12月5日、注目の証人尋問の傍聴に行ってきました。
関心の高さを反映してたくさんの傍聴希望者がありましたが、約3倍の難関を突破して傍聴券を手に入れる
ことができました。
原告側とと被告側の法廷での直接対決はなかな面白かったです。
その様子が、石木川まもり隊 のブログにレポートされています。
証人の浦瀬氏も原告代理人の質問に必死になって答えていましたが、あの答弁で、「なるほど県の言う通り、
石木ダムは必要ですね」と納得するには程遠い内容だったと思います。
そもそも、「100年に1度の水害に備えるため」という設定で石木ダムの必要性を主張すること自体が無理
なように思います。しかも、100年に一度の雨が降るパターンが9パターンあり、その1つが石木ダムで
防災効果が考えられるというのですから、100分の1×9分の1で900分の1、つまり確率的には100年
に1度などではなく900年に1度という気の遠くなるような確率の大雨に備えるということになるのでは?
そんな人知を超えた大雨にはもう避難した方がましでしょう。ダムで川棚川の氾濫を防げる保証はなにもないし、
逆に「ダムがあるから大丈夫など」という誤ったメッセージを受け取ってしまい、逃げ遅れる可能性だってある。
真剣に防災を考えるなら、県内に無数にある今すぐ対処が必要な災害危険個所を何とかするのが先でしょうが、
と言いたくもなります。
シュミレーションなどの必要性を指摘されたのに対しても、「長崎県はそういう手法は取らない」「やる意味がない」
「必要ない」という否定的な答弁でした。尋問を通じて石木ダムの必要性をわかってもらう、というよりは、言い訳
と居直りに終始し、「県のやることは正しいのだ」ということを強調しているように感じました。
要するに、なにがなんでも石木ダムを造りたい、だけじゃないかと。
以上は傍聴した私の主観的な感想です。裁判官がどう受け取ったかはわかりません。
治水は、専門用語も飛び交い理解するのに難しい部分もありましたが、次回(12月25日)の利水の証人尋問が楽し
みです。佐世保市水道局は私が10月に行った簡単な質問にも答えられずにいます。最強弁護団の、追及に果たして耐え
られるでしょうか。
*下記のような感想もFBにありました。参考までに。
【石木ダム事業認定取消訴訟証人尋問に関するメモランダム】
というわけで、今日は石木ダム事業認定取消訴訟の公判、山場の証人尋問でした。
呼ばれたのは、長崎県土木部河川課企画官の浦瀬俊郎氏。
現在のダム事業行政の事実上上層部に当たる人物だ。
詳しくは別途きちんと報告したいと思いますが、証人の証言もさることながら、被告(事業者=長崎県、佐世保市)側の「やる気のなさ」もしくは「主張の根拠の弱さ」が目につきました。
被告代理人は尋問時間として80分を要求していて、裁判所もできるだけそれに沿う努力はするという前提で臨んだ今日の公判。
被告側の主尋問の後、原告側の2時間に渡る尋問。
質問には正面から答えず、自分の主張を繰り返す証人に対し、裁判長からも「質問に対して答えてください」との注意が入る。
それ以降も、たとえば「はいかいいえで答えてください」という質問にも「それはですね…」と説明をしようとし続ける証人に対し、繰り返し繰り返し「質問に答えてください」と原告代理人に言われ、言いたいことが言えずフラストレーションを溜めた様子の証人。
それを受けた被告代理人は、証人のフラストレーションを解消すべく尋問を続けようとしたが……反対尋問する項目がない!(驚)
すでに原告代理人側から事実関係の認定に関して相当詰め寄られ、応えるすべを失ってしまったかのようになってしまった哀れな証人を救うべく、被告代理人の弁護士にバトンは渡され、反対尋問が始まることになった。
……はずだった。
この時点で被告代理人は、「80分の質問時間を要請していて、主尋問で55分使ったので、35分使わせてください」とあらためて裁判長に要求。
どんなどんでん返しの論法をてんこ盛り用意しているのかと思いきや!
先ほどの原告代理人からの尋問に関して証人が答えきれなかった(言葉を継ぎ足して説明したかったがそれは原告代理人が質問した内容ではなかったので追加説明は却下されるというのが質問1つごとに繰り返された)ため、「あなたが先ほど言おうとしたことはなんだったんですか?」という質問を、原告代理人から質問があった項目の順に質問する始末。
しかも、「あなたは先の原告代理人の質問で「はいかいいえかでは答えられない」という答えになっていない答えを繰り返しましたが、それに関して説明はありますか?」
被告側の主張を立証したり確信を深めさせたり、ましてや原告側尋問に対する反論と言ったものは一切なく、それ以外の新しい内容の質問も、事実関係や疑問点などの個別具体的な質問もなく、何を聞こうか悩みながら結局上記のような質問を続け、しかしそれもついにネタ切れし、挙げ句の果てに「何か言いたいことはありますか?」
ってそれ、証人に尋問する質問としてどうなの?
