【2012年7月7日】 京都シネマ
過去に見た『モレク神』(ヒトラーを描いたもの)、『牡牛座のレーニン』、『太陽』(敗戦直後の昭和天皇を描いたもの)、いずれもちょっと視点が変わっていてどれも歴史上の有名人物を描いているのだが、自分のイメージとはずれていて、なじめなかった。
新しい見方、その人物の新しい発見があるならともかく、視点が違うというか、とらえ方が違うというか、相容れない部分があるのだ。(『アマデウス』で得られた、モーツァルトに対するそれまでの認識を超えた新しい発見とその感動というものとは縁遠い。)
だからだいぶ癖のある監督だなという印象は持っていた。
で、『ファウスト』はやはりひねくれすぎだ。もっと単刀直入に表現すればいいのに、何か分かりにくくなっている。衣装や映像はそれなりにいい感じが出ていたのに(しかし斜めに歪んだ-わざとそうして効果をねらっているのかしれないが-映像はいただけない)、肝心のファウスト博士の苦悩が伝わってこないし、だいたい感動というものが感じられない。
わかりにくさに《いらいら》がこうじて、早く映画が終わらないかと思っていた。
これで、『ヴェネツィア国際映画祭グランプリ(金獅子賞)』獲得だから、最近の映画際の審査基準もよくわからない。
『ファウスト』-公式サイト