あらゆる価値が ある村田諒太の金メダル

村田が金メダル=ボクシング〔五輪・ボクシング〕(時事通信) - goo ニュース

 日本時間の今朝行われたロンドン五輪男子ボクシング・ミドル級ファイナルで
村田諒太がブラジルのエスキバ・ファルカン・フロレンチーノを14-13の判定で
破り東京五輪バンタム級・桜井孝雄以来の金メダルを獲得した。

 通常なら1Rをリードされ3Rに逆転というのが村田の勝ちパターンなのだが、
今日の場合は1Rを5-3で取ったのに対し2Rに足を使われて4-5と取ら
れる。


 断然有利と思われた3Rも意外にパンチを貰ってSファイナルまでに見られた
3Rは圧倒的に攻勢というパターンどころかピンチに陥る始末だったが、得意の
ボディブローでファルカンがホールドを繰り返して減点を取られたのと残り
10秒を切ってからヒットした右ストレートが最終的に分岐点になったのだろう。

 解説者は‘大丈夫’と言っていたものの‘開けてビックリ判定’があるアマ
ボクシングの事だから判定が出るまで不安で仕方なかったのだが‘ブルー・
コーナー’のコールでホッとしたものだった。

 村田の金メダルは あらゆる意味で価値がある。

 まずアマチュアボクシングではコンピューター採点になったバルセロナ以降
ヒットがあからさまに分かるジャブを中心にした‘タッチ&アウェー’式の戦い
方が主流になっていたのでジャブを打たないスタイルは絶対的に不利。

 一方の村田は前半にポイントを奪われてもボディを打って相手のスタミナを
削り、
終盤に勝負をかけるというスタイルだから‘採点競技’的なアマ・ボクシ
ングでは
ポイントにつながらない。

 しかしボディを打つというスタイルは例えポイントにならなくても当然ながら
相手のスタミナを削るという重要なファクターになっているので、このスタイル
で勝ったという事はジャブを打ってポイントをかすめ取るというだけのスタイル
主流だった世界のボクシングの流れを変える可能性があるのだ。

 次にミドル級での金はプロでも竹原慎二が世界を取っているだけで95年に
竹原が
初挑戦するまで挑戦すらできなかったクラスだし、竹原も初防衛戦で
敗れている
ので1勝しかできてない。

 村田が金を取るためには今大会でも4勝しないといけないのだが、ミドル級は
世界の中でも最も層が厚くスピードとパワーの両面の強化が必要になるクラス
での4勝というのは凄い。

 ただでさえ日本が獲得したメダルは金を取った桜井孝雄と銅の森岡栄治に
今回の
清水聡がバンタム級で田辺清はフライ級と軽量級ばかりなので‘ライト
級から上は
日本は無理’という固定観念を覆した事になる。

 そして以前も記したのだがプロ・アマの交流が再開されての効果も大きく村田
最大の武器であるボディブローも内山高志直伝だそうで、以前のプロ・アマ
断絶
状態の頃なら難しい話だしプロ・アマ雪解けの象徴だろう。

 日本アマチュアボクシング連盟も体制が変わってから選手への強化費を増額
海外遠征も増やすなど、これまでの体制では考えられなかった‘努力’をして
いる。

 やはり努力は報われるという事が証明されたわけで、こうした事から結果が
出ればマスコミに取り上げられる事も増えるし いい人材も集まるという事だ。

 村田諒太の金メダルはプロ・アマ通じてのボクシング界を好転させる効果が
あるのだから。

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