漫才じゃないんだから。
というツッコミを待たず、原告代理人が質問の不適切さを指摘し、裁判長はそれを受け入れ、「具体的質問がないならこれで尋問を打ち切ります」と、被告側が要求していた時間前にタイムアップ、TKOでゴングを鳴らされ強制終了。
カーン。
あっけない幕切れと相成りました。
見えてきたのは、原告と証人(県)が、事前に渡していた資料(証拠)から想定される質問に対する回答が準備できていなかったこと、被告代理人から想定済みの質問が来た場合にどう返すかというシミュレーションが誤っていたもしくは読みが足りなかった、もしくはその場で切り返そうと思っていたら切り替えす材料がなく聞くことがなくなってしまった、という、被告代理人側として持っておくべき「証人が突っ込まれた場合、それを回復させる論理構成ができていなかったため、ロクな反対尋問ができず、挙句に裁判長から時間前に被告側の時間前TKO宣言に至るという、被告側の準備不足かもしくは本当に石木ダムの治水効果を立証する根拠が本当にどこにも存在しなかったのかと思わず疑ってしまうほどのずさんな訴訟組み立てだったということ。
ディベートでいうと、原告代理人に対して被告代理人は何ら有効な反論をすることができず、しまいにはいう言葉まで失ってしまったという、目を覆わんばかりの公判になってしまったということです。
もちろん証人も証人です。
あとで詳しく検証しますが、「あら?それさっき言ってたことと違うやん」という発言がちらほら。
被告代理人の尋問に対しては、聞かれたらすぐ「はい」もしくは「いいえ」できっぱり回答していたのに、原告代理人側からの尋問が始まると、Yes/No形式の質問にも、「いやそれはですね、…」と見苦しい言い訳に終始して結局質問には答えず、挙句には被告代理人からも「だから証人は質問されたことに対してその質問に合致する回答を発言するためにいるのであって、自分の主張を自由に発言するものではないんですよ」と窘められる始末。
そりゃそうだ。認めたくないことを認めていないと強弁しなきゃならない状況に陥ったら、人間どうしても言い訳から入るよね(笑)
ここで思いっきり私の主観的な勝敗結果を示すとするならば、圧倒的に原告側の勝利で、被告及び証人はぐうの音も出なかった、それどころか返す言葉すらなくなって裁判所にタイムアップ宣言を言い渡された、という結果だったと言っていいと思います。
これで証人の言い分がなんの引っかかりもなしにスムーズに受け入れられるなら、裁判所は必要ないんじゃないかというように見えました。
ま、実際裁判所が今日の尋問を経てどういう印象を持ったのかは分かりませんが、一般的感覚として完全に勝ち負けのはっきりした尋問だったと思います。
殴り書きなのでそれぞれの主張や各アクターの主張の不整合性などに関する詳報は別途。
<追記>
法廷画家は中嶋三代治さん。今日尋問に立った3人の原告代理人のうちもっとも「Yes-No形式」での質問を迫り、イエスもノーも答えない証人に対して証拠資料を指で指して確認させ、「ここにこう書いてありますね?」「いやだからそれは.」「あなたの意見を聞いているのではありません。ここに書いてある日本語はこう読むということですよね?ということです。イエスかノーか分からないくらいしか答えはないと思いますけど?」「お答えしかねます」という珍問答を繰り返しているシーン(2枚目、3枚目)など。
そもそも証人は「聞かれたことに対して嘘偽りなく答える」ことが前提の立場なのに、聞かれた質問に対して「質問の言葉の意味が分かりません」「それは言葉が違うから答えられません/もしくは違います」などという証言にならない証言をひたすらくらい返した。
ちなみに被告代理人の質問には、主尋問の時はカンペがあるのかと思うくらいスラスラと答えていたのが、原告代理人の執拗に矛盾を付いてくる質問に答えきれずにはいもいいえも言えない精神状態に陥った挙句、さらにその後の被告代理人による反対尋問の時にも「〜ですよね?(Yes or No?)という質問にも、「それはですね…」とまた説明をはじめ(味方だからそういう答え方をしてもいいと勘違いしたのだろう。あるいは気の緩みか)、結局被告代理人からも「はいの時ははいと口に出して答えてください」と窘められる始末(録音しているからということもあるのですが)。
グダグダ。
これで県の主張に理があると判断するのは極めて難しいと言わざるを得ないでしょう。