現代の母親を尾野真千子が好演の一作
前作「生きちゃった」が良かった石井裕也監督の映画ですが、
こちらは母親とその子供を中心に描いた映画です。
[あらすじ]
夫を交通事故で亡くした良子(尾野真千子)は、加害者側の不誠実な対応のため、賠償金を受け取らず、
息子と二人で暮らしています。
公営住宅で家賃は低く抑えられていますが、それでも生きていくため様々な仕事をして
なんとか暮らしているのでした。
色々と思うことがあっても、話せるのは職場の同僚のケイ(片山 友希)くらいなのでした。
[感想]
良子役の尾野真千子さんは難しい役柄をしっかり幅広い演技で演じていて、
同僚のケイ役を片山 友希さんが控えめにうまく演じていました。
最優秀新人賞を取っただけの事はあると思いました。
特に最初に二人で居酒屋に行った際に、良子が喋りながら体が揺れてくるあたりは、
限界まで怒りや悔しさを抑えていることが伝わってくるシーンでした。
様々なところに張り巡らされた社会のルールが、いかにその中で生きる人を
しばって生きにくくしているのかが解る映画でもあります。
最近は日本企業の様々な商品やサービスが、海外で存在感がなくなり、売れなくなってきている
と言われますが、国内が様々なルールでがんじがらめなので、そこに生きる人の
活力を奪っていることもそうなった原因なのではないかと思いました。
お金を使うシーンの度に、何に幾らかかったかが表示されるのも、
いつもお金の事を気にしなければならない主人公の状況をうまく表していたと思います。
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