

私は、部屋に戻って念のために持ってきた
祈祷用の粗塩や香の用意をする・・・。
透明「う~んと、これとこれを使えば良いか

しかし、いつも何かに巻き込まれているせいで、
こういうモノを常備しているのが、
当たり前になっている現状が悲しい限りだよ
」


そんな愚痴をこぼしつつ・・・

透明「よし、こんなもんかな

取り敢えず、祈祷と言っても、通常の厄祓い
程度のものだから、大丈夫だろう

しかし、祈祷が終わってからの方が、
大変だぞ
・・・今から、ある程度考えて

おかなくちゃ
」

透明先生、思考中・・・・

「トントン
」

うっ
もう来ちゃった


透明「は~い
どうぞ
」


女将「失礼します
」

主人「失礼いたします

この度は、ご足労いただき、
ありがとうございます

ご挨拶が遅れまして、申し訳ございません
」

透明「あっ
」

主人「あっ
」

女将「
」

透明「あなたが、ここのご主人だったのですね
」

主人「先程は、失礼しました

まさか、妻から聞いていた先生が、こんなに
若い方だとは思っていなかったもので
」


女将「えっ
どういうこと
」


女将さんの旦那様、つまり、この温泉宿のご主人は、
先程、温泉で出会った男性だった・・・。
透明「しかし、私もまさか、ご主人があの時間に
温泉に入っているとは、思ってもいなかったので、
失礼しました
」

主人「い、いえいえ
こちらこそ、すみません



実は、この温泉は、子宝の湯としても
有名なもので、私も治療がてら、少しでも
空いた時間に浸かるようにしているのです・・・。」
空いた時間に浸かるようにしているのです・・・。」
そっか・・・でも、これでひとつ分かった

さっき、温泉で感じたモノは、ご主人の心の病み・・・。
つまり、ご主人も子供が出来ないこと、セックスレスの状態
に対して、相当、悩んでいるということだ

よし
とにかく、先ずは形だけだけど、祈祷で気持ちを

軽くして行こう

透明「一応、確認なのですが、ご主人は今回のこと、
ある程度は把握されているということでよろしいですか
」

主人「は、はい
今回のことも妻に聞いています


・・・・ただ、実のところ、私はこういったことに
疎くて・・・
疎くて・・・

ですが、私の親の代から、ここにはそういったモノがあると
聞かされていましたので、重々承知はしているつもりです
」

透明「大丈夫ですよ
それで十分です


目に見えないモノを信じるというのは、誰でも抵抗あります

ただ、一つだけ約束していただけませんか
」

主人「は、はい
な、何でしょう
」


透明「簡単なことです

ご主人が想い描く、理想を諦めないこと
だけを、約束してくださるとありがたいです
」

主人「
」

透明「ご主人は今、お子さんのこと、諦めてしまうか

迷っていますよね

ですが、その迷いはここで捨ててください

理想が叶わないと感じることが、人生で一番苦しいと
いうのは私も重々承知しています

ですが、これから行ってゆくのは、あくまでも
理想の結果に結びつけようとする行動です

ですから、ご主人には、今回で最良の結果を
導き出すことだけを、考えていて欲しいのです

私も全力でお手伝いします

どうか、そのことだけは、覚えておいてください
」

主人「・・・・・はい・・・・
」

ご主人の目に薄っすらと涙が滲んでいる・・・。
きっと、周りが想うより、悩んでいたのだろう

私は、ご主人と女将の気持ちをくみながら言葉を
紡いでゆく・・・。
紡いでゆく・・・。
次回、祈祷開始です 

続く ・・・。







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