冷戦終結間際の雰囲気満載のリビング・デイライツ

 BS-TBSでOAされている007シリーズも今週からティモシー・
ダルトン編になり、これまでのロジャー・ムーアの時に比べて
一気に若々しくなったしアクションも原点回帰したような感じ
になる。

 しかも公開当時の87年は冷戦終了前夜という事で当時のチェコ
スロバキアの様子やソ連のアフガニスタン侵攻に抵抗するムジャ
ハディンを味方に付ける要素など、改めて見ていると当時の世界
の流れを実感するわけでムジャハディンとの共闘も翌年公開のラ
ンボー怒りのアフガンと通じるものがある。

 当時劇場で見た時に思ったのは‘ボンドが若返った’という実感で
冒頭のジブラルタルでの訓練が、実戦になる中でのアクションも久
しぶりのキレが見られ大いに期待が持てた。

 しかもマネー・ペニーやCIAのフェリックス・ライターも俳優が
交代して若返っているので一瞬驚いたし、正しくリニューアル版
007という感じだった。

 ワイルドなショーン・コネリーやユーモア溢れるロジャー・ムー
アに比べ硬派な感じで、仲間のソーンダースが殺害された時に逆上
するというシーンはこれまでのボンドには見られなかったもの。

 ソ連の影響下にあったチェコでソ連のコスコフ将軍を亡命させる
ために天然ガスのパイプラインを使い、オーストリアへ送り込むと
いうアイデアが凄いしオーストリア側から当時配備され始めた垂直
離陸戦闘機ハリアーでイギリスに搬送するのは今見ても新鮮だ。

 冷戦終結間際のソ連は軍の一部が腐敗していた事が有名だが今回
の作品でもコスコフ将軍達は横領した公金のダイヤでアヘンを仕入
れて裏金を稼いでいたわけで、それを察知したKGBのプーシキン将
軍を危険人物としてイギリス情報部に殺害させるためにコスコフは
亡命しプーシキン黒幕拙を吹き込んだ後にネクロスに奪回されると
いう手の込んだ芝居をしていた事になる。

 そういう意味ではコネリー版の敵スペクターからムーア版の敵が
ソ連絡みになり、ダルトン版ではソ連のトップすら味方という形で
ソ連軍内部の将軍や麻薬王などが敵になるなど冷戦が終わると敵も
変わる事を実感する作品だった。

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