石田が現役引退=ボクシング
1週間前に元WBA暫定Sウエルター級王者・石田順裕が引退を表明
した。
石田順裕は暫定とはいえ三原正以来のSウエルター級王者という
位置付けになるのだが、それよりもラスベガスのMGMグランドガー
デンアリーナで世界ミドル級4位の強豪ジェームス・カークランド
に1Rで3度のダウンを奪い番狂わせのKO勝ちした試合が印象深い。
00年にデビューしてから2度 日本Sウエルター級王者クレージー
・キムに挑戦して敗れるなど188cmの長身は目立っていたものの、
08年9月の世界タイトル挑戦者決定戦までまで20勝中8KOとKO率も
低く今ひとつのイメージだった。
ところが挑戦者決定戦ではクレージー・キムに逆転KO勝ちした
マルコ・アベンダーニョに2-1で判定勝ちすると、翌09年8月の
アベンダーニョとの再戦が暫定王座決定戦となり3-0の判定勝
ちで暫定とはいえ82年2月に三原正が失ったWBA:Sウエルター級
タイトルを27年ぶりに日本にもたらしたのだ。
残念ながらタイトル奪取試合がTV中継されなかっただけでなく
12月に行われた初防衛戦も井岡一翔のノンタイトル戦がメインと
なって、世界タイトルの防衛戦が前座扱いされるなど不遇な存在
で翌10年10月にメキシコに乗り込んでリゴベルト・アルバレス
相手に2度目の防衛戦を行ったものの僅差の判定負けを喫し年齢
的にも35歳だったので これを最後に引退と思われた。
ところが翌11年4月に27戦全勝で24KO勝ちのカークランドと対戦
して1RでKO勝ちする番狂わせを起こしてから一気に脚光を浴び、
ポール・ウィリアムスやディミトリー・ビログにゲンナジー・ゴロ
フキンといった世界の強豪相手に敗れたとはいえ戦ったのは最近
乱造されている世界王者よりも凄いキャリアだろう。
石田のキャリアは元Sウエルター級暫定世界王者というよりも
カークランドに勝ちビログやゴロフキン相手に戦ったという事の
方がインパクトが強く、さしずめ世界王座在位は46日間だった
もののアレクシス・アルゲリョやウィルフレド・ゴメスにエウセ
ビオ・ペドロサと戦ったロイヤル小林にファイトスタイルは正反
対ではあるが被るのだ。
国内に引きこもり取りやすいタイトルを厳選して挑戦し‘最短
キャリア’や‘○階級制覇’などと自慢している世界王者よりも
世界の本場で強豪と戦った石田の方がボクサーとしてどれだけ
魅力的だったか。
15年間お疲れ様でしたと言いたいものだ。