かしわめし弁当(かしわめしべんとう)は、九州・山口の郷土料理である鶏(かしわ)料理の流れをくむもので、鶏の炊き込みご飯・かしわめしを主とした弁当・駅弁である。郷土料理がもとになっているため、複数の業者が同系列の駅弁を発売しているほか、コンビニエンスストアでも売られている。
スタイルはどれも類似しており、鶏の出汁で炊き込んだ米飯の上に甘辛く煮た鶏肉・錦糸卵・海苔を斜めの線を描くように載せている。鶏肉については、北部九州と中・南九州で大きく姿が異なり、福岡や佐賀など北部九州では細かく刻まれているのに対し、大分以南の中・南九州では比較的大きめのまま乗せているところが多い。また、山口や島根では、鶏肉はそぼろになっている。
複数のグレードが用意されている場合があり、グレードによっておかずが異なるが、基本的な構成はおおむね同じである。また、かしわめしをご飯として幕の内系に発展させたものなどを見出すこともできる。
東筑軒(折尾駅他)、中央軒(鳥栖駅)、北九州駅弁当(小倉駅他)では、かしわめしの具(鶏肉)を駅うどんに載せた「かしわうどん」を販売している。該当企業が経営するうどん・そば店では通常のうどん・そばにかしわ肉(かしわめしの具)が載る。
東筑軒
折尾駅・黒崎駅・八幡駅・戸畑駅・小倉駅・若松駅・直方駅・赤間駅・福間駅で発売している。折尾駅5番のりばでは、近年珍しくなったホームでの立ち売りが行われている。駅構内以外の売店もあり、福岡市内・北九州市内の一部のデパートなどに常時出店している他、九州各地や大阪、東京の百貨店での臨時販売も行われる。
1921年(大正10年)に、折尾駅・直方駅の弁当業者・筑紫軒として創業。1942年(昭和17年)に戦時国策により弁当業者の整理統合が行われ、真養亭・東洋軒・吉田弁当などと合併して東筑鉄道構内営業有限会社となる。1955年(昭和30年)に 株式会社東筑軒となり、現在に至る。
かしわめし弁当は筑紫軒時代からのもので、「画一化した駅弁から脱却した郷土色豊かな駅弁」として、水炊きなどの鶏肉料理を参考に、鉄道省門司運転事務所長であった本庄厳水が開発した。鶏肉は細かく刻んで入れ、やわらかさより歯ごたえを追求している。炊き込みご飯の味付けは本庄の妻スヨが開発し、門外不出の一子相伝の味として代々女性のみに受け継がれている。内容と価格の異なる複数のグレードがある。
株式会社東筑軒(とうちくけん)は、福岡県北九州市八幡西区堀川町4番1号に本社を置く日本の食品会社。弁当(主に駅弁)の製造販売・飲食店経営・売店の運営などを行っている。
折尾駅をはじめとする鹿児島本線・筑豊本線の9か所の駅でかしわめしをはじめとする駅弁の販売と駅うどん店の運営を行っている。
駅構内以外の売店もある。ヤフオクドームでも弁当を販売している。
なお折尾駅4・5番のりばでは、ホームでの立ち売りが行われている。2011年6月に販売員が体調を崩して自宅療養となり中止されていたが、2013年2月から新たなスタッフで再開された。九州で立ち売りが残るのは他に人吉駅と吉松駅のみで、常時立ち売りを行っているのは折尾駅だけだという。
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