US-2は、海上自衛隊が運用する救難飛行艇。製作は新明和工業。US-1Aの後継機体です。
試作機は防衛庁技術研究本部 (TRDI) で各種試験が行われた後、2006年(平成18年)9月29日にXUS-2として海上自衛隊へ移管され、基本試験を行う第51航空隊に配備された(同航空隊は厚木基地に位置するが、機体は岩国にあり、隊員が岩国へと派遣された)。
2007年(平成19年)3月12日に、防衛省(同年初に防衛庁から格上げ)にて装備審議会議が行われ、3月16日付けで防衛大臣の部隊使用承認を取得した。1号機は兵庫県の新明和甲南工場にてオーバーホールを受け、その際尾部のロゴが消されて海上自衛隊と記された。その後3月13日に岩国へ送られ、3月17日付けで運用部隊である第31航空群第71航空隊に配備された。同時に制式名称はUS-2となり、3月30日に部隊配備記念式典が行われた。2号機も新明和での改修後に岩国へ配備される。2機は2008年(平成20年)中ごろまで第71航空隊で運用試験が行われ、その後に救難運用に入った。
量産初号機となる3号機(9903、平成17年度契約)は2008年(平成20年)12月15日に初飛行、2009年(平成21年)2月19日に防衛省へ納入された。4号機(9904、平成19年度契約)は2010年(平成22年)2月24日に防衛省へ納入されました。US-1Aの減数後もUS-2の就役により救難飛行艇の7機体制が維持されることになっている。
量産初号機である3号機以降は製造当初から海上自衛隊の航空機で近年普及している、低視認性(ロービジビリティ; low visibility)を考慮した濃青色と灰色の洋上迷彩となる。なお、試作機2機の機体塗装についても3号機と同様の洋上迷彩に塗り替えられた。
2013年6月21日、US-2が救命ボートで漂流していた辛坊治郎と岩本光弘を宮城県金華山沖1,200kmの海上で救助した。辛坊らは「ブラインドセーリング」プロジェクトでヨットで太平洋を横断中だったが、ヨットが浸水したためこれを放棄し救命ボートに移乗して救助を待っていた。厚木基地で救難待機していた2機のUS-2と2機のP-3Cの計4機が出動し対応にあたり、1機目のUS-2は波高が高かったため着水を断念し帰投、2機目のUS-2により着水救助が行われた。救助時の状況は着水限度波高に近いと推定される波高3~4m、風速16~18mであった。
US-2(US-1A改)は防衛庁によると「改造開発」の扱いで、大幅な改良が加えられている一方、艇体にはほぼ手を加えず以前の設計を踏襲している。外見はUS-1Aと比べて大きな変化はなく、直線翼の中型機であり、水平尾翼を垂直尾翼の上に配したT字尾翼を含め、一般配置はそのまま踏襲している。
エンジンは4基搭載、波高3メートルの荒れる海への着水ができ、50~53ノット(時速100km弱)で離水可能な短距離離着陸 (STOL) 性能を有している。60度の深い角度を持つフラップ、翼表面の気流が滑らかに流れるようにする境界層制御装置 (BLC) も受け継いでいる。ランディングギアなどの離着陸装置も備え、水中での車輪の出し入れ、スロープからの基地への出入り能力もあります。
また現時点の公試性能では、離島における救急搬送出動における可能率がUS-1に比較して130~140%となり、離島自治体を中心にその活躍に期待が寄せられている。前身となるUS-1から起算すると900回以上もの出動回数を誇っています。
乗員 - 11人
全長 - 33.25m
全幅 - 33.15m
全高 - 10.06m
最大離着陸重量 - 47.7t
最大離着水重量 - 43.0t
エンジン - ロールスロイス AE2100J ターボプロップ×4
出力 - 4,591shp×4
境界層制御 - LHTEC T800を使用
最大速度 - 315kt(約580km/h)
巡航速度 - 260kt(約470km/h)
航続距離 - 4,700km(約2,500海里)
巡航高度 - 20,000ft(約6,100m)以上
実用上昇限度 - 30,000ft(約9,150m)以上(未公表)
離水滑走距離 - 280m(43t時)
着水滑走距離 - 310m(43t時)
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