数年前のNumberにドラゴンズファンの奥田英朗のコラムで
「ウサイン・ボルトと64東京五輪の100m金メダリストのボブ・ヘイズがタイム
スリップして互いの時代に入れ替わってもケガをするだけで絶対に好記録は
出ないだろう」
と書かれていたのを読んで妙に納得したものだった。
64東京五輪の頃のトラックは本当の土だったのに対し、今のトラックは材質が
違うのでヘイズが現在のトラックを走っても筋力が足りずに肉離れを起こす
だろうしボルトが土のトラックを走っても現在のトラックに特化しているで対応
できずに記録は出ないだろうというのは当然だ。
何事も その時代によって やり方が変わり特化されるので、まともに比較する
のは賢明ではないという事だ。
今年の沢村賞をホークスの摂津正が受賞した時に‘完投数が少ない’と一部の
メンバーがクレームを付けたのだが、思えば稲尾和久や杉浦忠ら かつての大
エース達は先発した翌日にリリーフに立ち、その翌日は先発など3連投など当
たり前だった。
そういう時代を知っている人達にとっては中6日で先発し100球ちょっとで降板
するかと思えばリリーフ投手は1イニング限定などを見ていると‘今どきの投手
は・・・’と言いたくなるのも分からないではない。
ただ頭に入れておかないといけないのが昔と今では野球が変わっていると
いう事。
‘打者はバッティングマシーンなどのおかげで その気になれば1日中練習できる
のに対し投手は生身の人間だから打者の方が進化しやすい’と
かつての名球界メンバーの投手達が口々に言っていたわけだから、稲尾らが活躍
していた60年代から既に40年以上経過しているのを考えても3連投で疲労が
溜まりコンディションの悪いエースが60年代以上に進化した打線を抑えられない
で当たり前だ。
更に池田高校が始めた‘打順に関係なくファーストストライクを打つ’というスタ
イルが投手に更なる負担をかける事になったのは間違いない。
そういう事を考慮に入れずに昔基準で‘今どきの投手は・・・・’と批判するOBや
マスゴミ関係者の言う事が全くアテにならないのは当然だろう。