「奇跡の時代」 カレン・トンプソン・ウォーカー著 雨海弘美訳

2013-09-04 06:48:00 | 従って、本来の「ブログ」
 
 
 
   「奇跡の時代」 カレン・トンプソン・ウォーカー著 雨海弘美訳
 
 
 
   
  図書館の新刊書を並べた一角にこの本はありました。最近の本
 
を読んでないなあと思って序でに借りました。私はまったく知らな
 
かったのですが、何でも、著者にとってこれが初めての著作で、大
 
手出版社が新人作家としては破格の出版料を支払ったことが話題に
 
なったらしい。そう言われてみれば、以前にネットのニュースにそ
 
れらしき見出しを見た記憶があったが記事は読まなかった。
 
アマゾンの内容紹介によると、「突然、地球の自転が遅くなり始め
 
た。気候や農作物、人々の心にも変化が生じるなか、ロス郊外の町
 
に暮らす少女・ジュリアを取りまく状況も変わっていく。なんとか
 
生きのびようともがく人々の姿を静謐に描く。」とある。すでに映
 
画化も決まっているようなので、退屈するようなことはなかった。
 
短文の簡潔な文章が小気味よく物語を綴っていく。夢が膨らむはず
 
の思春期の少女が世界が終焉するかもしれない予兆の中で、それで
 
も友だちとの葛藤や好きな男の子への想いや思春期ならではの悩み
 
、また時には大人の世界への批判を語る。ただ、残念だったのは大
 
きなテーマであるカタストロフィーの原因が「わからなかった」で
 
終わってしまったこと。何か、もうちょっと仮説でもいいから原因
 
を探って欲しかった。いまや地球環境問題は世界中の関心が集まっ
 
ている時でもあるので、実際、私の関心でもあるのでもう少しリア
 
リティーを与えてほしかった。
 
「訳者あとがき」から転載すると、「辛口の書評で知られるニュー
 
ヨーク・タイムズ紙のミチコ・カクタニが『リアルとシュールリア
 
ル、日常と非日常をなめらかな筆致と才気で融合させた・・・
 
必読の文芸作品』と賛辞を送ったほか、大好評を博した。」とある
 
。少しだけアメリカ文学の現状が垣間見れた。元気をもらったので
 
、私も小説に戻ります。
 
 
                             (おわり)