観測にまつわる問題

政治ブログです。「保険」「相続」「国民年金」「AIロボット」「運輸エンタメ長時間労働」「GX」を考察予定。

憲法改正に関する論点1(緊急事態条項)

2017-12-22 23:04:26 | 政策関連メモ
20日ですが、自民党ホームページに憲法改正に関する論点取りまとめがあったので、いろいろ考察していきます。まず緊急事態条項から。

筆者の見るところ、意外に危ういのが緊急事態条項だと思います。国家緊急権(ウィキペディア)を見ても、具体的に何をしようというのか良く分からないが、非常事態に権利を制限するらしいという漠然とした不安があります。例えば、東日本大震災を想定すると、菅直人首相に強大な権限を与えるのが緊急事態条項です。北朝鮮有事を想定しても軍事博物館が韓国を突破して日本に攻めて来る可能性を想定するのは非現実的のように思います。飛び道具による攻撃(ミサイルの脅威・サイバーテロの脅威・工作員の強襲)を想定するなら、個別に対応できるのであって、緊急事態条項は風呂敷を広げすぎではないでしょうか?核ミサイルで日本の頭脳(東京)壊滅を想定するなら、バックアップをどうするかという議論になって、緊急事態条項とは別種の問題となると思います。自民党でどういう議論がされているか良く分かりませんが、あまり曖昧でどうとでもとれる書き方にすると、ドサクサにまぎれてとんでもないことをする気だと主張され、可能性は否定できない(自民党じゃない政権の可能性も想定しなければなりません)だけに苦戦が予想されます。隙があると、マスコミが反対キャンペーンしかねないですからね。緊急事態条項に反対する訳じゃないんですが、妄想をかきたてない改正にする必要があると思います。

①の国会議員の任期延長や選挙期日の特例は問題ない気はします。例えば日本国憲法の第一章で皇室典範に言及していますが、同じように別途法令で定めるという記述でいいと思います。例えばこのぐらいの災害なら、当地で選挙を行えないので、任期を延長したり選挙期日で特例を認めるような法令をつくります。具体的中身は国会で議論すればいいと思いますし、常識的な結論(法の不備の修正)なので、反対も基本的にはないと考えられます。ただ、あまり長期化はしない方がいいのではないでしょうか?災害対応に区切りがついたら速やかに選挙するぐらいのイメージがいいと思います。戦争を想定した任期延長も考えていいと思いますが、これも戦争が終わるまで延期できるというような話にするのではなく、例えば選挙にあわせてミサイルが発射されたというような事態を想定し、事態が落ち着くまで延期して速やかに選挙する方向性がいいと思います。首相が最高指揮官と言っても軍事の実際はプロであるところの防衛省・自衛隊が仕切ると思いますし、そこのところが安定していれば、形だけに近い最高指揮官は代わってもいいと思います。寧ろ緊急事態条項を理由に適任でない時の首相に粘られたら敵いません。今更長期に渡る総力戦が行われると中々想定しづらいですが、長く首相でいたいがために戦争を仕掛けたみたいなケースを想定されることは避けねばなりません。その他如何なる緊急事態でも時の首相や政権が恣意的に緊急事態を判断して際限なく任期を延長できるというような条項にすべきでないのであって、この辺は法律で(例えば地震なら震度○○のように)明快に決めてしまうべきでしょう。

