ヒメオニヤブソテツは北海道まで分布しているというのに、茨城では聞いたことがないと不思議に思っていたところ、たまたま海岸に行くことになり、護岸の石垣周辺の植物を見ていたら、ヒメオニヤブソテツ似の小型の株が石垣に着生しているのを発見しました。
満潮時には潮しぶきが降りかかるような場所で、オニヤブソテツは通常は自生していない場所です。逆にこのような場所にはヒメオニヤブソテツがあるようです。
葉を取ろうとして引っ張ったら簡単に株が石垣からはがれてしまいました。しまったとみると石垣のくぼみに着生していただけで、根がほとんどありません。
葉の裏には胞子が見えます。もしオニヤブソテツならば、こんなに小さい葉に胞子ができることはまずありません。
根がほとんどないことと、潮をかぶってしまうことから、小さい株が枯れていました。株の全幅は10cmにも満たないものです。
こんなに小さい株でも胞子がいっぱいついていました。これはもうヒメオニヤブソテツであることが濃厚です。
持ち帰った生の葉です。
葉の裏側には胞子がたくさんついています。
これは庭のオニヤブソテツです。
オニヤブソテツの葉ははるかに大きいです。またヒメオニヤブソテツの葉のほうが、より潮風の影響を受けるために葉が厚いです。胞子の違いについてはさらに詳しく調べないとわかりませんが、今日であったのはヒメオニヤブソテツにほぼ間違いないと思いました。
これまで楽しい自然観察の授業ではオニヤブソテツと類似のシダには何回もふれてきたのに、ヒメオニヤブソテツについては一度も聞いたことがありませんでした。もしかして、茨城ではいまだ発見されていないのかと先生にお聞きしたところ、最近になってから、茨城の北部で確認されたとのことでした。ヒメオニヤブソテツの存在はご存知であったがどうやら茨城は長い間空白地帯になっていたようでした。早速詳しい場所をお知らせして確認していただくことになりました。