長崎県石木ダム事務所から、
石木ダム建設予定地の共同地権者の一人である私のところに、
「土地を譲渡してくれ」とのお願い文書がきましたので、質問状を
送りました。
<ダム事務所からの依頼文書>
<これに対する私の質問状>
長崎県石木ダム建設事務所
所長 古川 章 様
先日、「石木ダム事業に必要な土地の譲渡について」という文書が送付されてきましたが、
石木ダム建設にはその必要性について大きな疑問があり、それが解消されるまでは土地の
譲渡に協力することはできません。相手に事業への協力を得るためには、疑問に答え、その
必要性について納得のいく説明をするのが常識です。石木ダム事業が「必要不可欠」な事業
であるとするならばなおさらです。九州地方整備局の事業認定の文書も読みましたが、佐世
保市や長崎県の言い分をそのまま受け入れただけのもので参考になりませんでした。事業
認定されたから説明しなくてよいというのは理由になりません。また、送付されてきたパンフレ
ットは6年前の平成21年3月のもので古すぎます。
必要性について理解ができれば協力することにやぶさかではありません。
とりあえず、石木ダム建設事業の疑問点について以下の質問をしますので具体的にお答え
下さい。
<佐世保市の水需要予測について>
2012年度の石木ダム事業再評価の際の佐世保市の水需要予測では2014年度の一日
最大配水量の予測値は91,717㎥でしたが実績値は77,210㎥、その差なんと14,50
0㎥にもなりました。一日平均配水量も73,649㎥の予測に対して実績値は69,233㎥で
その差は4、416㎥と大きなものになりました。右肩上がりに増加するという水需要予測は事
実によって完全に破綻しました。そして佐世保市水道局は平成27年度(2015年度)予算の
策定にあたって一日平均配水量の見込みを、79、210㎥の予測だったものを70,231㎥
に、約9,000㎥も引き下げています。このことは佐世保市自身が水需要予測の破綻を事実
上認めたことになります。長崎県と佐世保市は、「佐世保市の水需要は今後右肩上がりに増
大する」と予測し、だから「石木ダムが必要」と言っていましたが、実際の数値は確実な右肩下
がりです。今年度になってからも、その傾向は続いています。平成19年度に行った予測でも
予測値と実績値の間にとても大きな乖離がありました。なぜこのような実績値と著しく乖離した
意味のない予測を繰り返すのか理解できません。
地権者が不信感を抱くのも当然です。以上を踏まえ下記の質問をします。
1,
2012年度の石木ダム事業再評価の際の前提が同じならば平成27年度(2015年度)予算
の策定にあたって佐世保市の水需要の見込みも、予測値と同じ数字になるはずですが、大き
く下方修正しているのは前提に何らかの変化、変更、訂正などがあったものと考えられます。
特に工場用水については6,605㎥/日の予測だったものが1,848㎥/日に大幅に下方修正
されています。なぜこのようなことになったのか、具体的にデータを示してご説明下さい。また
予測値と実績値の間に極端な差があったことについて今回はその原因をどのように分析して
いますか。(前回、平成19年度予測の破綻の際は①リーマンショック以来の全国的な経済不況
の影響②渇水の影響などの理由を挙げていました。)
2,
事業認定時の佐世保市の水需要予測はすでに破綻しており、無効だと考えます。つまり実積
値でその誤りが明らかになった予測を示してダムが必要、とは言えなくなりました。もしまだ
「有効」とするならばその理由をご説明下さい。
3,
「石木ダム建設事業は佐世保市の慢性的な水不足を解消するため」としていますが、①平成
6~7年の渇水時と比較すると現在は年間で約2ヶ月分の水が使われなくなってきている。
②佐世保市の水需要は年々減少し、平成26年度は1日安定配水量77、000㎥/日をわず
かに越えた日がたった一日、平均配水量は70、000㎥/日を割っている。今年度も3ヶ月以
上が過ぎて安定配水量を越えた日は一日もなく、3ヶ月間の平均配水量も70、000㎥/日を
下回っている。さらに「不安定水源」としている水源からも20、000㎥/日以上をまかなえる
こと、などの数値からすると現在の水源で十分足りている。③年間貯水率はこの7年間毎年
90%以上で推移しており、平成19年以来、市民への「節水のお願い」もなされていない。
佐世保市民は水道料金さえ払えばふんだんに水道水を使用できる状態にある。
以上の客観的事実から見て「慢性的な水不足」「佐世保市民は一般的な受忍の限度を超
えている」と言えると状況はどこにもないと思いますがそれでも「慢性的」「受忍の限度を超え
ている」というのであればその理由を具体的なデータに基づいて証明して下さい。
まだたくさん疑問点はありますがとりあえずこの3点について文書でご回答をお願いします。
収用裁決まで行って進めようとしている事業なので上記の質問には即答できるものとは思い
ますが、余裕を見て回答期限を2015年7月31日とします。
以上