「あほリズム」27~32

2010-07-29 06:41:44 | アフォリズム(箴言)ではありません
          
          「あほリズム」



           (27)


 過去などない、ただ記憶があるだけだ。



           (28)

 蜩(ひぐらし)が泣いている。彼は何の為に生きているか?

 「ただ生きているだけさ。」

 私が悩んでいる。私は何の為に生きているか?

 「何の為に生きているのかと悩みながら、ただ生きているだけさ。」


(蜩は「泣き声コンテスト」昆虫部門できっとベスト10には入るな)


           (29)

 私自身とは私の視線が反射されて捉えた私である。


           (30)

 私は生命を得る前から私であった覚えがない。

 従って、生命を失くした後も私である筈がない。 


           (31)

 我々の視力は判断能力に応じて機能する。つまり、

 見る必要のないものは見えない。ところが、

 我々の懐疑は判断能力を無視して探究する。つまり、

 何故見えないかと。


           (32)

 我々は「動く」物である。

 「動く」物とは「今ここ」に止まらず、

 「何時かどこか」へと「動く」物である。 


           (33)

 人間以外の生き物は自分の「死」を認識していないというが、

 ところが、彼等は危機を察知すると素早く逃げる。

 つまり、身に迫る危機は予感しているのだ。

 その予感とは我々が認識する「死」とそれほど違っているだ

 ろうか?ただ、我々のように認識しないだけではないのか?

 私はと言えば、自分の「死」どころか未だ「生」すら認識で

 きずにいるというのに。