東宝怪獣といえばゴジラが代表的だが実は64年にキングギドラが
登場するまでは光線を発射する怪獣は登場しない。
ゴジラは口から熱線を発射するのだが他にはモスラの幼虫が最終
的にゴジラをがんじがらめにする糸も本来は成虫になるためのもの
だったし、バラゴンが口から発射する熱線も本来は地底を掘り進む
ためのもので光線の打ち合い的なシーンはなかった。
つまり東宝怪獣は自らの生活に使うものがたまたま武器になって
いたものの光線技のような後付けの武器はないのが特徴で、放射能
熱線を出さなくても最終的にはゴジラが地球最強の怪獣というのは
問題ないだろう。
その一方でガメラシリーズに登場する大映怪獣は舌の先から発射
する冷凍ガスや熱線の虹を背中から発射するバルゴンをはじめ、口
から超音波メスの光線を発射するギャオスなど‘どこかで改造され
たのでは?’と思うほどの武器を持っている。
ただしバルゴンは自らの熱線の虹を反射鏡で撃ち返されてダメー
ジを被ると焼けただれた皮膚から紫色の血が出ているし、ガメラも
ギャオスの超音波メスで腕を切られて緑色の血を流すというシーン
など生物感が満点なのだ。
ところが東宝怪獣は流血シーンを嫌う円谷英二の以降で基本的に
流血シーンはなく、一部を除いて生物という雰囲気はないのが特徴
である。
それを考えると大映怪獣はガメラ以外は生物ではありえない武器
を持っているにも拘わらず必ず弱点を併せ持つ生物感溢れるのに対
し、東宝怪獣は弱点は基本的にないし流血もしないのに持っている
武器はいかにも生物そのものという形で妙に対照的だと思うのだ。