「枝の話」
立憲民主党が定期党大会を開いて、枝野代表は次の衆議院選で政
権交代を目指すと宣言して幾つかの指針を発表したが、敢えて枝葉
末節と言わせてもらうが、横暴な自民党政治への批判は全くその通
りだとしても、それではそれに代わる立憲民主党の根幹をなす具体
的な政策はいったい何であるのかが見えて来ない。自民党政権の躓
きを論(あげつら)うだけの「枝の話」ばかりで、自民党政治との根
幹の対立軸が示せていない。たとえば、先の参議院選で思わぬ躍進
を遂げた「れいわ新選組」の公約は、凡そ実現不可能かもしれない
が、安倍政権との対立軸が見えない立憲民主党の政策よりもはるか
に今の政治にウンザリしている「均しからざるを患(うれ)える」人
たちにとって、一時的にしろ支持された。すでに資本主義体制の総
本山であるアメリカでさえも民主社会主義者を公言するバーニー・
サンダース氏がアメリカンドリームを見れなくなった若者たちの支
持を集めている。さらに、国連がレポートする幸福度報告では常に
上位にランキングされるのは北欧の民主社会主義諸国である。忘れ
てはならないのは、それらの国々はいずれも国王が元首の立憲君主
国家であるということだ。つまり、国王を天皇に置き換えれば、天
皇制は民主社会主義と共存できるということになる。すでに世界は
グローバリゼーションによって人口、領土、自然環境が限界に達し
、エントロピー増大の法則に従えば均一化の方へ向かわざるを得な
い。「寡(すくな)きを患い」ても裕(ゆたか)な暮らしは限られた者
だけしか手にすることができない格差社会の下では、当然人々は「
均しからざるを患える」。ところが、自民党による一党支配の下で
は社会格差は拡がるばかりである、にもかかわらず、なぜ立憲民主
党は民主社会主義政策を掲げようとしないのだろう?
(つづく)