「あほリズム」 (428)

2018-07-22 15:18:13 | アフォリズム(箴言)ではありません

           「あほリズム」 

 

            (428)

 

 通常国会が閉会した。

 今やこの国の政治は、否、この国の有権者は、

 社会正義なんかよりも欲望から生まれる幻想を追い求めている。

 社会正義が見失われてしまえば、

 社会の原点そのものを失ってしまうことを忘れたかのように。

  

            (429)

 

  今の政治家を見ているとニーチェの次の言葉を思い出す。

 「〈されば彼らにむかって、もっとも軽蔑すべき者について語ろう。

  それは『最後の人間』のことだ〉」

  「悲しいかな。もはや自分自身を軽蔑することのできない、

  もっとも軽蔑すべき人間の時が来る」

  ニーチェ「ツァラトゥストラはかく語りき」『最後の人間』より


 

             (430)

 政治不信を記したら、なにも偽装、隠蔽、改ざん、捏造は

 政治家だけの事ではないと気付いた。官僚をはじめ名だた

 る大手企業の経営者たち、更には教育者までもが社会正義

 を見失って惨めな頭頂部をいつまでもテレビ画面に曝して

 いたではないか。社会全体が不正に鈍感になっているとす

 れば、何れふさげた国へ向かうような気がしてならない。

 一言で言えば、何だってこんな杜撰(ずさん)な社会になっ

 てしまったんだろうか。

 

             (431)

 

 われわれは今、間違った道を選択したとしても

 諦めないで居よう。何故なら、間違った道の選択は

 正しい道を選択する確率を高めてくれるのだから。

 但し、間違った道に気付いての話だが。


「同じものの永遠なる回帰の思想」⑥

2018-07-09 03:30:40 | 従って、本来の「ブログ」

-      「同じものの永遠なる回帰の思想」⑥


       ハイデッガー著「ニーチェ」①②を読んで


 上下巻を合わせると優に千ページを越える浩瀚な本で、その要点

だけをかい摘んで記したとしても多分その尻尾の毛を掴むくらいで

、全体を過たずに捉えるとなれば、それもまた浩瀚な文章にならざ

るを得ないし、さらに哲学書独特の難解な言葉に迷わされて、読み

終えたと言っても理解できたかどうかは覚束ないので、ここでは主

に私の感想を記することにします。

 まず、ニーチェは「存在とは何であるか?」と問うことは「思

想の中の思想」または「もっとも重たい思想」だと言います。(ア

リストテレスはそれを「第一哲学」と呼びました。)そして、存在

者(存在するもの)の存在とは「力への意志」であると言います。

 以下は私考ですが、物質を構成する素粒子は、正負どちらかの電

荷があり、異なる電荷同士の間には引力が、そして同じ電荷同士に

は斥力が働きますが、それは驚くべきことで、そのことによって世

界は無への回帰から逃れて存在の多様性が生まれました。それらは

他者との間に結合や反発を繰り返して新しい原子を形成し、さらに

原子は同じようにして分子を形成します。つまり、そもそも存在者

(存在するもの)を構成する最小単位の物質においてすでにある力を

有しているのです。われわれは「力への意志」と聞くとすぐに権力

主義であったり生存競争を思い浮かべますが、ハイデッガーは「意

志」を「命令」と似たニュアンスだと解説してくれてます。たとえ

ば、私が人を好きになったり嫌いになったりするのは私の感情に拠

るのですが、私自身が外の世界に対して抱く様々な感情であったり

認識(理性)は、あるがままで静止している自分を自分自身の中から

動かして変えようとする意志が生まれ、意志はそうするために力に

働きかけます。つまり、今の自分を越えて未知の高みへ自分を投企

すること、それこそが「力への意志」であり、何も厳格な命令だけ

を言うのではありません。つまり人を思い遣ることも「力への意志」

によることに他なりません。素粒子から宇宙の果てまで存在者(存在

するもの)のすべては「力への意志」による、と言うのです。

                         (つづく)


「あほリズム」 (426)

2018-07-07 16:19:55 | アフォリズム(箴言)ではありません

             「あほリズム」

 

              (426)

 

 大勢で陸の様子を見に来た海の水たちは、変わり果てた自然の姿

 に驚いて、行き場を失くして留まることなく急いで奔流となって

 海へ還った。

 (氾濫した川の激流を見詰めながら)

 

 

 


「あほリズム」 (425)

2018-07-07 08:14:56 | アフォリズム(箴言)ではありません


        「あほリズム」


         (425)


 「世界とは何ですか?」

 「世界とは、世界である!」

 「何だっ、そんなの答えになってないじゃないか。1+1は1+

 1だと言ってのと同じじゃないか!」

 「では、1+1は2であると答えれば、じゃあ答えの2とはいっ

 たい何なのか。2とは、簡潔に言えば1+1である。つまり1+

 1は1+1である、よって世界は世界である」「もしも君がそれ

 以外の答えを望むなら、別のところから世界を眺めるしかないが

 、仮に君がそうして世界を知ることができたとても、その時『世

 界とは何であるか?』と問う君自身はこの世界には 存在しない

 し、存在したとしても、世界の中の君にはそれが何のことだか分

 らないに違いない」