塩田武士さんの同名小説が映画化されたものです。
小説版を先に読んでいましたが、登場人物が多く、出てくる場所も多い400ページ以上の小説を
どのように映画化したのかを考えながら観ていましたが、しっかりとまとめられて作られていました。
'84~'85年のグリコ・森永事件を素材にした映画ですが、その事件のときに身代金の受け渡しの指示を
読み上げていた子供の事などから、事件を再び調べていくという話です。
感想
京都に住むテイラーの曽根俊也(星野源)の伯父(川口覚)が、学生運動に挫折したこともあり、
知り合いの元刑事に依頼されて、犯罪計画を立てるということでしたが、
計画を立てても、実際の人集めのところで、暴力団員などの粗暴な人達も入れて、
そこから計画が齟齬をきたす事になるというのは、実際にありそうな展開でした。
当時は今と違い、ネットで個人が株の取引をするなどは無いので、
ほとんどの人が、株の売買に関してほとんど知識のない時代だったことから、
株の空売りで利益を出そうと犯人が考えると予想する人は少なかったのでしょう。
さらに、犯人たちが仕手グループに株で儲けさせて、その利益をもらおうとしても、
相手がしらばっくれれば、どうにもならなかったというのもありそうな展開です。
また、抽象的な株での利益よりも、実際に脅迫した企業に現金を持ってこさせて
それを手に入れたいという人間が、犯人グループに居ても、不思議はありません。
無理のない物語の展開の仕方になっていました。
やはり、宇野祥平さんの演じ方があったので、それ以外ではそれほど
何かを展開させる必要がなかったのでしょう。