漁業取締船は、密漁などを防止・摘発し水産資源を保護することを目的に、監督機関が所有または傭船して運用する船舶。
現在の日本では原則として、都道府県知事が許可する知事許可漁業の漁業取締りは都道府県漁業取締船が行い、農林水産大臣が許可する大臣許可漁業の漁業取締りは水産庁漁業取締船が行うが、水産庁も司法警察権を行使し知事許可漁業への取締り権限を有する。また、水産庁取締船が外国漁船の違法操業に対しては拿捕などの主権行使を行っている。
各都道府県では、漁業取締船を所有またはチャーターし、乗り込んだ都道府県漁業監督吏員が、前述の水産庁と同様の漁業取締り任務にあたっている。都道府県漁業監督吏員は、漁業法違反の容疑者および漁船に対して、立ち入り検査や逮捕・送検を行うことができる。密漁者を検挙するため、特殊警棒、手錠の携帯が許可されている。近年、速力に優れた密漁船が国の内外から沿岸漁業を脅かしており、対処するためには船の速力向上が迫られている。有明海や瀬戸内海では、国内の暴力団やブラック企業が手引きする密漁を警戒し、日本海側では外国漁船を警戒するため、速力に優れた船を配備している。
水産庁と同様に、停船しない密漁船に強行接舷して飛び乗ることは控えている。密漁容疑の船舶が逃走した場合は、警察や海上保安庁への通報を実施しつつ、追跡して進路妨害を行なって逃走をやめさせてから立入検査を行う。
遠洋への進出や、排他的経済水域での長期間にわたる監視活動のため、速力ではなく航続力を重視し、遠洋型の船舶を用いる。船舶には、煙突や船橋に水産庁の紋章が掲示されている。高速を出せる船の数は少ない。長期間にわたる監視活動の中で精神衛生を保つため、乗組員は勤務時間外に船内で一定量を飲酒することが認められている。全国で41隻体制を目指している。
漁業取締船は、官船(水産庁保有船)・用船とも、また都道府県の保有船も含めて、法的には漁船法に定める漁船の一種(第3種漁船)であり、漁艙や漁労設備を備える。これらは押収した違法漁獲物の保管や、違法設置漁具(延縄、かごなど)の回収に用いられる設備である。
基本的に、以下の装備が備えられている。水産庁が取締目的でチャーターしている船にも、同等の装備が艤装される。
放水砲(船首に砲塔があり、立ち入り検査時に甲板上にいる容疑者の抵抗阻止のために使用)
サーチライト
拡声器
電光掲示板
暗視装置つきビデオカメラ(一部が装備)
取締艇(船に搭載されている高速の複合艇。立ち入り検査時に使用)
瀬戸内海漁業調整事務所(神戸市): 瀬戸内海全域、和歌山県、徳島県、愛媛県、高知県
県の漁業取締は、漁業管理保安漁船班が司令塔となり海と河川の漁業秩序維持のため、海からだけでなく時には陸からも取締活動を行っています。海面の取締体制としては、平成十四年から三年間で導入し
た最新鋭の取締船「小鷹(室戸)」、「くろしお(高知)」、「と
さかぜ(土佐清水) 」を配置し、土日、昼夜を問わない取りしまりを実施しています。
2千馬力×2基のエンジンで大速力は三十五ノット、横揺れ防止のフィンスタビライザーの装備により十五㍍の横風時も難なく航行できます。また、数㎞先でもブレずに鮮明に見渡せる高感度CCDカメラで、夜間の監視も万全。船尾には搭載艇も備え、臨機応変に対応します。航続距離も大幅に伸び、数日に渡る取り締まりにも対応できるよう、調理室、寝室など居住性も向上させています。
くろしお
総トン数:57t
長さ:26.2m
幅:5.5m
深さ:2.7m
ユニバーサル造船 2002年建造。
小鷹
全長(m) 26.80
型幅(m) 5.50
型深(m) 2.70
総トン数(G.T) 58
ユニバーサル造船
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