②の政府への権限集中や私権制限は揉めると思います。やはり重要なことですから、具体的に何を目的にどうするか想定して反対論が強くならないよう考えるべきでしょう。例えば東日本大震災の時に、一々安否が分からない方の承諾を得ず災害復興してしまうのようなことが考えられます。ここは誰それの私有地だから作業はできないとか、後で権利者が出てきてここは私の土地だから使用料寄越せみたいな事態を防ぐことが考えられます。大災害の時はもう権利者の承諾を得ずに必要な作業は行うことができるようにして、問題があるケースと認定されれば後で補償するみたいなことを考えてもいいでしょう。ただ、高台移転みたいなことの強制は考えるべきではないと筆者は考えます。これは仮に高台移転を決めてしまったとしても、危険性のある低地に住むことを制限する条項を別につくらないと機能しなくなるからです。災害の危険性があるからここには住めないと決めることは火山噴火の兆候を掴んでいるとかよほど差し迫った理由がないと難しいでしょう。あまり可能性だけで禁止してしまうと日本には住めなくなります。もうその辺は住民の判断に任せるしかないと思うんですよね。結局のところ、多少危なくとも俺はここに住みたいと言う人がいたら邪魔するべきではないと思いますし、高台移転が上手くいかないなら住むことが危ない地域は自己責任で住んでもらうとか引越しを支援するとかの方がコスト安でしょう。危険だからと言って一々公共事業していたら幾ら金があっても足りません。勿論防災を軽視するつもりもありませんが、あまり効率の悪い公共事業はもう通らないと考えるべきだと思います。住まないことの大切さ自己責任で住むことの大切さも考えられて然るべきでしょう。兎に角キリがないですから。戦争の場合もまず憲法9条や自衛隊法をどうにかして対応すべきだと考えますが(例えば徴発は権利の制限ですが現行憲法で規定があります)、憲法に緊急事態条項を定めて、別途徴用令をつくって、戦時徴用するということは考えられるかもしれません。でもこういうのも現行憲法でいけそうな気はします。あるいはサイバー攻撃が仕掛けられらた時に踏み台のパソコンを政府が破壊するというような対応も現行憲法でいけると思います(まぁこの辺は筆者の想像です)。大事なことは、あまりどうとでもとれるような緊急事態条項をつくらないことだと思います。戦争はポジティブリストでは対応が難しいかもしれませんが、何でもやっていいという訳ではなく、ネガティブリストは当然存在しています。緊急事態条項も政治権力が緊急事態を恣意的に認定して権利制限をするというふうにとられることは避けるべきで、こういう事態ではこういう対応が必要なので、こう権利を制限するというようなことを考えるべきだと思います。

こう考えると緊急事態条項は果たして必要だろうかと思えてきます。権利の制限は公共の福祉を理由に別途法令を定めれば、現行憲法でも可能だからです。ただ、何でも公共の福祉で対応することが是かという議論は有り得ると思います。緊急事態(繰り返しますが何が緊急事態なのか定めることが重要だと思います)においては別に法律を定めれば私権を制限できると明快に規定した方が国民に理解しやすくよりベターだと考えられるでしょう。ここに想像で反対する余地はありません。別の法律の規定がないと何も出来ないからです。


沖縄に関する無知は差別の気持ちから来るものではありません

2017-12-22 16:32:33 | 日記
(社説)沖縄への中傷 苦難の歴史に理解欠く(朝日 2017年12月22日05時00分)

>米軍ヘリの窓が校庭に落ちてきた普天間第二小学校に「やらせだ」「仕方ないだろう」などと、中傷・揶揄(やゆ)する電話が30件以上寄せられている。

普天間小学校に心無い中傷や揶揄の電話があったとしたら残念ですね。ただ、この電話の主というのも正体不明でしょう。大新聞が社説で紹介する以上、朝日はちゃんと取材したんでしょうかね?というのも、これに先立つ保育園の事件の方が自演だと指摘されているからです。保育園の事件が自演であるならば、続く事件も疑ってしまうのは当然の心理だと思います。

>今月初め、ヘリの部品が園舎屋上で見つかった同じ宜野湾市の保育園にも「自作自演だ」などの攻撃が相次ぐ。

保育園の牧師は反基地活動家で(そのことに関するご自身の説明はないようです)、部品が落下したらそんな「被害」では済まないという指摘がネットであります(やはりそれに対するご自身の説明はないようです)。反基地活動家の言い分をそのまま信じる訳にはいきません(幾度と無くレーザーポインターを米軍機に向かって照射し、一歩間違ったら大事故に繋がりかねない危険な活動をする危ない人達です)。

>普天間飛行場は沖縄戦さなかの1945年、学校や住宅があった土地を米軍が接収して造成した。戦後、収容所や避難先から戻ってきた住民は、その周辺で暮らすしかなかった。

普天間飛行場建設の経緯に関しては、当初自分も誤解していたところがあります。どの程度人が住んでいたのか資料を見ておらず良く分かりませんが、元々人が住んでいない土地ではなかったのだろうと思います。ただ、米軍は日米両軍の不発弾が埋もれていた危険地帯の不発弾を処理して普天間基地を建設し、特に本土復帰で思いやり予算がついて以降、基地に依存した地域社会を形成し発展してきた経緯があることも否定できないようです(参考:普天間飛行場(ウィキペディア))。対して本土の米軍基地は旧日本軍の基地を利用してつくられており、旧日本軍のレベルで基本的には問題が解決していますが、沖縄の米軍基地はアメリカ統治になって恐らくハワイやグアムのように基地が造られたということであって、どうも成り立ちが違うようです。日本が沖縄に対して申し訳ないと思うのは、アメリカに負けたこと、アメリカの沖縄統治を許したこと、そして勿論沖縄戦で多大な犠牲を強いたことです。「米軍基地問題」を論ずるために必要なのは基地の成立過程から歴史を辿ることですが、必ずしも日本本土と沖縄の基地を単純に比べるべきではありません。成立過程の研究で必要なのは、グアムやハワイの基地との比較でしょう。ただハワイやグアムのアメリカ統治は沖縄の統治より古く無理を押し通したような印象もありますが、それは兎も角基地を設置したのは米軍であり、成り立ちが違う本土の基地と比較して単純に論じるべきではないのは間違いないところだろうと思います。

>県民総所得に占める基地関連収入の割合は5%に過ぎず、基地が沖縄の経済発展の足かせになっていることは、数々のデータが裏づけている。

基地が沖縄の経済発展の足枷と断定できるかは疑問もあります。沖縄ぐらいの大きさの島だとまず(日本の戦後の発展を支えた)工業に適してないことは明らかだろうと思います。経済の大きな部分を占める第3次産業にも向いてないと思います。これは沖縄に限らずどの地方も同じで、向いているのは大都市で日本だと東京圧勝と言わざるを得ません。農業だって水を使いますし漁業も消費地に近くありませんし特に資源がある訳でもありません。向いているのは観光だろうと思いますが、オフシーズンがある観光依存も正直疑問です。ITは離島でも比較的ハンディは少ないと思いますし、そのための投資もされていると思いますが、沖縄が有利な訳では決してありません。5%でも外部から収入がもたらされる意味は決して小さくはないと思います。沖縄は地政学的要衝にあって、そこにあることこそが唯一無二の価値です。それを活かさない手はありませんし、引越しできないので選択肢がある訳でもありません。米軍や自衛隊がいなくなれば、他の国の軍隊が入ってくるだけです。

普天間基地が那覇都市圏の発達の邪魔になっていると言われればあるいはそうかもしれません。ならば一刻も早く辺野古移設するべきじゃないですか?辺野古は沖縄でも取り残された地区です。住民の方々は辺野古移設にほとんど同意していると聞きます。本土からの差別を訴える沖縄がより弱い立場の辺野古の意見を尊重しないふうなのは残念に思っています。

>ヘリパッド建設工事に抗議する住民を、大阪府警の機動隊員は「土人」とさげすんだ。沖縄差別というべき振る舞いが後を絶たない。

ヘリパッド建設に対する反対運動に参加する住民の方もいらっしゃったかもしれませんが、少なからず本土の活動家・海外の活動家が参加したと言われ、必ずしも住民の自発的な抵抗運動とは言えなかったのではないかと思います。「土人」発言に関しては差別的な言辞が誤解を招いて残念だと思いますが、汚い言葉で機動隊を罵り決して品行方正とは言えない方々を軽蔑する気持ちが抑えられなかったのかもしれません。記事には書かれていませんが、当初「支那人」 発言も問題とされたと思います。これも誤解を招いたかもしれませんが、中国の属国を意味する4本爪の龍柱が建設されそれを推進した方が知事となり沖縄(尖閣)侵略に声もあげない現状に対する危機感からだと理解します。

本土の人間も良く分からず残念な発言をしているかもしれません(筆者も似たようなものです)。でも47ある都道府県でこれほど注目されている地域があるでしょうか? 沖縄は日本の首都ではありませんしそうであったこともなく、大都市でもありません。沖縄に対する無知を示す言動は必ずしも差別の気持ちから来るものではないことを理解していただきたいと思います。

筆者のツイッター投稿を再録・加筆・編集した記事。