著者は子供時代から、家族による様々な虐待にさらされ、
成人後も様々な症状に苦しめられてきたが、そのことで精神科を受診しても、
成人後の症状と成育歴とを結びつけて考える医師はほとんどいなかったとの事である。
著者はかなり自分が虐待されて育ったことを自覚していて医師に伝えようとしても
伝わらなかったのだから、もっと虐待体験に深く影響されて、自分の症状と
虐待体験とのつながりを自覚できない人に対しては、有効な対応を取れる医師は少ないのだろう。
多くの精神科医は、虐待の症状は子供時代に現れるとしか知らずに、
成人後の様々な症状や困難さを、成育歴に関連付けて考え、理解しようとする
発想を持っていなかったとの事である。
多くの医師は成人後の様々な症状や困難さを成育歴と関連付けて診察する知識が無いので、
診る医師により様々な病名を付けられるので、有効な治療やサポートを
受けられなかったことに関してはかなり詳しく書いている。
虐待された子供の治療、サポートはある程度あるが、成人してからは
治療もサポートはほとんどないとの事だ。
医師は多忙なので、海外の研究について学ぶ時間がないことが
原因の一部だろう。
さらに家庭での一般的な教育やしつけの結果、自分はアダルトチルドレンになったので生きづらい、
何をしても上手くいかないという人が一時精神科を多く受診したので、
医師の側も虐待に関して受診する成人した患者さんに深く関わろうとする人は
あまりいないとの事だ。
最後に精神科医の和田秀樹氏との対談で、如何に日本の虐待に関する
精神医療が米国などと比べて遅れているについて話し合っているところに
説得力があった。