


桐子ちゃんの気持ちを汲み取ること

感情を引き出すこと

かなり良いところまで行ったのだが



恵那「キリちゃん・・・ごめんね

わかったようなこと言っちゃって・・・

でも、キリちゃんは
」

透明「ただいま~
」

恵那「
」

桐子「
」

透明「ごめんね~ぇ~
遅くなっちゃって



今、何しているの
」

恵那「え、え~っと
おままごと
」


桐子「・・・・・。」
透明「そっか
おままごとかぁ~


それじゃ~、キリちゃんの自動モードを
終わらせて、続きをしようかな
」
終わらせて、続きをしようかな

取りあえず、仕切り直し

私は、キリちゃんの背中を押し、自動モードを
解除する・・・

透明「お母さ~ん
今日の御飯はなあに
」


恵那「えっ、あっ
ハ、ハンバーグよ
」


透明「やった~っ
キリの大好物
」


恵那「そ、それじゃぁ~、一緒に作ろうか
」

透明「うん
」

とにかく、先ずは空気感を変えよう

私と恵那ちゃんは、楽しそうにおままごとを続ける・・・。
少しづつではあるが、キリちゃんも和んでいるように
感じた

透明「(そろそろかな
)


そういえば、お母さん
」

恵那「なに
キリちゃん
」


透明「この前は、ごめんなさい
」

恵那「えっ
」


透明「キリ・・・お母さんのお仕事の邪魔しちゃって
」

桐子「
」

恵那「えっ
・・・え~っと・・・
」


透明「でも、キリは
あいたたたたっ 
」



恵那「
」

桐子「
」

透明「ごめん
また、お腹が
また、自動モードにして


おくから、続けておいて
」


と、言いながらお腹を抱えて部屋を飛び出す
三文芝居の透明先生・・・





透明「(さて
第二ラウンドだよ
)」


恵那「・・・・・。」
桐子「・・・・・。」
恵那「(ハッ
いけない
続けなきゃ
)



キ、キリちゃん・・・どうしてお母さんの
お仕事の邪魔をしちゃったの
」

桐子「あっ・・・・・・
」

桐子ちゃんには、記憶があるはず

お母さんが仕事の邪魔をするな
と怒っていた

ことを・・・。
桐子「・・・ご、ごめんなさい・・・・。
で、でも
キリ・・・・・・・・
で、でも

お母さんに笑って欲しかったんだもん
」

恵那「
」

突然の大きな声に、恵那ちゃんが驚いている

チャンスだよ
恵那ちゃん


恵那「・・・そっか
そうだったんだ


キリちゃんは、お母さんに笑って欲しかったんだ

ごめんね、キリちゃん
・・・お母さん気が付かなくて・・・
」


桐子「
・・・ご・・・ごめんなさい・・・
」


恵那「いいのよ
キリちゃんが、想ったことがわかって

お母さん、嬉しいから
」

桐子「えっ
」

恵那「キリちゃんは、お母さんの喜ぶことが
したかったんだね

なのに、お母さん気づけなかった・・・

本当にごめんね
」

桐子「そ、そんなこと・・・。」
うん
ちゃんと桐子ちゃんとシンクロしている


桐子ちゃんが欲しかった言葉をちゃんと選べているね

それからの恵那ちゃんは凄かった

おままごとをしながら、桐子ちゃんがしたかったこと、
感じたかったことを的確にさせてあげていっていた・・・



恵那「クスクス
ハンバーグの完成~っ
」


桐子「かんせ~い
」

恵那「それじゃぁ~、キリちゃん

一緒に食べようか
」

桐子「うん
」

目の前にあるおもちゃのハンバーグに向かって
手を合わせ、大きな声でいただきますをする二人

恵那「もぐもぐ
」

桐子「もぐもぐ
」

恵那「美味しい
」

桐子「おいし~っ
」

恵那「キリちゃん
明日は何が食べたい
」


桐子「明日は・・・・ぐすっ・・・ぐすっ
」

突然
桐子ちゃんの目から大粒の涙が溢れる


桐子「えっ・・・ぐすっ
あれっ
・・・・ぐすっ
」

あれっ


戸惑う桐子ちゃん・・・。
顔は笑っているのに、涙が止まらない

桐子ちゃんにとっては、何が起こっているのか
分からないのだろう・・・。
次の瞬間

恵那ちゃんが桐子ちゃんを優しく抱きしめる・・・。
恵那「偉かったね
キリちゃん
」


桐子「
」


恵那「キリちゃんは、ず~っとこうしてお母さんと
遊びたかったんだよね

お母さんが忙しいし、機嫌が悪いから、
我慢していたんだよね

でも、もういいのよ
これからは、毎日
おままごとしようね

おままごとしようね

美味しいごはんも食べて、沢山遊ぼうね
」

桐子「ううっ
・・・え~~~~~~ん~~~~~~
ええ~~~~~~ん
ごめんなさ~~~~い
ええ~~~~~~ん
おかあさ~~~~~ん
ごめんなさ~~~~~い
え~~~~~~ん
」


ええ~~~~~~ん


ええ~~~~~~ん


ごめんなさ~~~~~い


恵那「キリちゃん・・・ぐすっ・・・おかえり・・・
」

桐子「ええ~~~~~~ん
え~~~~~~~ん
」


重たいおもちゃ箱の蓋は開かれ、大粒の涙と共に
浄化されてゆく・・・

透明「(よくやったね
恵那ちゃん
)」


恵那ちゃんは、子供の頃に自分が経験したことを
ちゃんと桐子ちゃんに伝えられたようだ・・・

全ての子供がそうではないかもしれない

それでも、子供はお母さんを嫌いにはなれない

お母さんが自分を疎むのは、自分が足りないから、
自分が悪いからと考えてしまう

桐子ちゃんにとって、それは自分を戒め、己を殺す
ことにつながってしまっていたのだろう・・・

自分を許すこと・・・許されること・・・

桐子ちゃんは、初めて自分のために泣くことができた

その涙は、必ず頑なな心を溶かし、強さへと変わるだろう

星が瞬く夜に、全ての悲しみを吐き出すように
小鳥の鳴き声が響いていた・・・。
小鳥の鳴き声が響いていた・・・。
続く ・・・。







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