「真理とは幻想である」
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世界とは不断に変遷する生成であり、永遠不変の固定化した「真
理とは幻想である」とすれば、真理に基づく固定化した科学技術は
生成としての世界にそぐわない。その対立とは「生成 対 非生成」
であり、「非生成」とはもちろん、われわれの科学技術が作り出し
た、自然循環サイクルに還元できない「固定化」した人工の物質の
ことである。いまでは専ら「サスティナブル(sustainable)持続可能
な」という言葉を良く耳にするが、科学技術の拡散が生成としての
世界の持続可能性を狭めている事は言を俟たない。もしも、「真理
とは幻想である」とすれば、われわれは真理に基づく科学技術社会
の下で、「持続『不』可能な(unsustainable)」一時的でしかない幻
想の時代を生きていることになる。
(つづく)