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『世界が食べられなくなる日』-「遺伝子組み換え食品」と「原発」と「TPP」と「食の安全」の将来の関係

2013-09-20 22:16:50 | 最近見た映画


    【2013年9月16日】    京都みなみ会館


 最近、《食の安全》に関する映画が多くみられるが、この映画はアメリカの『モンサント社』が作る《GM作物》(遺伝子組み換え技術を使った作物)のトウモロコシの安全性と原発の安全神話を厳しく批判的に告発するフランスの映画である。

 まず、『GM』(遺伝子組み換え技術)と原発に代表される『原子力』の2つの《最新テクノロジー》とがどういう係わりがあるかといことである。


 最初に、この映画のメッセージ、

  遺伝子組み換え”と“原子力”、いのちの根幹を脅かす二つのテクノロジーの
  三つの共通点、それは【後戻りができないこと】【すでに世界中に拡散していること】
  そして【体内に蓄積されやすいこと。】
 が表示される。

 セラリーニ教授は映画の冒頭で以下のように警告する。

   「20世紀に世界を激変させたテクノロジーが二つあります。
    核エネルギーと遺伝子組み換え技術です。これらは密接に関係しています。
    米国エネルギー省は原爆につぎ込んだ金と技術者を使って、ヒトゲノムの解析を
    始めました。そこから遺伝子組み換え技術が誕生しました」。



 それで、現在どれくらいの《GM作物》が栽培されているかというと、

 『2007年の全世界で遺伝子組換え作物の栽培面積は1億1430万haであり、その約8割は除草剤耐性作物である。
          (ウッキペディア【ラウンドアップ】の項より引用)

                           
    
       【同映画ホームページより】




 話がややこしいので、『原子力』のことは後にして『GM』の方から整理しよう。この映画ではトウモロコシを主に扱っているからそれを例に話を進める。

 《遺伝子組み換え技術》を使って何をしようとするかであるが、大きく分けて2つある。

 1つは収穫を増やすために、より大きく多くの実を、より早く収穫するために遺伝子情報を書き換えるのである。
 もう一つは、病気への耐性を作ること、あるいは除草剤に対する耐性を獲得することである。

 これによって農家は除草の手間が大幅に省け、しかも短期に多くの収穫を得ることができるというものである。


                       
                           【同映画ホームページより】


 これだけをみると、良いことだらけのように思える。しかし、少し考えてみればそんな甘いものではないことが分かる。

 『モンサント社』の除草剤『ラウンドアップ』に耐性を持った雑草がすでに出現しているという。ほかにも耐性を持ったさまざまな植物が出現して自然界の収集がつかなくなる可能性があるという。
 『モンサント社』はラウンドアップに耐性を持ったトウモロコシの種を独占的に販売しているのであるが、「安全性を確認するための実験」に種子を研究者に提供しないばかりか、企業秘密として自社の実験の結果も公表していないという。

 自然環境を破壊するばかりか、農薬に汚染されたトウモロコシを食べることによってどんな影響が出るか、我々は知る権利を持てないということだ。

 《アメリカ産のトウモロコシを食べなければいい》と思われる人がいるかもしれないが、話はそんな単純ではない。トウモロコシは豚などの飼料として消費されているからだ。
 それだけではない、さまざまな食品の原材料としても使われているのだ。

 




 で、この映画のメインである、実験の結果はどうだったか。

 『モンサント社』に実験はたった3カ月の期間だけで、《シロ》と結論ずけ、多くの政府はそれをうけいれて輸入を許したが、『カーン大学』のセラニーニ教授の行った実験は、極秘のうちに2年間の長期間要したうえで、

 『モンサント社が商業化している遺伝子組み換えトウモロコシ(品種名NK603)の摂取が、耐性を持つ除草剤ラウンドアップとの組み合わせのあるなしに関わらず、有毒な効果を持つ』

 と、初めて公表する研究結果を発表した。



 最近、アレルギーを引き起す原材料に関しては、割と細かく表示するようになっているようであるが、『GM作物』に関しては使われていること自体一般には知られていないし、消費者の関心も薄いようである。日本では、一応ある程度の『GM原材料使用』の表示義務は定められているが、アメリカではその義務がない。

 『TPP』が締結されれば、以前騒がれた《狂牛病》の原因である《プリオン》を含んだ牛肉が輸入緩和されるのと同じように、《汚染された》食品が日本に一気に押し寄せることになるかもしれない。



 この映画のもう一つのテーマ『原子力』についても、スクリーンに原発の映像が流れる。

 こちらの方は、地元の真新しい『フクシマ』での出来事を体験していることで、日本人にはなじみ深い。

 ただ、この2つの問題に冒頭で掲げた3つの共通点があることを、この映画は教えてくれた。



                                      


 日本では各地で、原発再稼働を許さないための行動が、初めてこのような運動にはじめて参加する人々も加わって、起こされたが、フランスでは『GM刈り取り隊』という行動隊の活動があることが紹介されていた。


              
                  【同映画ホームページ『キーワード』の項より】


 この映画は、ほかにもセネガルのパーカッション奏者と日本の和太鼓のコラボの映像と太鼓の心地よい響きが流れたり、といろいろ楽しませてくれる。

 公式サイトの記事も、いろいろな情報が掲載されていて参考になる。ぜひ覗いてみてください。





        




   『世界が食べられなくなる日』-公式サイト

   『遺伝子組み換え作物』-に関するサイト(ウッキペディア)










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