【2010年5月3日】 MOVIX京都
映画は、どこかのホールでモーツアルトの「ピアノ協奏曲21番・第2楽章」の甘美なメロディーが流れる場面から始まる。
突然、ホールに携帯電話の音が響き、リハーサルが中断される。支配人がその携帯電話の持ち主である掃除夫に近づき、「リハーサルの見学は禁止したはずだ。」としかりつける。
携帯電話の持ち主は、今でこそ掃除夫をしているが、元はボリショイ交響楽団の天才的指揮者で、30年前の共産党政権下のもとで当時も絶対的権力者、ブレジネフ第一書記によって暴力的に地位を奪われたその人だった。
ユダヤ人の楽団員を追放しようとしたことに異義を唱え、盾をついたことの報復であり、その結果の楽団解散だった。
フィクションということだが、当時のソビエト共産党の支配下では実際ありそうな話だ。
そして、それにまつわる裏話もあるのだが・・・。
初めの方は、緊張した雰囲気の中で、ドラマチックな物語の展開を予想させた。
しかし、その後の映画の展開は荒唐無稽というかあり得ない場面の連続と、登場人物が不必要に入り組んでおり、しかも主役以外の周囲の人が極端に戯画化された描写で、実際あったような本当らしい話も真実味が薄れ、どうでもいい話や非現実的な話とごちゃ混ぜになり、せっかくの名曲も、最後にキラリと光るソリスト、アンヌ・マリー・ジャケの生いたちに関するロマンティックな話も霞んでしまいそうだった。
だいたい、30年以上もブランクのある楽団員が、リハーサルも無しで、しかも初対面のソリストを迎え、「名演奏」ができるわけもない。
パリでの公演を成功させるための個々の楽団員の努力の様子も全く描かれていない。努力の積み重ねが無く奇跡だけに頼る「名演奏」が、映画を見る聴衆に対しても説得力が無く、感動をもたらすはずがない。
娯楽映画と割り切ってしまえばそれまでだが、その点、同じ娯楽映画(?)でも「スウィング・ガール」や「フラガール」の方がずっと感動的に描けていた。
それはともかく、チャイコフスキーの「バイオリン協奏曲」はやっぱりすばらしい。誰にも親しみやすく、あまりにもポピュラーだから、もっと“高尚な”曲があるだろうと、一時は敬遠した時期も自分の中にはあった。
「北京バイオリン」もこの曲が大きなインパクトをもっていた。
「ピアノ協奏曲」もそうであるが、チャイコフスキーの曲は、協奏曲の極意を知り尽くしているようなオーケストラとの駆け引きやスケールの大きさは、完璧なまでにすばらしい。
最後の演奏シーンは、それまでの映画の流れとは無関係に、素晴らしく感動的で、思わず感極まってしまった。
最後の12分を観る(聴く)だけでも価値ある映画だと思った。
「オーケストラ」-公式サイト
映画は、どこかのホールでモーツアルトの「ピアノ協奏曲21番・第2楽章」の甘美なメロディーが流れる場面から始まる。
突然、ホールに携帯電話の音が響き、リハーサルが中断される。支配人がその携帯電話の持ち主である掃除夫に近づき、「リハーサルの見学は禁止したはずだ。」としかりつける。
携帯電話の持ち主は、今でこそ掃除夫をしているが、元はボリショイ交響楽団の天才的指揮者で、30年前の共産党政権下のもとで当時も絶対的権力者、ブレジネフ第一書記によって暴力的に地位を奪われたその人だった。
ユダヤ人の楽団員を追放しようとしたことに異義を唱え、盾をついたことの報復であり、その結果の楽団解散だった。
フィクションということだが、当時のソビエト共産党の支配下では実際ありそうな話だ。
そして、それにまつわる裏話もあるのだが・・・。
初めの方は、緊張した雰囲気の中で、ドラマチックな物語の展開を予想させた。
しかし、その後の映画の展開は荒唐無稽というかあり得ない場面の連続と、登場人物が不必要に入り組んでおり、しかも主役以外の周囲の人が極端に戯画化された描写で、実際あったような本当らしい話も真実味が薄れ、どうでもいい話や非現実的な話とごちゃ混ぜになり、せっかくの名曲も、最後にキラリと光るソリスト、アンヌ・マリー・ジャケの生いたちに関するロマンティックな話も霞んでしまいそうだった。
だいたい、30年以上もブランクのある楽団員が、リハーサルも無しで、しかも初対面のソリストを迎え、「名演奏」ができるわけもない。
パリでの公演を成功させるための個々の楽団員の努力の様子も全く描かれていない。努力の積み重ねが無く奇跡だけに頼る「名演奏」が、映画を見る聴衆に対しても説得力が無く、感動をもたらすはずがない。
娯楽映画と割り切ってしまえばそれまでだが、その点、同じ娯楽映画(?)でも「スウィング・ガール」や「フラガール」の方がずっと感動的に描けていた。
それはともかく、チャイコフスキーの「バイオリン協奏曲」はやっぱりすばらしい。誰にも親しみやすく、あまりにもポピュラーだから、もっと“高尚な”曲があるだろうと、一時は敬遠した時期も自分の中にはあった。
「北京バイオリン」もこの曲が大きなインパクトをもっていた。
「ピアノ協奏曲」もそうであるが、チャイコフスキーの曲は、協奏曲の極意を知り尽くしているようなオーケストラとの駆け引きやスケールの大きさは、完璧なまでにすばらしい。
最後の演奏シーンは、それまでの映画の流れとは無関係に、素晴らしく感動的で、思わず感極まってしまった。
最後の12分を観る(聴く)だけでも価値ある映画だと思った。
「オーケストラ」-公式サイト
私も観ました!
素敵な映画〓でした!
あり得ない話ばかりですが、
感動します!
ちなみに原題って、
コンチェルトでは?
チャイコフスキーの、
ヴァイオリン協奏曲ですので…
(o^-^o)
原題ですが、『Le Concert』とあるので、てっきり「コンサート」と思っていましたが、ご指摘の通り「協奏曲」なので日本語表記するなら「コンチェルト」の方がふさわしいかもしれませんね。『Le ~』だと英語ではなく、仏語かイタリア語(?)になるのではと思いますが、語学に疎い自分には限界です。
『Concerto』ならわかりやすいのですが。
紛らわしいので、タイトル、変えておきます。適切なアドバイスありがとうございます。また、コメントよろしくお願いします。