マチンガのノート

読書、映画の感想など  

「ギャングバスターズ」 監督:バリー・バトルズ

2013-10-04 23:28:48 | 日記
これまでのアメリカ映画だと、正しいことをすればいい、という物が多かったのだが、
この映画は最近の様々な行き詰まりを反映してか、
文化的、風土的にそれでは廻らない中でどうするか?
というのが描かれている。
主役の悪人3兄弟と、それを使う保安官、北部から来たATF捜査官、
さらには、海賊風ギャング団、インディアン・ギャング団など、
タランティーノ風の味付けもしてあるが、全体のストーリーは
「父、帰る」(ロシア、2003年、アンドレイ・ズビャギンツェフ監督)などの
ロシア映画などを思い起こさせる。
限られた現実の制約の中で、出来るだけのことをやらざるを得ない、というところが
他の米国映画と違っている。
治安が悪いが取り締まる予算、人手も限られている中、
そこにおいてどうするのか?という、綺麗事では対処できない話が、
B級アクション映画の中で展開する。
最後に、北部から来たATF捜査官が上司から、
「上手く解決したから、君がここに赴任してくれ」と言われて、
「そりゃないよ」
というところは、リベラル派への注文だろう。
アメリカ人は、自治をすれば得をしそうだから自治を求める、
と言う訳ではないのだろう、と思った。

大学教員にみる世代間断絶 「フッサール心理学宣言」渡辺恒夫著

2013-10-04 08:51:00 | 日記
「フッサール心理学宣言」渡辺恒夫著という、「自我体験」というものを
扱った本を少し読んでみると、最初の方に、「自我体験」というのを
心理学の授業のアンケートに書く一人の架空の学生として
「アイ」という女子学生が出てくる。
その学生は、財界人が子女を入学させたがる、外国の絵葉書に出てくるような
レンガ造りの綺麗な建物が並ぶ名門大学に入学するのだが、
両親は、「両方とも学校教師という地味な家庭」に育ったという設定だ。
両親とも教員で知的に恵まれていて、私立の大学に入れるという、
経済的に恵まれていることを、「地味」と表現するのには驚いた。
この著者は1946年生まれなので、周りにいくらでも戦中派、戦前派が
居ただろうに、それらの人々からは、戦争体験や、戦後の混乱期の、
満州、朝鮮半島などからの引き揚げに伴う様々な体験を、聞かされ無かったのだろうか?
単に、学校に行って、授業の内容だけを憶えて行っていたのだろうか?
この著者自身の育った時代というと、今より治安が悪く、その為、犯罪被害者も当然多く
格差、差別も今より大きいのに、そのようなものを見ずに、
ひたすら学校の中だけを見ていたのだろうか?
前の戦争があまりにも米軍に対して、一方的に負けたので
戦争体験者は、自分たちの家族、親族などに対して
体験を語らなさ過ぎたのではないだろうか?
この著者のように、社会的視野の狭い方が、思想について語る大学教員で、
左翼なども、大手企業の組合と大手メディアなど、経済的、知的に恵まれた層が中心だったので、
ソ連の崩壊、北朝鮮による拉致などで、信用を失ったのだろう。