人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014」第3日目(5/5)の報告②

2014年05月06日 11時10分39秒 | 日記

6日(火・休)。昨日は「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014」の第3日目・最終日の公演のうち7公演を聴きましたが、昨日、前半の3公演について書いたので、ここでは後半の4公演について書きます

 

          

 

午後4時15分から東京国際フォーラム・ホールAでベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」を聴きました 演奏はヴァイオリン=マリナ・シシュ、カントロフ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアです。自席は1階14列15番、センター左ブロック左通路側です。1階後方には空席があります

この曲は1806年にベートーヴェンがアン・デア・ウィーン劇場のコンマス、クレメントのために作曲した作品で、4大ヴァイオリン協奏曲の中でも王者の風格のあるコンチェルトです

ソリストのマリナ・シシュが指揮者カントロフとともに登場します。フランスのマルセイユ出身ですが、細身でスマートな体型は一見、イギリスのピアニスト、アンジェラ・ヒューイットに似ています

 

          

 

第1楽章冒頭のティンパ二による4連音が会場に鳴り渡ります。王者たるヴァイオリンは中々出てきません。その間、シシュは音楽に合わせて身体を動かします。ベートーヴェンの世界に浸りきっているかのようです そしていよいよ出番となると、美しいメロディーを奏でていきます。ベートーヴェンのこの協奏曲はヴァイオリンによる美しいメロディーが綿々と続くのが特徴ですが、シシュは弱音と強音のレンジを広くとり、アクセントを付けて演奏します

第1楽章のヴァイオリン独奏によるカデンツァは、作曲者自身が残していないので演奏者に委ねられますが、この日シシュが演奏したそれは初めて聴くような気がしました。だれの作曲によるものでしょうか。いく分現代的な響きがありました

シシュは終始、オケと一体となって演奏するスタイルを貫いて、身体全体でベートーヴェンを表現しました

素晴らしい演奏に会場から惜しみない拍手が送られましたが、私は15分後に次のコンサートが「よみうりホール」であるので、拍手もそこそこに会場を後にしました

          

          

 

コンサートが予定通りの時間に終了したので、会場の有楽町「よみうりホール」までは走らずに行けました 午後5時15分から室内楽を聴きました。プログラムは①ドヴォルザーク「スラヴ舞曲作品72-2」、②同「スラヴ舞曲作品46-8」、③同「静かな森」、④ブラームス「弦楽六重奏曲第1番」です。演奏はヴァイオリン:ジャン=マルク・フィリップス=ヴァリャベティアン、弦楽合奏はフォル・ジュルネ・カメラ―タです

 

          

 

自席は1階P列2番、左端です。会場は満席

最初にドヴォルザークのスラヴ舞曲作品72-2と作品46-8が、ヴァンサン・コック(男性)とパロマ・イーデル(女性)のピアノ連弾によって演奏されました この2曲はオーケストラ版でお馴染みですが、ピアノで聴くとまた違った魅力があります。というか、ピアノ連弾の方が良いように思います

次にルイス・ロッドゥのチェロとコックのピアノによりドヴォルザークの「静かな森」が演奏されました。題名の通りピアノの伴奏によりチェロが朗々と美しいメロディーを奏でる佳品でした

最後はブラームスの「弦楽六重奏曲第1番変ロ長調」です。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロが各2本という編成による曲です 第1ヴァイオリンのヴァリャべディアン(男)、第2ヴァイオリンのアナ・ゲッケル(女)、ヴィオラのベンジャミン・ベック(男)、東条慧(女)、チェロのラファエル・ピドゥ(男)、ルイス・ロッドゥ(男)という順番に並びます。チェロのピドゥは横顔が若き日のカラヤンによく似ています

面白いと思ったのは、演奏する楽器ごとに椅子が違うことです ヴァイオリンの2人は背もたれのないピアノ椅子、ヴィオラの2人はパイプ椅子、チェロの2人は高さの調節が出来る背もたれのあるピアノ椅子です。演奏者にとって椅子は重要な道具ですから皆さんこだわるのでしょうね

この作品はブラームスが27歳の時の作品ですが、ブラームスの魅力の詰まった大好きな曲です 第1楽章の冒頭から滔々と流れる音楽に身を委ねていると幸せを感じます。第2楽章は映画のテーマにも使われた馴染みのある曲です。切ない思いが音楽のうねりの中で語られます。明るい第3楽章を経て、再び滔々と流れる第4楽章に移ります

ピアノの曲を聴いている時にはそれ程感じなかったのですが、弦楽合奏の曲ではこのホールは最悪だと思いました とくに弦のピチカートがズンズンとこもってしまい音楽的に響きません。演奏が素晴らしかっただけに非常に残念です

ところで、4楽章の演奏途中で、最前列ほぼ中央に座っていた男性客が急に席を立って荷物をまとめて退席しました この時点で終了予定時間を10分近くオーバーしていたので、次の公演に間に合わないと判断して中途退席したのだと思います。同じような立場から、気持ちはよーく分かりますが、”演奏途中”での退席は演奏者に対して失礼だと思います 実は、この人、私が行くコンサートで必ずと言っても良いほど見かける人です。しかも、座席は常に一番前のど真ん中の場合がほとんど。私が年間170回コンサートに行っているとすれば、この人は200回を超えているかも知れません 多分複数のオケの定期会員になっており、各コンサートホールのメンバーになっていて、会員優先販売で良い席をいち早く入手しているに違いありません。私が仕事を引退したら、多分この人のように生きるだろうと思います。ただし、演奏途中の退席はしないでしょう

