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【 2017年9月9日 】 京都シネマ
日本公開が2016年というから、これも昨年見逃してしまっていたのだろいうか、それとも京都ではしていなかったのだろうか。(今となってはどうでもいいか)
以前、『ボーダータウン』という映画を見て、その強烈な印象が残っており、似かよったタイトルの「ボーダーライン」の上映案内をどこかで見ても《リバイバル上映》くらいに思ってあまり気にとめなかったのかもしれない。京都シネマの予告編をみて、同じ【フアレス】を舞台にした映画だが、これは以前のと違うと確信し、《これは何としても見なければならない映画》とおもい、上映開始を待って急いで見に行く。
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前のその映画、『ボーダータウン』の方は、アメリカに国境を接するメキシコの街を指していて、舞台が同じ街「フアレス」だが、こちらは貧困を背景としてその《無法地帯》で起こる若い婦女の殺人事件がテーマだった。
1992年に調印・成立した【北米自由貿易協定】(NAFTA-アメリカとカナダとメキシコが参加)によって、特にメキシコの農業が、《「モンサント」などによる遺伝子組み換え種子の持ち込み》等で、トウモロコシ農家が壊滅的な被害を受け、農場を奪われた多くの農家が職を求めてアメリカに越境する事態を引き起こした。映画では、そうした農家の話ではなく、同じNAFTAによって「資本の自由」を得た大企業が暴利をむさぼるため、規制のない法の下で安い労働力が好きなだけ得られる使い捨てにできる「フアレス」に工場を建て、好き勝手なことをしたのだ。労働者の権利どころか、身の安全の保障されない24間稼働体制の工場周辺で、婦女の殺人事件が頻発したのだった。それを告発しようと闘う地元の新聞社とたまたま《地獄》から生還した被害者の少女と、アメリカから派遣された女性記者(ジェニファー・ロペス)の必死の行動を描いていた。
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『ボーダーライン』は、《麻薬組織》との戦いである。コロンビアなどの南米地域にはびこる《麻薬帝国》が有名だが、メキシコにもそれがあって、その最前線がアメリカとの国境の街「フアレス」だ。その麻薬組織を壊滅させるために《CIA》が乗り込んでくる。
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しかし、そのやり方がむちゃくちゃこの上なく《脱法》的なのだ。法律も国境も何もあったものではない。《無法》には《合法》的には対応できないという事か。捜査に同行したFBIの女性捜査官ケイト・メイサー(エミリー・ブラント)は異議を唱えメンバーから外すよう訴えるが、聞き入れられない。
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『EYE IN TH SKY』でも爆撃にあたり、一応合法的な装いをした。『ある戦争』では、手順を踏まない指揮命令で「民間人を殺した罪」で告発された場面を描いていたが、こちらはそんなことお構いなしの《別世界》である。
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【 ベニチオ・デル・トロ 】
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【 エミリー・ブラント 】
この映画の【ボーダーライン】という言葉は意味深長だ。「正義」と不正義」、「合法」と「不合法」、「暴力」と「非暴力」、「国家」と「犯罪組織」等々を分ける境目は何なのか。そしてアメリカとメキシコを隔てる国境線。
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トランプが、メキシコとの国境線に壁を作ると吠えているが、そんなことは何の意味もないばかりか、「問題をこじらせるだけだ」ということがこの2つの映画や『オマールの壁』から見えてくる。
『ボーダーライン』-公式サイト
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【 ボーダータウン 】