今年は昭和ガメラが初めて上映されてから50年目になるのだが、
柴田真紀さんが指摘していたようにガメラシリーズの特徴は怪獣
達の弱点を明確にしたという事になる。
それまでゴジラをはじめとした東宝怪獣の場合‘アンギラスは
脳が体中に分散しているので動きが俊敏’などという特徴は語ら
れていたものの、具体的な弱点は語られる事なく何度も登場して
いるので いつしか‘弱点’について語られる事はなかった。
またウルトラ怪獣もQの頃には‘ペギラはペギミンHが苦手’
などの弱点が記されていたが、作品が進むにつれてバルタン星人
のスぺシウムやキングジョーがライトンR爆弾で破壊できると
いった説明ぐらいしか語られなくなっていた。
ところが昭和ガメラではバルゴンは真水に長時間漬かると体
組織が溶解する例から始まりギャオスは太陽光線に含まれる紫
外線に弱いなどの弱点が劇中で語られ、一旦バルゴンらに敗れ
たガメラがリターンマッチで敵の弱点を執拗に攻めて勝つと
いうパターンが‘お約束’になったのだ。
これはガメラが善玉怪獣であるという設定があるし、何より
ガメラシリーズでは怪獣が巨大生物という解釈から来ていると
いうのが大きいだろう。
ゴジラやウルトラマンは基本的に強いので怪獣の弱点を突か
なくても勝てるわけだが、昭和ガメラは敵から一旦敗れる事で
子供達に応援してもらいやすくなっているし再戦で勝つには
弱点を見破って突くというのが最も盛り上がるのだろう。
金子修介氏らが作る平成ガメラは‘北の玄武’というように
守り神的な存在なので、敵の弱点を突くという要素がなくなっ
たのではないかと思うし良くも悪くも昭和ガメラとの差別化に
なっているのではないだろうか。