庭の草花はすっかり枯れ果て、苗から育てたパンジー、ストックなどがわずかに色を添えるのみ、狭い庭が
広く見えるのもこの季節だからでしょうか。
しかし、この季節、満開を迎える花もあるのですね。枇杷の花です。青々と茂る大きな葉の間に、地味ですが、
小花が密集してひとつの房のようになって、ボリューム感があります。
この枇杷の木は我家のものではなく、隣家の庭にあるものですが、我家と隣とは4メートルほどの段差があり、
10年ほど前小さかった苗がグングン背を伸ばし、我家から見ると、ちょうど私の目線の高さに花が咲き、実を
付けるようになりました。(当然、隣家からは手の届かぬ遥か先)
豊作も不作もわが家の出来事のようであり、つい力が入ってしまいます。
そして、こんな寒い季節に、ハチたちだけが、この枇杷の花の甘い蜜の在りかを知っているかのようにそっと
吸いにやってきます。
師走の慌ただしさからは別世界ような静けさがあり、不思議に心を落ち着かせてくれます。