 

          

 

次にホールAに移動して、午後6時45分からドヴォルザークの「チェロ協奏曲ロ短調」を、チェロ=アレクサンドル・クニャーゼフ、ドミトリー・リス指揮ウラル・フィルの演奏で聴きました 自席は1階3列27番。私は9年連続でこのホールAに通っていますが、これほどステージに近い席を確保したのは初めてです。前から3列目の真ん中で、目の前はコンマスです。会場は1階席後方に空きがあるようです       

 

          

 

ソリストのクニャーゼフはロシア出身のチェリストです。モスクワ音楽院でチェロとオルガンを学んだそうです。指揮者ドミトリー・リスとともに登場します。目の前でみるクニャーゼフはガッチリした体型の頼もしげな男性です

リスのタクトで第1楽章が始まります。そしてチェロがテーマを奏でると、開始早々チェロの弓の繊維が2本切れて垂れ下がってしまいました。何という力強い演奏でしょうか。これにはました。クニャーゼフは時にうなり声を上げて力演します。彼の演奏姿を見ていると、チェロと格闘する熊のように見えてきます

リス指揮ウラル・フィルも負けてはいません。リスは暴力的とも思えるほどの一見乱暴な指揮ぶりでオケをコントロールします 私は彼の大ファンです。床の振動を通して足からも音楽が伝わってきます。これは前方の席だけの利点です 私は現在在京オケ等7つの定期会員になっていますが、ほとんどセンターブロックの真ん中よりもやや後ろの席です。演奏家の音を間近で感じるためにはもっと前の席に移る方が良いのではないか、と考え直さなければなりません。そのように思わせる迫力のある演奏でした

嵐のような拍手 とブラボーが会場を満たしました。クニャーゼフはアンコールにパガニーニ「24の奇想曲」から第13番を鮮やかに演奏しました

次の公演まで時間があるのでJR有楽町駅近くで夕食をとることにしました。時間が余ったのでフォーラム地下に行くと、今年の音楽祭に参加したアーティストたちの寄せ書きが掲示されていました

 

          

          

 

午後8時45分からホールAで開催された「ラ・フォル・ジュルネ2014」最終公演を聴きました プログラムは①ラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」、②同「ボレロ」、③ビべス「ドニャ・フランシスキータ」より「ファンダンゴ」、④ヒメネス「ルイス・アロンの結婚式」より「間奏曲」です。演奏はピアノ=萩原麻未、カスタネット=ルセロ・テナ、ジャン=ジャック・カントロフ指揮シンフォ二ア・ヴァルソヴィアです

 

          

 

自席は1階21列54番、右ブロックの右から2つ目の席です。最終公演とあってか5000人収容の会場は満席です

萩原麻未が白のドレスでカントロフとともに登場 ラヴェル「ピアノ協奏曲」に入ります。ステージ脇の左右の壁に設置された大スクリーンにソリストの顔がアップされます

良い感じで第1楽章が進んでいたかと思ったら、途中でホルンが大きく外しました これは致命的です。「あ~あ、先が思いやられるなあ」と思っていましたが、第2楽章でのピアノとコーラングレとの夢見るような対話によって救われました

ところが、カントロフの指示で第3楽章に入るところで、あろうことか、入りそこなったのです 管楽器の一部に演奏の準備が整っていない楽員がいて、演奏できなかったのです 迫力のある冒頭部分がスカスカになってしまいました それでも萩原麻未は動じることなく集中力を絶やさず最後まで熱演しました

終演後、萩原麻未の希望により、カントロフが、第2楽章で”対話”をしたコーラングレ奏者を立たせ健闘を讃えました 全体的には、ソリストは良かったのにオケがズッコケで残念な結果に終わりました これって、指揮者の責任?それともオケの責任?あとで楽屋話を聞いてみたいものです

次いで、いよいよカスタネットの女王ルセロ・テナの登場です 彼女の姿がステージに現われるや、昨年のスタンディング・オベーションを知っている聴衆は大拍手を送ります

ビべスとヒメネスの曲がカスタネットの独奏入りで演奏されましたが、テナは単にカスタネットを叩くのではなく、オケの演奏に合わせて、まるで歌舞伎俳優のように”型”を決めます。言ってみれば、”見得を切る”のです それが見事に決まるので聴衆はヤンヤの喝さいを送ります。彼女は今や「ラ・フォル・ジュルネ」の”エンターテナー”ならぬ、”エンターテナ”と呼ばれるに相応しい貫録です

テナとオケはファリャの歌劇「はかない人生」から「舞曲」をアンコールに演奏しました オケが引き上げてからも、テナだけがステージに呼び戻され、スタンディング・オベーションを受けていました 凄い人気です。来年もまた来テナ

こうして、今年の「ラ・フォル・ジュルネ」も終わりました。あっという間の3日間でした。一抹の寂しさを感じます。非常に疲れたので、今日は家で大人しく過ごしました 明日はこの3日間で聴いた19公演のうちベスト5を発表しようかと思います

 

          

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする