トラウマとフルインクル(その88)
《「同調」といくつか「新しい能力」について(Y)》
仲間集団が育てあげる民主的な雰囲気そのものから生じる「能力」こそが、日々の「贈る能力&受け取る能力」である。
それが、暦単位(年間行事)で、「同調」する能力を育む。
その能力こそが、困難な状況で孤立しばらばらになりかけるときに、子どもを安全共同体(セイフティコミュニティ)(私たちと共に)につなぎとめるのである。
障害の有無にかかわらず、「私たちは骨の髄まで社会的な生き物」なのだから、
学校という場所の最初の課題は、一人の子どもの能力を問題にすることではなく、
対人関係(贈り、受け取る関係)が個人にもたらす意味を大切にし、
子どもへの接し方、子ども同士のつきあい方を、対等なものに育てていく工夫だ。
合理的調整=配慮とは、そのためにある。
◇
入学前の子どもを、短時間観察し、選別することの愚かさに、いい加減気づき、止めるべきだ。
子どもたちが学校と出会う最初が、就学時健康診断という「選別」の場であることは、みんなにとって不幸だ。
子どもたちは、どんなときも、この世界がどういうところかを見ている。
自分たちが住む世界で、仲間の絆をみている。
困っている子どもに、大人がどんなふうに手をさしのべるかどうかを、みている。
困っている子どもを、大人がどんなふうに助けてくれるのかを、みている。
分けられる子のことを、子どもたちは見ている。
子どもたちがそこにいてくれるという贈り物を、大人は受け取ってくれるのかどうかを、子どもたちはみている。
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