この映画・本、よかったす-旅行記も!

最近上映されて良かった映画、以前見て心に残った映画、感銘をうけた本の自分流感想を。たまには旅行・山行記や愚痴も。

「プレシャス」-貧困大国アメリカのかすかな望みを繋ぐ一場面を見る

2010-04-25 22:41:28 | 最近見た映画
           【2010年4月25日】 TOHOシネマズ二条

 アメリカという国は本当に不思議な国である。マイケル・ムーア監督が映画で訴える様な『全くひどくデタラメな政治』や、堤未果さんが詳細にレポートするような『出口の見つかりそうもない貧困、厳しすぎる現実』があると同時に、一方でこうした映画が作られる。
 「白いカラス」も「チョコレート」も「スタンド・アップ」もよかった。
 ハリウッドで、地に足の着いていない「娯楽映画」が莫大な費用をかけて大量に生産される一方で、こういう映画が作れるということは、本当にすごいと思う。今のロシアでは決してできないことだと思う。

   ○    ○    ○

 さて、本作であるが、たまらない境遇に育った16歳の黒人少女の希望を見いだす物語である。
 父親に犯され、母親からは虐待を受ける。

 二人目の子どもを身ごもったために今通っている学校も退学処分になる。

 紹介された《代替学校》で自分のことを親身に考えてくれる教師にはじめて出会う。


    
     【レイン先生役のポーラ・パットン:
   「チョコレート」のハル・ベリーかと思ったら別人】



 しかし、家に帰ると悪魔のような母親が待っている。なかなか出口が見つかりそうもない。
 ケースワーカーや福祉事務所の人の前では『良いおばあちゃん』を演じ、帰ったとたん元の鬼婆に変身する母親。

                                
                                   【母親メラニー役のモニーク:
                                    憎たらしいほどうまい演技】




 でも、《代替学校》(日本の夜間中学に似た雰囲気!)に行けば個性豊かで人間味のある友だちがいる。
 ある日、急に産気づいて運ばれた病院でも自分をひとりの人間として扱ってくれる医師やスタッフ、そして看護師もいる。



               
               【看護師役のレニー・クラヴィッツ:
               歌の方の活躍は知らないがいい感じの看護師を演じていた】


 
教師やケースワーカーの努力で、プレシャスの心の殻が徐々に説きほぐれ、家庭事情も明らかになっていく。




 
【ケースワーカー役の歌姫マライア・キャリー】

 

 母には、いじめや子ども虐待に至るそれなりの事情があったが、毅然と自分の道を進んでいく決意を固めるプレシャス。
  

                           


 
     ○    ○    ○

 ずっと以前、日本映画で「愛を乞う人」(原田美枝子が母親役)というのがあって、それを思い出した。あの映画は、今回の映画の様な光や希望は見えてこなかった。悲惨さだけが印象に残っている。

 「誰も知らない」(是枝裕和監督、柳楽優弥主演。母役はYOU。)も同様の映画だった。

 しかし、「プレシャス」は、どんな悲惨な状況でも夢を抱き続けることを描いたことが、前2作とは全然違う。


 いい映画だった。


   
     「プレシャス」-公式サイト


  

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