関係と居場所の生成
著者の以前に書かれた「自閉症の現象学」が良かったので本書も読んでみました。
大阪・西成で困難な状況で暮らす子供たちやその親族と関わり、
関係と居場所を作ってゆくことについて書かれた一冊です。
心理系の物ですと、特定の治療者が深く特定のクライアントと関わり、
面接室の中で関係を深めていくことが描かれますが、本書では様々な職種の方が連携して、
広い範囲で長い期間にわたり関係を持ち続け、支援することについて描かれています。
主に5人の支援関係者を取り上げたものですが、様々な職種の方が
継続して在る施設を中心に、様々な形で子供やその親族に長期にわたり継続して関わることが、
いかに子供への虐待などの対応に必要かが解る内容です。
困難な状況で暮らす子供の多くは、家庭が居場所として機能しておらず、
本人やその周囲の親族も、誰かが支援してくれるという発想や知識も無いため、
日常的な様々な場所で支援者が活動し、「SOSのケイパビリティ」を育ててゆくことから
始めることが必要というのは、支援活動を特定の場所で長く続けているから
解ることなのでしょう。
最近、メディアで話題になった「トーヨコキッズ」達も、家の近くに気軽に立ち寄れる施設と
支援者が居れば、あのように東京の中心部までわざわざ行く必要もなかったのだろうと思いました。
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