「世界が不安定化している」
世界各国の社会秩序が不安定化している。これは、世界経済が「
成長の限界」に達し、行き詰まった格差社会の下で豊かさを奪い合
っているからだ。ミャンマーでは軍事クーデターが起き、ロシアで
はプーチン政権に反対するアレクセイ・ナバリヌイ氏の解放を求め
る抗議デモに市民が殺到して、政府は5千人を超える参加者を拘束
したと報道は伝える。そして、それら抗議デモの発端をもたらした
のは、香港の民主化運動であり、そして、近代民主主義政治の元祖
アメリカでの暴徒化したトランプ大統領支持者たちによる連邦議会
への侵入だった。アメリカはそれまでにも黒人差別への抗議デモを
繰り返して過激化していたが、しかし、議会議事堂への侵入は民主
主義政治の破壊にほかならなかった。つまり、今、世界の民主主義
が試されている。
ミャンマー クーデター 背景に“スー・チー氏と軍の緊張関係” | NHKニュース
ロシアデモ、拘束5000人超 ナバリヌイ陣営、闘争継続を強調:朝日新聞デジタル
世界のこれらの一連の動きは、つまり、プーチン、習近平、トラ
ンプら、もちろんそこに安倍元総理を入れてもまったく遜色はない
が、所謂保守派と呼ばれる既得権に与る者たちに、すでに彼らは多
くを得ているのだが、それでもなお「寡なきを患える」者たちに支
持されたこれらの政治家たちは、決して「均しからざるを患う」民
主主義者の声に耳を貸そうとはしない。しかし一言で言えば、民主
主義とは「均しからざるを患う」ことにほかならない。豊かさをも
たらす自然環境は破壊され、にもかかわらず人口は極限まで増える
とすれば、豊かさは奪い合うかそれとも分け合うかしかないのであ
れば、どう考えてみても、たとえ「右寄(うよ)」曲折はあったとして
も、たとえばトランプ元大統領のような時代に逆行するような人物が
現れたとしても、いずれ世界は豊かさを均しく分け合う方へ、つまり
エントロピーが増大する方へと向かう以外に考えられない。
そして、何よりも国内政治の不安定化は、かつて第一次世界大戦で
敗戦したドイツが巨額の賠償金を支払わなければならなくなって、経
済的な不満からヒットラー率いるナチスが台頭して近隣諸国へ侵略し
たように、多くの政治家は国内に募る不満を対立国へ向けさせようと
してきたことを忘れてはならない。コロナ禍のあとのコロナ「過」の
世界は破たんした国家財政を立て直そうとしてかつてのナチスドイツ
のように自国第一主義へと向かわせることだろう。それは、すでに天
文学的な債務を抱える我が国にとっても経済破たんの恐慌を予感させ
ずには居れない。すでに金融経済は実体経済とかけ離れてバブル崩壊
前夜の様相を呈している。かつて、スペイン風邪のパンデミックの9
年後に当時の新興国アメリカに端を発した経済恐慌が起こったが、さ
らに情報の進んだ現代では3年も経たずに再現されるだろう。もちろ
んその端を発するのは新興国中国に違いない。