節分この日になると、故郷のお不動様のあの有名な鬼追い豆撒き追儺式を、ついぞ思い出してしまう。嘗ては全国神仏信者数第一位で、五筆による大きな石碑も現存し、関東一の大伽藍を誇る歴史のある三大不動尊の一つの、お不動様だからである。一昔には東武鉄道が臨時電車を増発し、この節分や不動尊大祭(2月28日)には、東京浅草方面から講元が講中の人々を集め繰り込んで、大勢の参拝客があったことも覚えている。賑やかなお祭りも、今は参拝客が少なくなり淋しい現状である。これも交通が不便で駅から10丁も距離があり、地元に有名な政治家も居なかったため、明治・大正・昭和の初期時代の、華やかさも消え失せて、せめてこの節分の豆撒き追儺式が一年で最高の人出だそうである。残念ながら今日は会議があって帰京して参拝することが出来ない。思い出だけが先行して郷愁を誘って止まない。嬉しいことに、NHK-TVで午后8時54分、加須不動か岡不動尊の追儺式が放映された。赤鬼が松明を振り翳して邪気を払う行為がとても感動的であった。願っても叶わぬ位の大変な嬉しい幸運の到来であった。