「技術と芸術」(7)

2020-02-27 13:22:21 | 従って、本来の「ブログ」

         「技術と芸術」

 

           (7)

ニーチェによると、世界とは《生成》の世界であり、《生成》の世

界とは変遷流転する世界であり、それは《力への意志》によっても

たらされる。《力への意志》とは、変遷流転する生成の世界をもた

らす根源的な《意志》で、たとえば、春になれば植物の新芽が一斉

に萌え出でてくることや、または、人は思春期を迎えれば異性を意

識するようになるが、それは何も自分の「意志」からというよりは、

物本能に促されての意志でしかなかったり、或は、そもそも我々

は意志して生れてた訳ではないのに、だからといって引き返す意

志も思い通りにならないといったような、それぞれの意志ではどう

することもならない沸々と萌え出でる生成の「意志」であり、この

世界のすべての存在は、もちろん道端に転がっているの石にしても、

《力への意志》に突き動かされて変遷流転を繰り返している。それ

では、人間にとって《力への意志》はどう作用するのかといえば、

それは《情動》であり、《情動》こそが《力への意志》の発達形態

であると言う。

 

                         (つづく)