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【 2018年2月9日 】 京都シネマ
今の歳になって「少女アニメでもなかろう!」とは思ったが、アニメならやめておくところ、実写のアルプスの雄大な山岳風景に惹かれて、つい観てしまった。
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まっ、少女ハイジ役の子が実にかわいらしいのである。アニメだとその辺の実感が伝わってこないが、生身の人間だと温かみを感じる。おじいも、どのような前歴で、どうして町の人に誤解され、嫌われているのか描写がなかったので伝わってこないが、適役だ。ペーターも性格がよく出ていてよかった。
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ヨーロッパには、やはり日本以上の階級社会があり、人々はそれを当然のように思っている時代があったのだ。(今も根強くあるだろうが)山から下りてきたハイジが資産家の家に入れば、そこの従者は、ハイジが粗野で無教養でも一歩引かねばならない。同じ人間でありながら、この違いはどこから来るのだろうか、と。
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生活様式もしきたりも《山の生活》とはまるで違う。ハイジにはそれが不自然に思えた。山には自然との触れ合いがあるし、おじいも友達も待っている。
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モノが豊かで、贅沢品に取り巻かれて、生活に困ることは無いが、しきたりに縛られた窮屈な生活はハイジには耐えられない。
それでも、理解ある人が居るものだ。大叔母も、医者もハイジのことを分かってくれた。本当に『豊かな人』というのは物質的な富を享受するだけでなく、自分の立場をわきまえその能力を充分発揮できる心に余裕のある人だ。現代の富裕層にはそういう人が限りなく少ない。
さて、自分の場合はどうなんだろうか。山や大自然は、景色を見て歩き回る分にはいいが、そこでずーっと生活するなんて到底できない。都会の便利な生活は捨てがたい。映画も見たいし本も読みたいし、最新の情報にも接したいし、街の喧騒もたまには刺激になっていい。
《幸せとはいったい何だろう》と思わず考えてしまった。
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『ハイジ-アルプスの物語』-公式サイト