「あほリズム」
(563)
動物たちは、自分が死ぬことなど知らないとよく言われるが、
たぶんそれは間違いだと思う。人間のように理性では理解してい
ないかもしれないが、本能的には分かっているに違いない。自分
がいずれ死ぬことを理解しているにもかかわらず人間は所有に執
着するが、彼らは何も残さずに未練なく死ぬ。
「あほリズム」
(563)
動物たちは、自分が死ぬことなど知らないとよく言われるが、
たぶんそれは間違いだと思う。人間のように理性では理解してい
ないかもしれないが、本能的には分かっているに違いない。自分
がいずれ死ぬことを理解しているにもかかわらず人間は所有に執
着するが、彼らは何も残さずに未練なく死ぬ。
「アメリカがすごかった頃」
夕方に車を走らせて、ラジオのスイッチを入れるとFMから渋谷
陽一のDJが聴こえてきて、聴くとはなしに聞いていると、ザ・バ
ンドの「The Weight」が流れてきた。突然の懐かしい曲にボリュ
ームを上げた。
The Weight - The Band (lyrics)
かつて、日本の若者たちがアメリカへの強い憧れを抱いたのはアメ
リカンポップカルチャーであり、分けてもアメリカンポップミュー
ジックの魔法に罹らなかった若者は皆無に等しかった。確かにあの
頃の《自由の国》アメリカはこの国の「腐儒の腐説」(福沢諭吉)に
よるリゴリズムにウンザリしていた若者たちにとって魅力的だった。
私は彼らの解散ライブの映画「ラストワルツ」を観ながら何かが終
わったような気がして涙を流しながら観た。間もなくしてジョン・
レノンが凶弾に倒れて、それは親の死よりも衝撃的で、何か大きな
支柱のようなものを失ったような気がして、その後のミュージック
シーンに集中できなくなった。私が「ああ、終わったな」と思った
時は、ジョン・レノンの死とテレビゲームがブームになった時だ。
あれから40年以上経って、今やアメリカはもちろん未だ大国に
は違いないがかつてのような勢いを失い、その象徴のように彼らは
自分たちが共有できる音楽を生み出すことができなくなった。つま
り、自分たちの音楽を生み出せなかったことがアメリカを没落させ
たのではないか?
「あほリズム」
(562)
「実は、彼は精神を病んでいるんだ」
「へえー、そうは見えないけどね」
「だろ、彼自身も自分が普通だと思っているんだから」
「で、彼はどこがおかしいの?」
「だから、自分が普通だと思っているところさ」