越智麗川
中原中也「汚れつちまつた悲しみに……」より
120×120cm
汚れつちまつた悲しみは
懈怠(けだい)のうちに死を夢む
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2014年現日春季書展出品の
越智麗川先生の作品です。
力強い筆致に圧倒されました。
この力は、どこから湧き出てくるのでしょうか。
激しい「黒」と、澄明な「白」
左下の美しい「白」の上に、「夢む」の2文字が
それこそ夢見るように
ぽっかり浮かんでいます。
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中原中也「汚れつちまつた悲しみに……」より
汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
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越智先生は、昨年の同人特別賞受賞者なので
特別出品として、小品もだされていました。
これは、大作と同じ詩の第一節。
ふっと力の抜けた穏やかな雰囲気のなかに
心に染みてくる味わいを秘めた書。
同じ詩の一節でも、書の表現によって
これほど印象が変わるのです。
書の世界は、ほんとうにどこまでも深いですね。
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