「アブラの冬」③

2012-02-19 04:56:57 | 「パラダイムシフト」



             「アブラの冬」③


 日本を含む西側先進諸国は、国際社会の警告を無視して核開発す

るイランに対して石油の輸入を止める経済制裁を科そうとしている

が、それに対抗してイランはホルムズ海峡の封鎖を言って脅したり

と、一触即発の危機にあることは間違いない。私は本来、これから

の日本経済を危惧して以下の本題を記すつもりでいたのだが、これ

までの前説が長くなってしまった。

「アラブの冬」①で言ったように、イスラエルによるイラン国内に

ある核施設への攻撃は高い確率で行われ、イスラム諸国を巻き込ん

だ第何次か知らないが中東戦争が起こる可能性だって否定できない。

ただ、産油国の多くは国内に民主化運動という内憂を抱えているの

でそれに係わってばかりはいられない。ところが、イスラエルでは民主

化が進み国家の代表は投票によって選ばれ、それらの国より憂いが

なく、ただ、外患のみに煩わされてきた。選択肢は遥かにイスラエルの

方が多い。しかし、選択肢が多いことが優位であると断定できないこと

は、以前に高坂正尭氏が「日本存亡の時」の中で述べていたように「迷

いを生み」結果的に間違った選択をすることだってある。言えることは、

中東の混迷は間違いなく原油価格を高騰させ、エネルギーをそれらの

国々に頼っている日本の経済を直撃することは避けられない。さらに、

先頃はインドネシアも自国の経済成長をまかなう供給を優先するために

石油の輸出を禁止しようとしている。

 ところで、我が国は東日本大震災による福島原発の事故から、原

発の再稼働が国民の反対から困難になっている。すると当然、今の

ところ石油による火力発電に頼るしかないのだが、その想定も原油

不足と高騰から思惑通りいかないかもしれない。もし、中東の混迷

が長引くようなことになれば石油の備蓄が底を突き、かつてのよう

に石油ショックに見舞われて去年の夏以上に電力不足から日本経済

を担う製造業が生産できなくなって失速するかもしれない。そして、

一年も経てばフクシマのことなど忘れてしまい、冷めやすい世論は

背に腹は替えられんと原発の再稼働もやむなしと逆振れするかもし

れない。

 もちろん、それは日本経済だけが被る危機ではなく、中国を始め

新興国でも深刻なエネルギー不足に悩まされることだろう。恐らく、

それらはロンドンオリンピックが閉幕した辺りに現れて、おっと忘

れてた、EUの経済危機もギリシャ一国さえも未だ片をつけられず

に果たしてそれ以外の国々をどうして救済できるだろうか。そう言

えば、四年前に北京オリンピックが閉幕すれば中国経済が崩壊

すると散々言われたが、豈図らんや、アメリカで格付け会社からト

リプルA の評価を受けていたサブプライムローンが破綻してリーマ

ンショックが起こったように、思いがけない国が経済危機に陥るの

ではないだろうか。それは世界経済の危機をもたらすに違いないが、

日本から起こらないことを祈るばかりだ。ただ、我々には更なる「冬

の時代」待っているかもしれないことを忘れてはならない。「アラブ

の冬」は、資源を持たない我々にとっては「アブラの冬」の時代なのだ。


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「アラブの冬」②

2012-02-19 02:52:07 | 「パラダイムシフト」




               「アラブの冬」②


 先の「アラブの冬」の記事をブログに掲載して(2月18日21:

06:39)すぐに、以下のニュースが「 asahi.com 」に載った。



「待ち望んだ反応」米国務長官、イランの対話姿勢を評価
               
                   2012年2月18日21時10分

 クリントン米国務長官は17日、イランが国連安全保障理事会の

常任理事国にドイツを加えた6カ国との協議に応じる意向を示した

ことについて「我々が待ち望んでいた反応だ」と歓迎した。イラン

の意向をさらに分析したうえで、協議再開を決断する考えも示した。

 イランから書簡を受け取った欧州連合(EU)のアシュトン外交

安全保障上級代表と国務省で会談し、共同記者会見で述べた。クリ

ントン氏は、協議で核開発問題を最初の議題とするという6カ国側

の要求を「イランが受け入れているようだ」と評価した。イランは

協議再開に向けた前提条件も示していないという。

 協議再開の時期については、6カ国が書簡の分析を終える必要が

あると述べるにとどめた。また、原子力利用の国際的義務を守ると

いった具体的成果を出すところまで協議を続ける意向がイランにあ

るかどうかも見極めたい考えも示した。

 
 僅か4分足らずで私の予想は外れたことになる。記事そのものよ

りもそのタイミングに驚かされた。ただ、イランは「協議に応じる

意向を示した」もののまだ応じてはいないし、それに「6カ国協議」

と聞いて何だか良からぬ記憶が甦ってくる。それどころか「毎日新

聞 2012年2月11日 東京朝刊」では、

 アフマディネジャド大統領に対し、イスラム体制の最高指導者ハ

メネイ師やラリジャニ国会議長を中心とする反大統領派は「大統領

が将来的に体制変革をもくろんでいるのでは」と勢力伸長を警戒し

ており、利権争いも絡み、生き残りをかけた政争の様相を示してい

る。(一部抜粋)

 とある様に政権内部も一枚岩ではなく、様々な駆け引きが行われ

ているようだ。それにしても現大統領は「体制変革」ってどう変革

しようとしているのだろうか?政権から聖職者を排除しようと考え

ているのだろうか。まさか民主化運動の先頭に立とうとでも言うの

だろうか?何れにせよ「協議に応じる」からといって、クリントン国

務長官が「待ち望んだ結果」になるとは到底思えない、のだが。

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