【 2011年10月16日(日)】 京都シネマ
『アイガー北壁』に続く本格的な山岳映画である。
最近は、一般公募の『ガイドツアー』なんかがあって、800万円とか900万円の金を積めば、素人でもエベレストの頂上に連れて行ってくれるそうであるが、やはりそれなりの資質-高山病にかかりにくいとか、心肺能力が高いとか-がないと無理かと思う。それに、何といっても年齢である。基礎体力は年々落ちるし、今からどんな訓練をつんでみても、自分にはもう、8000m級の山に登るのは不可能と思う。
そう悟ると、おとなしく映画の世界で我慢しなければならない。
最近の山岳映画は撮影技術が進んで、あたかも自分がその山に登ったような気分にしてくれる。撮影技術ばかりか、撮影クルーが実際に山深く入り氷雪を登り、吹雪に会いながらカメラを回したり、一流登山家が実際に登っている状況を撮ったりで、迫力満点である。
今回の舞台になる《山》は、パキスタンの『ナンガ・パルバット』である。『運命を分けたザイル』も『アイガー北壁』も歴史上に残る、かつての山岳事故を描いたもので、今度の映画の登場人物は、8000m超の世界の山を全て『無酸素』(酸素ボンベを使用しない)で登頂した、ラインホルト・メスナーである。
1970年の『ナンガ・パルバット』の新ルートでの初登頂の裏話を扱っているのであるが、メスナー兄弟のうち、兄のラインホルトは生還したが、弟のギュンターは遭難死してしまう。当初、兄に避難が集中したようであるが、この映画にあるように、装備の無い状況で兄が押し止めるにもかかわらず、弟が無理について行き、雪崩にあったと思われている。
映画を観ると、信じられないような事が描かれているが、実際に、1982年の中国ミニヤコンカでの遭難事故で、19日後に奇跡的に生還した松田隊員のことや、『運命を分けたザイル』で描かれた、ペルーの「シウラ・グランデ」からのジョー・シンプソンの生還など、ほとんど信じられないことが、現実に起きている。
『山岳映画』では、人間の、極限における『生への執念』というもののすごさを感じる。
【ペルー『シウラ・グランデ峰』】
映画タイトルは『ヒマラヤ』では範囲が広すぎて、焦点がぼんやりして、何の映画だかはっきりしない。
やはり『ナンガ・パルバット』でしょう。
『ヒマラヤ-運命の山』-公式サイト