母と子の物語です。
他の家庭とちょっとだけ違うのは、子がコーダであること。
コーダというのは、耳が聞こえない両親から生まれた耳が聞こえる子のことです。
子の名前は五十嵐大。実在の人物で、その方が書いたエッセーが原作です。
幼い頃は大好きな母の通訳をするのが当たり前、母と道を歩いている時に、車から母を守ったりするのも当たり前でした。
しかし、大きくなるにしたがって、だんだん母が疎ましくなっていきます。
高校受験に失敗した時には、「俺、こんな家、生まれてきたくなかったよ!」、「全部お母さんのせいだよ!」なんてひどい言葉を投げてしまいます。
父の勧めで東京で働くことになりますが、うまくいかないこともたくさんあります。
そんな中でも母は、食べ物やお金を送り、ひたすら愛情を注ぎ続けます。
本当は大もお母さんが大好きなのに、なかなかそれを表現できません。
終盤、母と仙台で買い物をしたり食事をしたりするシーンから涙が止まりません。
私の周りに観客がいなかったのが幸いでした。
今こうしてブログを書いていても危ないです。
呉美保監督は「ずっと家族を描いていきたい。観終わった時に「そして人生は続く」と受け取ってもらえる映画を作っていきたい」と話しています。いいこと言うなぁ、他の作品も見てみようと思います。
主演の吉沢亮さん、忍足亜希子さん(この方はろうの女優です)がとても自然で、実の母子のようでした。
大がろうの方を助けようと思ってしたことに対して、ろうの方が「私たちのできることを奪わないで」って諭されるシーン、考えさせられました。最近の日本映画は印象に残る作品が多いです。