高校生、町田一(はじめ)くんは困っている人がいたら全力で駆け付け、手を差し伸べる。
同級生の猪原奈々は、母親がマスコミに叩かれたせいで保健室に引きこりがち。
この二人の交流が瑞々しくて、じれったくて、おかしくて、笑って泣ける映画だった。
映画は「(現代社会は)悪意に満ちている。弱いものをいじめ、自分のことしか考えない」で始まる。
確かにマスコミは誹謗中傷の記事を流すことが多いし、ネットでは多くの人が「バカ」「ボケ」「カス」など、面と向かっては言えないような言葉を平気で書く。
このような悪意を打ち破るのは善意のみ、町田くんのような善意の塊は悪意を駆逐する、というおとぎ話のような物語だけど、観た後は人に優しくなれる。
主役の二人が若さに溢れていて良かったが、脇を固めたのが岩田剛典、高畑充希(この二人、「植物図鑑」でも一緒だった)、前田敦子、池松壮亮、戸田恵梨香、佐藤浩市、北村有起哉、松嶋菜々子というそうそうたる面子。前田敦子のヤンキー風演技はなかなかのものだった。
風船のシーンは石井監督だから許そう。
初日の初演で観客は10人ぐらい。
多くの人に観てほしい。
多くの人に観てほしい。