1週間前に両国国技館で行なわれたWBAミドル級タイトルマッ
チで5ヶ月前に微妙な判定で敗れたロンドン五輪ミドル級金メダリ
ストの村田諒太が、王者のアッサン・エンダムに7R終了TKO勝ち
でタイトルを奪取し日本の五輪メダリストで初の世界王者になった。
感心したのは勝った村田が勝利者インタビューで‘ミドル級王者
には自分より強い王者がまだまだいる’というコメントをした事。
実際ミドル級にはゲンナジー・ゴロフキンという絶対王者がスー
パー王者として存在しているだけでなく、サウル・アルバレスやビ
リージョー・サンダースなど格上の他団体の王者がいる事を多くの
ボクシングファンは知っているのに対して一般の視聴者は知らない
ので民放地上波TV局は他の王者達を無視する傾向が強い。
だから赤坂TVと、そこの お抱え世界王者達はアンセルモ・モレノ
やローマン・ゴンサレスにファン・フランシスコ・エストラーダら
‘自分より強い王者’の存在を一般の視聴者が知らない事を幸いに
これら強豪達を無視する路線を取っているのが現状だ。
現在のボクシング界では弱い挑戦者を相手に長々とタイトルを
防衛するよりも常に強い相手を求めて戦い、自分の階級に対戦相
手がいなくなると他団体の王者と統一戦をしたり階級を上げて更
なる強い相手と戦うのが当たり前になっている。
ところが民放地上波局は対戦相手の質は無視して1回でも多くの
防衛に拘るという昔の価値観に支配されているので、そういった
一般視聴者の知名度が低い強豪相手と対戦するのはリスクが大き
いという事で忌避し強豪達の存在を無視するわけだ。
ただ世界の強豪が集中するミドル級には楽な相手はいないし、ご
まかしようがないのが現状だ。
だからこそボクシングファンは強豪達の存在を明らかにしアピー
ルする村田の姿勢に喝采を送るわけで、願わくば他の王者達も続い
て欲しいし民放地上波TV局もその路線をサポートして欲しいものだ。