。
さらに要介護者など、避難が難しい方の立場はより困難です。私たちは可能な精一杯の事前準備をしたいと思いますが、絶対に確実な方法への到達は不可能です。それゆえ私たちは次の点も強調したいと思います。
 
事故に遭遇した時に、理想的にすべての被害を防ぐことは困難であることを前提としつつ、少しでも被害を減らすこと、減災の観点に立って原子力災害対策の計画を練り上げることをこの提言は目的としています。

私たちはそのためには、市民のみなさんが事前に放射線被曝から身を守る知識を身に着けておくことが重要だと考えています。その点から、この提言は、読むだけでも、みなさんのお役に立つことを願って書かれています。
なお、原発は稼働しているときの方が危険ですが、稼働していなくても、使用済み燃料プールに重大な支障があれば危機に陥ります。福島原発事故でも、4号機燃料プールがとても危機的な状態になりました。 
そのためこの提言は、燃料棒が安全な状態に移され、核事故の可能性が無くなるまで、原子力災害対策は必要であり続けるとの前提に立っています。

さらに原発は国内だけでなく世界中にあります。このためみなさんの旅行先や、ご家族の赴任ないし留学先で事故にあう可能性もあります。私たちはこうした場合にも適用できる知識を提言に盛り込んでいます。
以上が提言の目的ですので、ぜひみなさんに読んでいただきたいです。


第2 提言の目的に関する付論
先ほど私たちは、原子力災害対策の検討にあたり原子力発電所そのものの是非については検討の範囲外と考え、主に事故対策を考察してきたことを述べました。
しかし対策を仔細に検討すればするだけ、確実な避難が困難であること、もともと避難が難しい方にとってはなおさら厳しいことが見えてきました。
また避難計画においては、避難の誘導や点検などを担う市職員や警察署、消防署、自衛隊、消防団など関係機関の方々にも大きな被曝リスクを背負っていただくことを前提せざるを得ません。
高浜原発から最も近い地点が45キロの篠山市ですらこうですから、原発のすぐそばに位置する自治体では、より確実な避難は困難であり、立地条件によっては計画が立てようのない自治体もあるのではと思われますし、事実そのような報道もなされています。
これらを考えたとき、私たちは福島原発事故と同規模ないしそれを上回る事故に際して、国の責任で、周辺住民が確実に避難できる対策をたてること、放射線防護の徹底化を図ることを強く求めます。
市長は住民の安全を守る立場から、ぜひこのことを国と原子力事業者に対し、強く訴えてください。

私たちはこうした避難体制が確立され、原発により近い人々の安全性が確認されない限りは、エネルギー問題はさておき、原子力災害対策の観点から、原子力発電所の再稼働には同意できないことを明らかにせねばならないとの結論に至りました。
この点を提言に盛り込ませていただきます。
 

第3 提言の性格
この提言の中での避難計画に対する考えは、旧原子力安全委員会の「原子力施設等の防災対策について」の見直しに関する考え方についての中間とりまとめ(平成24年(2012)年3月)、
原子力規制委員会の「原子力災害対策指針」(平成24(2012)年10月31日、平成27(2015)年4月22日全部改正)を参考にした上で作成されていますが、福島原発事故はかつてなかったものであり、事故の分析や抜本的な対策の検討が続いています。
その中で見えてきたのは、この事故がこれまでの想定を大きく突破してしまったことです。

国は「日本の原発事故では原子炉格納容器が破壊され、大量の放射能が広範に降り注ぐ事態は決して起こらない」と繰り返し、放射能が原発外に大量に漏れた場合に対する法律も作らず、対応すべき官庁すらも決めていませんでした。
実際には格納容器は激しく壊れ、東日本が広範囲に被曝してしまいました。
事故原因はいまだ十分に把握されていません。事故の収束も達成されておらず、深刻な海洋汚染が続いています。大地震などに遭遇することで、再び福島原発サイトが深刻な危機に直面する可能性も大きく残っています。
そのため、この提言では篠山市が今の時点で取り得る最善の対応を提案しますが、新たな事実が判明した時は、必要に応じて見直しを行うものとします。

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