予告編で山岳風景を見せられると、どうしても見たくなってしまう。ましてや、穂高や涸沢など行き慣れた場所の景色が出たら、もうたまらない。
話の内容やキャラクターは、予告編を見た限り極端に戯画化されており、あまりにも「ミーハー」的だったのを、「それでも観にいくの。」と言われるのを振り切って観にいった。
原作の漫画のほうは見たこともなく知らないが、予告編で見た以上に、やはり漫画チックで、見ていてハラハラさせられるというか鳥肌が立つくらいだった。
雪山の急な斜面を運動場を走るように駆け上がったり、雪崩に襲われても不死身だったり、クレバスに落ちた人を(落ちた人も途中でうまくひっかかっているのが不思議?)一人で難なく救出したりとかは。、映画の世界だから多少許されるにしても、人物の性格描写は極端に誇張され、画一的で、いかにも戯画的だ。三歩が出来すぎていて現実味がない。
近年、山に行っても年配の人(そういう自分もその部類に入るが)ばかりで、若い人に会う機会が少なくなったが、ごく最近は若者の間でもリバイバルの兆しがあるという。この原作の漫画や映画がその後押しをしているとしたら、それをよしとしよう。
館内を見渡すと、かつて山に足しげく通ったと思われる元山男らしき人たちに混じって、若い人の姿も多数いる-それも女性が多い-のには、意外という思いと同時に嬉しい気持ちがした。
しかし大スクリーンで見る山の迫力はたいしたものだ。ジャンダルムや自分らでは決していけることのない冬山の涸沢の景色など感激だ。欲をいえば、見慣れた山々をもう少し多く長映ししてほしかった。
『岳』-公式サイト