第六管区所属のPM96巡視船:あまみ型「くろかみ」は、名護海上保安部所属の350トン型巡視船「あまみ」の代替として開発が始まりましたた。設計に当たって、高速化しつつある密漁船・領海侵犯船に対処するため、従来のPM型巡視船にはない25ノットもの高速が求められました。そのため、従来のPM型巡視船では採用されていなかった半滑走型のV型船型が採用され、上部構造はアルミニウム合金を使用することで軽量化を図ることで、7ノット以上の高速化に寄与しています。また、船尾にスリップウェイを備えたことにより、迅速な搭載艇の発進と回収の能力を保有しています。監視設備として赤外線暗視装置を装備し、救難設備として高速警備救難艇と舷外機付複合艇を各1隻搭載しています。
九州南西海域工作船事件では、「あまみ」が北朝鮮工作船に強行接舷を試みた際、自動小銃カラシニコフによる攻撃を受け、130発を被弾した。「あまみ」は防弾能力を有していなかったため、多くの銃弾が操舵室を貫通し乗組員3名が負傷しました。これを受けて「あまみ」は全速後進にて退避しつつ、乗組員が64式小銃による正当防衛射撃を実施しました。後日、銃撃を受けた操舵室の外壁は取り外され、海上保安大学校資料館に教育用として展示されています。また、「あまみ」および乗組員は本事件の活躍により長官表彰を受け、船橋ウイングに記念プレートが飾られました。また本来は、巡視船艇の船名は転属に伴って改名されますが、九州南西海域工作船事件に従事した「あまみ」はその功績から例外として転属後もその名を留めています。
さらに本事件の教訓として、あまみ型巡視船は武装を手動式の20mm多銃身機関砲から目標追尾型遠隔操縦機能(RFS)付き20mm多銃身機関砲へと変更し、荒れた海上での正確な射撃能力を獲得しています。防弾能力と高速性能が付与された他、搭載艇の収納方式がスリップウェイ方式からシングルポイントリフティング方式に再度変更されています。これは、激しい波によりスリップウェイが搭載艇もろとも破壊される事故があったためです。
総トン数: 249t
全長: 56m
最大幅: 7.5m
深さ: 4.1m
主機: ディーゼル2基 2軸
出力: 7000馬力
速力: 25kt
武器: 20mm多銃身機関砲×1
船質: 高張力鋼
航行区域: 近海
最大搭載人員: 33名
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます